Instagramのフォロワー数2.8億人を誇る世界的シンガーソングライターのテイラー・スウィフト。
昨年5月にレアル・マドリーのホームスタジアムであるサンティアゴ・ベルナベウでコンサートを行った。
そうしたなか、『BBC』は、「レアル・マドリーのスタジアム中心部で繰り広げられる騒音問題」という話題を伝えていた。
テイラー・スウィフトのコンサートは、レアルが2024年に改装した同スタジアムでの収益向上を目的として大型イベントのひとつだったというが、それは短命に終わったという。
昨年9月、音が聞こえる範囲内に住む住民たちが騒音問題で法的申し立てを行ったため、すべてのコンサートが中止されたのだ。
係争はいまだに続いており、最近もスペイン人シンガーがコンサート会場をベルナベウからアトレティコ・マドリーのホームスタジアムに変更したという。
近隣住民会の会長は、テイラー・スウィフトのようなコンサートは騒音がひどくなりすぎていると語っている。
「どのコンサートもまったく同じ。このような騒音を耐えることは不可能。健康に悪影響を及ぼし、片頭痛、不眠症、心臓発作を引き起こす可能性があり、法律上でも犯罪行為になる」
欧州では55デシベル以上の騒音レベルは有害とされるが、マドリッドの近隣住民がコンサート中に計測した騒音レベルは90デシベルを超えていたという。
有害レベルの騒音に継続的に晒されると、血圧上昇や脳卒中などの血管疾患につながる可能性があるほか、継続的な騒音被害は糖尿病とも関連性があるとも。
住民には生涯のレアルファンも多いそうで、住民会会長は、サッカーとコンサートとの騒音には大きな違いがあると説明している。
「サッカーはせいぜい2時間ほどしかやらないスポーツ。騒音は当たり前。
スタジアムを多目的施設へ改修するために11億ポンド(2132億円)もの投資をしたレアルは莫大な財政的効果を期待していた。
コンサート開催時に取り外すために、ピッチ用の新システム開発に多額の費用を費やしたが、この高性能システムは全く役に立たずになってしまい、資金は無駄になってしまった。
近隣住民によると、マドリッド市当局はコンサートがもたらす観光収入と収益から利益を得ているため、この問題の解決に消極的だという。実際、テイラー・スウィフトのコンサート会場を訪れた観光客だけで、約2500万ユーロ(40億円)を消費したそう。
レアルは防音対策に取り組んでいるとしているが、スタジアムの屋根を閉めても完全に隙間をなくすことはできないため、実質的に防音は不可能だとか。
そのため、エド・シーラン、イマジン・ドラゴンズ、AC・DCなどはこの夏にアトレティコのメトロポリターノ・スタジアムでコンサートを行う予定。