【コラム】FC東京に完敗の横浜F・マリノス…攻撃と守備で改善必須な「動きの質」

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明治安田Jリーグ百年構想リーグEASTは7日に第5節が行われ、横浜F・マリノスがアウェーでFC東京に0-3で敗れた。



聖地国立競技場に鳴り響いたF・マリノスサポーターによるブーイング。

無理もないだろう。前半に自軍の守備の甘さから開始39秒で被弾すると、その後も後手に回る展開でペースを握られ、試合を通して打ったシュートはわずかに8。枠内シュートは1本と悲惨な結果に終わった。



今のF・マリノスには何が起きているのか、徹底解剖していく。



停滞するビルドアップ。ポイントは「変則的なテンポ」



まずは、F・マリノスの攻撃の基盤となるビルドアップの部分。この試合では前になかなかボールが渡らず、攻撃の起点となるはずのウイングに、理想の形でボールを供給することができなかった。



これには、選手それぞれの動き方に問題があるといえる。試合を見ていると、角田涼太朗やジェイソン・キニョーネスがボールを持った時、2トップの組織的なプレスから連動させた完璧なラインコントロールもあり、コンパクトに守備を仕上げたFC東京の前に動き出す選手が少なく、キーパーに戻すシーンが何度も見受けられた。



原因は選手一人一人がどこに行くのか、誰が引いて受けるのか、落ちて空いたスペースに誰が入ってくるかのルールが明確に定まっていないことだろう。バックラインの選手がボールを持った時に、この試合先発した喜田拓也と山根陸はボールを引き出す動きがなかなか見られず、トップ下で先発した遠野大弥もボールへの絡みが少なかった。



また、サイドバックの選手もサイドに張りっぱなしな上にアクションも少ないことで、前にボールを運べずただボールを回している時間が多かったのは明白だ。

支配率52%だった保持率と、ゲーム内のチャンスクリエイト数が少なかったことを考えるとかなり重大な問題であるといえる。



ポゼッションで停滞したため、裏を狙う動きでラインブレイクを狙ったかと言われるとそうでもない。ジョルディ・クルークスが右から斜めに入っていく動きは何度か見せてはいたが、タイミングが合わず、1本もボールは出なかった。



ラインブレイクの動きは、停滞している中では効果的である。このような動きは谷村海那に求めたい。



センターバックで保持したときに燻って後ろで回すよりは、ラインブレイクしてスペースを開けたところで中盤の選手にうまくつなげていくのも手立ての一つだ。ロングボール待ちで相手を背負うだけでなく、柔軟に動いてみるのも、一つの策ではないか。



F・マリノスが強かった時の一つの特徴として、サイドバックがインナーラップで攻撃参加していたことが挙がる。サイドバックが中に入ってできたスペースにボランチやトップ下の選手が入ってきてビルドアップに参加し、変則的なテンポでボールを回していく。こうすることで相手もマークをつけにくく、人数的にも優位を作れる。これが、優勝時のF・マリノスの強さの秘訣であった。



現時点でのサイドバックの動きは上下運動のみのかなり単調なものに見える。

スピードに変化をつけて中でボールをもらったり、保持時にボランチとワンツーでスピードを上げるなど方法は様々である。



とにかく今のビルドアップにはテンポの変化が足りない。少しでもアップテンポでボールを回すことができれば、起点となるクルークスや左サイドのオナイウ情滋らにボールを配給できる機会も増える可能性が高まる。このビルドアップの部分をどう改善し、どのような指示を出すのか注目だ。



ファイナルサードの質を上げる天野純の存在と遠野大弥への期待



ファイナルサードでのクリエイションも一つの課題である。F・マリノスの攻撃の起点はサイド。ただ、サイドアタッカーがボールを持った時にどう崩すかの具体像が見えてこないことが問題だ。



例えば、中に入れるにしても枚数は谷村のみのことが多く、入れてもはじき返されることが多い。足元で崩すにしても動き出しが少ないために結局ずるずる後ろに下がってシュートで終われない。このようなシーンがこの百年構想リーグ期間で多く見受けられている。



ただ。途中から天野純が入ってきたときには一気に流れが変わる。直近のゲームでは、天野の高いサッカーIQから生み出されるパスや運び出しからチャンスが生まれることが多く、ゲームチェンジャーのような役割を果たしている。



天野は人を使うの能力に長けている。そのため背後への抜け出しとスペースを見つける能力に優れるディーン・デイビッドとの相性はかなり良い。彼らの同時起用は、停滞する攻撃陣に新たな風を吹き込む可能性は高い。



天野が不在時の攻撃の形も考えておくべきだろう。遠野には特に中盤でボールを持った時の質を求めたい。彼は両足で質の高いミドルも打てれば、展開を読んだパスのセンスもある。



自分からボールを引き出して、得意なエリアに運ぶことで、チームの矢印が一気に前を向き、前に人数をかけやすくなる。彼の動き方も、F・マリノスの攻撃を立て直す上で注目すべきポイントの一つだ。



崩壊寸前の守備...脱却のカギはミドルブロック



守備はまず形を作り直すべきだ。このFC東京戦では、ハイラインの裏をしつこく狙われ、何度もピンチを招いた。また、中盤の強度が低く、奪い合いになった際に粘った守備ができないために、ボランチに前を向かれて優位を作られる場面が多かった。



中盤が抜かれると角田とキニョーネスだよりになることが多く、彼らに対する負荷も大きい。

実際キニョーネスは足の違和感で前半終了後にベンチに下がった。



また、前半開始39秒と後半開始50秒の失点はいただけない。序盤の気のゆるみからか、ボールホルダーに自由を与えたことで、長倉幹樹とマルセロ・ヒアンにあっけなく背後を取られ撃沈した。



昨季を含め今季もF・マリノスは、先制された試合での逆転が少ない。先制されたらずるずると後手に回ってしまい、自らの首を絞めるゲームが多い。このような現状だからこそ、こういった軽率な失点は避けていかなければならない。



これはハイラインを実現するうえで重要なプレスの強度が低いことが根本的な原因である。前線の谷村から、サイドにかけるプレスも間合いが遠いのとスピードのオンオフが分かりにくく、後ろの選手がギアを上げるタイミングを見図る場面が続き、相手のボランチが落ちてきてフリーで前を向き、ロングボールでサイドに散らしたりという場面があった。



中盤もプレスをかけた時の距離感が少し遠く、相手が扱える位置でボールを触らせてしまっている。なによりこのプレスの強度が低いことで、キックオフのタッチラインへのロングボールが全く意味をなさなくなっており、ただ前に蹴って相手にボールを渡しただけになっている。



この状況を打開するためにはまずミドルブロックを敷くことだろう。現在のF・マリノスはセカンドボールが拾えていない。

こうすることで相手の中盤を封じ込め、セカンドボールを拾いやすい体制ができる。さらに、ウイングの選手も守備に戻ってくる選手が多いため、サイドに出た時に中央をつぶすことが可能だ。



可変型にすることで相手のスクランブル型の攻撃にも柔軟に対応できる。また、守備の決め事も比較的決めやすいため、誰がどこで守備をしてスペースを埋めてボールホルダーにどのくらい寄せに行くかが明確に定まるというメリットがある。少し不安定な守備ラインの再建に加え、センターバックの負担も減る可能性がある。



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F・マリノスは次節、ホームでジェフユナイテッド千葉とのゲームを迎える。17年ぶりのJ1での顔合わせをF・マリノスは勝利することができるか。試合は14日(土)13時にキックオフされる。



筆者:隈崎碧



観戦専門のスポーツ大好き現役高校生。幼少期から選手名鑑を愛読書とし、データバンクとして家庭内の外付けハードディスクの役割を果たしている。サッカーの他、駅伝、野球にも精通、聞かれりゃなんでも応えたい情熱により、日々観戦の研鑽を積んでいる。

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