
サッカー選手の寿命は短いもので、プレーヤー側としてはできるだけ高額な給与を受け取りたいものだ。代理人も含め、可能な限り有利な条件をクラブから引き出そうとする。
しかしながら、そのクラブでプレーするチャンスが少なくなってしまった場合、その高額な給与が移籍への足かせになることも。今回は『FootballTransfers』から「給料が高額すぎて売れなくなっている選手たち」をご紹介する。
ジェイドン・サンチョ
保有されているクラブ:マンチェスター・ユナイテッド
契約満了時期:2026年夏
年俸:710万ユーロ(およそ11.73億円)
ジェイドン・サンチョはボルシア・ドルトムントでプレーしていた時代に「世界屈指のウインガー」として高く評価され、近い将来のワールドスターであると考えられていた。
彼のキャリアデザインを変えてしまったのは、かつて所属していたマンチェスター・シティではなく、同じ街のライバルであるマンチェスター・ユナイテッドへと移籍であった。
古巣のファンからの呪詛が影響したという以前の問題で、マンチェスター・ユナイテッドは低迷期の最中にあり、クラブの成績は伸びず、救世主に見えたエリック・テン・ハフ監督とクリスティアーノ・ロナウドも混乱のみをもたらした。
いろいろなことが重なった結果、サンチョを生かすためのプロジェクトは崩壊し、宙ぶらりんの状態となった。今季のチェルシーへのローン移籍は悪くなかったが、彼の給料はあまりにも高すぎて誰も買うことができない。
カゼミロ

保有されているクラブ:マンチェスター・ユナイテッド
契約満了時期:2026年
年俸:1000万ユーロ(およそ16.52億円)
FCポルトからレアル・マドリーへと移籍し、ロス・ブロンコスの本拠地であるサンティアゴ・ベルナベウで重要な役割を任されていたブラジル人ボランチ。その職人的な守備力とバランス感覚はまさに稀代のディフェンシブ・ミッドフィルダーであるように見えた。
彼が突如スペインを去ることになったのは2022年の夏。レアル・マドリーでも特にポジションを失っていたわけでもない状況で、マンチェスター・ユナイテッドに移籍することが発表された。
その移籍金は6000万ポンドに1000万ポンドのボーナスが加わるという巨額のもので、マンチェスター・ユナイテッドは彼に「クラブを立て直してほしい」というメッセージをも伝えていたという。
当初彼はその期待に応えるようなプレーを見せていたが、徐々に体力面の衰えが指摘されるようになった。しかもサウジアラビアのクラブすらも手を出しにくい給与を受け取っており、移籍すらままならなくなっている。
ラヒーム・スターリング

保有されているクラブ:チェルシー
契約満了時期:2027年
年俸:930万ユーロ(およそ15.37億円)
若くしてリヴァプールのサイドラインで輝かしい活躍を見せつけ、世界のスター候補となったスターリング。その後マンチェスター・シティに移籍したことで得点力を開花させ、選手として大きな飛躍を遂げた。
ジョゼップ・グアルディオラ監督によって改造された彼はタッチライン際の支配者となり、攻撃面であらゆるプレーを高レベルでこなすようになった。多くのタイトルを手にし、選手として得られるものを20代でほとんどコレクションに加えた。
しかしその栄光も永遠ではなかった。グアルディオラの下でプロジェクトから外れた彼は、巨額の契約を得てチェルシーに加入したが、全く違ったサッカーの中でスターリングは力を見せられなくなっていた。
今季はアーセナルへとローン移籍したが、どういうわけかさらに彼は悪くなっている。まだチェルシーとの契約は2年残っているが、果たしてどのような解決策があるのか見当もつかない。
ドゥシャン・ヴラホヴィッチ

保有されているクラブ:ユヴェントス
契約満了時期:2026年
年俸:1050万ユーロ(およそ17.35億円)
フィオレンティーナでワールドクラスの活躍を見せたヴラホヴィッチの契約をまとめるとき、代理人は「ユヴェントスからできるだけ大きな条件を引き出してやろう」と思ったはずだ。
移籍金は3年分割払いの7000万ユーロ、ボーナス最大1000万ユーロ、そして給料も年間1000万ユーロ以上。フィオレンティーナとヴラホヴィッチの代理人はかなりいい仕事をしたといえる。
ただ、ユヴェントスにとってこれはあまりにも高い買い物だった。ヴラホヴィッチはそこそこの結果を出しているが、あまりに高すぎて良いタイミングで売れなかった。
2022年の市場価値は8500万ユーロ。
マーカス・ラッシュフォード

保有されているクラブ:マンチェスター・ユナイテッド
契約満了時期:2028年
年俸:850万ユーロ(およそ14.05億円)
この夏にバルセロナへの移籍が囁かれているマーカス・ラッシュフォード。彼もスペインでのプレーは夢の一つであるそうだが、メディアによれば「ネックは高額の給与」であるという。
マンチェスター・ユナイテッドでヤングスターとして華々しいデビューを飾ったラッシュフォード。若くして中心的な存在となり、将来のチームを担うアイコンになると期待された。
しかしながら、それから時が経って彼の状況は悪化していった。2022-23シーズンは復活の兆しを見せたが、その後は再び低迷。不安定なプレーぶりからファンの支持も失い、批判の対象になった。
今季はアストン・ヴィラへのローン移籍で少し復活の兆しを見せたものの、ユナイテッドは売却の意思を示しつつ、ラッシュフォード自身が大幅な給与カットを受け入れなければ移籍の可能性は低いと考えられている。