プレミアリーグ優勝13回を含む数々のタイトルを獲得してきたイングランドの名門マンチェスター・ユナイテッド。
アレックス・ファーガソン監督が率いていた2012年当時、ユナイテッドは元ベルギー代表MFエデン・アザールの獲得に失敗し、元日本代表MF香川真司を迎え入れた。
アザールはチェルシーで世界屈指のドリブラーに成長し、同クラブの2度のプレミアリーグ制覇など計6つのタイトル獲得に貢献した。
当時はユナイテッドが「将来の世界的スター選手を取り逃がした」との意見も多かった。
だが、イギリスメディア『The Sun』は、このアザールの獲得失敗がユナイテッドにとって結果的に賢明な判断となったと報じている。
同メディアによると、現在チェルシーはFA(イングランドサッカー協会)から74件の規則違反で告発されている。
調査対象となっている時期は、2010-11シーズンから2015-16シーズンまでで、代理人規則や第三者投資規則など複数の違反が指摘されている。
特にアザール、サミュエル・エトー、ウィリアンらの移籍に関して、元オーナーのロマン・アブラモヴィッチ氏がオフブックでの支払いを承認していたとされ、アザールの代理人ジョン・ビコ氏に対する600万ポンド(約11億9000万円)の送金も疑われているという。
この不正は2022年にトッド・ベーリー氏によるチェルシー買収の過程で発覚し、FAやUEFA、プレミアリーグに報告。2023年にはUEFAとの間で860万ポンド(約17億1800万円)の和解金を支払ったが、プレミアリーグの調査は継続しており、今回FAが告発に踏み切った。
チェルシーは今月19日までに回答を求められており、罰金処分等の懲戒を命じられる可能性がある。
ユナイテッドの伝説的指揮官サー・アレックス・ファーガソン氏は、アザール獲得を断念した当時、「今の移籍市場は、移籍金だけでなく、給与、代理人への支払いも含めて馬鹿げている。アザールの移籍では、チェルシーが代理人に600万ポンドを支払った。結局、選手の価値をどう見るかの問題だ。
今回の74件に及ぶ告発は記録的な処分につながる可能性があるとのことで、ファーガソン氏の指摘が現実味を帯びる展開となった。
なお、チェルシーの現オーナーであるベーリー氏は、FAの告発に対して全面的な協力姿勢を示しているという。