
[J1第27節 東京ヴェルディ0-3サンフレッチェ広島、8月23日、東京・味の素スタジアム]
東京Vは広島に0-3で敗れ、リーグ戦2連敗を喫した。
天皇杯4回戦の名古屋グランパス戦を含めると公式戦3連敗となり、不調のふちに立たされている。
指揮官は「もう一つ」チャレンジを求める
「最後、サポーターにあいさつをしに行ったときに彼らの声を聞いて、改めて悔しかったんだろうなと。彼らも一緒に戦ってくれているんだなと」
0-3の完敗。重苦しい空気の中、城福浩監督はサポーターへの素直な想いを吐露して会見が始まった。
城福監督は「我々がやれることをしっかりやれば勝点3を取れるチャンスがあった。ただ警戒すべきはセットプレーだった」と試合を振り返った。
この試合、広島の3得点のうち、2得点がセットプレーによるものだった。
「これ(セットプレー)は明らかに我々にはない武器で、あのキックの精度、スピード、中に入っていく迫力は、歴然とした差がある。警戒して準備しましたが、そこでやられたというのがいまの我々の力なんだと」と、広島の実力を認めざるを得なかった。

それでもこの試合では、今夏J2ブラウブリッツ秋田より完全移籍加入したDF井上竜太がJ1デビュー。身体を張った守備で奮闘した。
城福監督は井上の抜てきの理由を聞かれると、「我々が抱えている問題の一つに高さがあります。これはセットプレーがストロングの広島さんと対戦するにあたって、我々としては問題意識を持っていました。
もう一つはJ1でやったことのない選手をどこかで使わないと、戦力化できない。(試合に)出たことがない選手たちをいかに戦力化していくか。そこは残りの試合数と勝点を考えながら、いま出ている選手、新たに入ってきた選手、ベンチに入っていない選手、全員がもうひと伸びしないと、来年J1を戦うことが非常に厳しくなる。我々は選手を成長させていけるように、彼らも伸びていかなくちゃいけないという意味で、ある意味覚悟を持って彼(井上)を使いました」と明かした。
今夏、東京Vの守備の要であった日本代表DF綱島悠斗がベルギー1部ロイヤル・アントワープへ完全移籍した。身長188センチの大型DFの退団は大きな痛手だった。
「高さ」が課題の東京Vにとって、高さ、強さを兼ね備える井上のさらなる成長は今後のリーグ戦を戦い抜く上でポイントになる。

また城福監督は、この日ドリブル突破で多くのチャンスを作り出したMF福田湧矢にも言及した。
「(福田の)前への推進力をどこのポジションで使うかは我々も模索しています。 ただ、ほかのシャドーと言われるポジションで、彼のハンティングしに行く力を凌駕(りょうが)する選手が出てくれば、ひょっとしたら彼はもっと違うポジションで使えるかもしれない」と、東京Vの背番号14が持つポテンシャルを評価した。
同監督は続けて「チャンスメイクができても、決定的なシーンにもち込むとか、実際にネットを揺らすところに関しては、まったくチームとして満足していない。そこに問題を抱えていると思う。
東京Vは次節、30日午後6時からアウェイのニッパツ三ツ沢球技場で横浜FCと対戦する。
この敗戦を糧に、次戦はリーグ戦3試合ぶりの勝利を目指す。
(取材・文・写真 縄手猟)