世界サッカー界で「最も価値のある選手たち」を揃えているのはどのクラブなのか。膨れ上がり続けている選手の市場価値を象徴するように、今やチーム全員の価値が10億ドル(およそ1700億円)を超えるクラブが9つに上っている。
どのクラブが最も「高価な」軍団を形成しているのだろうか。今回は『SI』から「世界で最も市場価値が高いクラブ」ランキングをご紹介する。
10位:マンチェスター・ユナイテッド
価値:9億5300万ドル(およそ1520億円)
最高価値の選手:ベンヤミン・シェシュコ(1億30万ドル)
かつてマンチェスター・ユナイテッドは投資家に対し「ナンバー1のスポーツにおける、ナンバー1のチーム」と自称していた。ただ、今やその半分しか真実ではない。人気ではまだまだ世界の頂点だが、選手の価値はトップではない。
サー・アレックス・ファーガソンの退任後、プレミア屈指の王者は徐々に序列を下げた。昨季リーグ戦15位に終わったクラブが10位にランクインしているのは立派に見えるが、かつての栄光を知る者からすれば、急激な衰退を感じざるを得ないところだ。
9位:トッテナム
価値:10億3000万ドル(およそ1650億円)
最高価値の選手:チャビ・シモンズ(9810万ドル)
プレミアリーグで残留争いに巻き込まれている現状を考えれば、トッテナムが9位にいることに首をかしげる者も多いだろう。
暫定監督のイゴール・トゥドールも「攻撃の質、走力、守備の粘り強さがすべて欠けている」と突き放している。ピッチ上ではこの2年間ほとんど結果らしい結果を残せておらず、ビッグクラブとしてのプライドは崩壊している。
ただし、この価値の算出にはローンで貸し出されている選手は含まれないが、負傷欠場中の選手は含まれている。それが、これほどの「高価値を持つスター選手の軍団」が苦戦している理由の一端かもしれない。
8位:バイエルン・ミュンヘン
価値:11億5000万ドル(およそ1840億円)
最高価値の選手:マイケル・オリーセ(1億6260万ドル)
ドイツの支配者であるバイエルン・ミュンヘンは、伝統的にブンデスリーガの有望株をかき集めて強化をしてきたクラブだ。同国の盟主としてのプライド、そして欧州制覇への飽くなき執念から、現在は世界中のスターをかき集めている。
もっとも、ヴァンサン・コンパニ監督は選手を慢心させるつもりはないようだ。「周囲が騒いでも信じるな。君たちはそれほど上手くない」と常に言い聞かせているという。そのような伝統こそが、ドイツの盟主が持っている容赦のなさ、精神的な頑健さに繋がっている。
7位:リヴァプール
価値:12億ドル(およそ1920億円)
最高価値の選手:フロリアン・ヴィルツ(1億4980万ドル)
昨季プレミア王者に輝いたリヴァプールは、この夏に史上最高額の移籍予算を投じてメンバーの価値を跳ね上げた。フロリアン・ヴィルツとアレクサンデル・イサクの獲得は、サッカー界の常識を大きく変えるものになった。
しかし、アルネ・スロットのチームは「投資が即成功に直結するわけではない」ことも証明している。
1970年代から80年代にかけての黄金期、リヴァプールは「変化のための変化は好まない。継続性こそ重要だ」という哲学で築かれたが、現在の激しい入れ替えはその伝統とは対照的である。モハメド・サラーが抜けることが決まり、来季のチームがどうなるかも注目されそうだ。
5位:パリ・サンジェルマン
価値:15億5000万ドル(およそ2480億円)
最高価値の選手:デシーレ・ドゥエ(1億5030万ドル)
15億ドルを超えるチームを持ちながら「地味」と言っていいものか。とはいえ、かつてメッシ、ネイマール、エムバペが並んでいた時代に比べれば、今のPSGは意図的に「控えめ」なメンツだ。
ナースル・アル・ハライフィ会長は、クラブの「派手な成金」時代が終わったことを強調している。
とはいえ、ルイス・エンリケ監督が上手く使うことによって数多くの選手が飛躍的に価値を高めており、結果的に数字が上がっていく。
その結果、今のルイス・エンリケ監督の手元にあるのは、昨年のバロンドール候補がわずか8人しかいない「質素な」メンバーだ。
5位:アーセナル
価値:15億5000万ドル(およそ2480億円)
最高価値の選手:ブカヨ・サカ(1億3150万ドル)
ミケル・アルテタ監督は、その戦術眼と人間味でアーセナルを再び世界的なヘビー級へと押し上げた。だが、彼に財布の紐を握らせてはいけないともいえる。
「予算は結婚式のようなものだ。妻と一緒に計画を立てても、予算を下回ることはない。常に上回るんだ」と、彼は昨シーズン苦し紛れに語っていた。
家を建てる時のように、予期せぬ変数が重なり、結局高くついてしまうこともある。成功のためには予算をあまり考えすぎてもいけないのだと、アルテタは自身の経験から分かっているようだ。
4位:バルセロナ
価値:16億ドル(およそ2560億円)
最高価値の選手:ラミン・ヤマル(4億390万ドル)
バルセロナの巨大な評価額は、ほぼ一人の少年に集約されている。ラミン・ヤマルがメンバー全体の価値の4分の1を占めており、これは欧州エリートクラブの中でも突出した割合だ。
この数字上の支配力だけでなく、ピッチ上での決定的な仕事ぶりを見れば、この「4億ドル超え」の評価にも納得せざるを得ない。今や世界で最も優れたアタッカーであり、その存在はバルセロナにもスペインにも欠かせないものである。
3位:レアル・マドリー
(C)Getty Images
価値:17億8000万ドル(およそ2850億円)
最高価値の選手:キリアン・エムバペ(2億2100万ドル)
レアル・マドリーは、隠すことなくスターの力で動いている組織だ。CEOのホセ・アンヘル・サンチェスは言う。「我々は超大作映画のようなものだ。
その華やかさを維持するための代償は、決して安くない。しかしそれだけの投資をすることによって、このレアル・マドリーという世界最高クラスのブランド力は維持されている。最も華やかなクラブの一つとして、これからもサッカー界を彩っていくだろう。
2位:マンチェスター・シティ
価値:18億5000万ドル(およそ2970億円)
最高価値の選手:アーリング・ハーランド(2億7210万ドル)
選択肢が多すぎるのも考えものである。ジョゼップ・グアルディオラは、同世代で最高の監督でありながら、あまりに豪華な選手層ゆえに誰を起用すべきか迷うことがあるという。「いまだにベストな方法を模索している」という彼の言葉は、贅沢すぎる悩みと言えるだろう。
UAEのアブダビを拠点としているグループによって投資を受け、世界で最も豊かなクラブの一つになった「シティ」。マンチェスターのライバルであるユナイテッドがかつての栄光にすがる状況が続く中、こちらは順調に成長を続けている。
1位:チェルシー
価値:19億9000万ドル(およそ3190億円)
最高価値の選手:エステヴァン(1億4120万ドル)
ブルーコ・オーナーシップによるチェルシーの型破りな補強戦略は、当初は激しい批判にさらされた。解説者のギャリー・ネビルは、22歳の選手に8年契約を乱発するモデルを「フットボールマネージャー(ゲーム)の遊び方のようで、ひどすぎる」と切り捨てた。
だが、その狂気にもメソッドがあったということが、近年ようやく判明してきた。
ただ、このアプローチによって世界一の資産価値を手に入れた彼らのメソッドが、プレミアリーグの制覇という形に結実するかどうかは、まだこれからの話である。
※選出基準は、各選手の実績に基づきながら筆者またはメディアの主観的判断も含んでおります。
筆者:石井彰(編集部)

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