
7月24日にパラグアイとの初戦を迎えるパリ五輪の男子サッカー。前回の東京大会で4位に終わった日本は、56年ぶりとなるメダルを目指す。
最終的に招集できなかったオーバーエイジを含め、選手選考は困難を極めたが、その中でのベストメンバーが集った今回のチーム。メダル獲得を左右しそうな「キープレーヤー」5名を紹介する。
小久保玲央ブライアン
まずは、U23アジアカップ優勝の立役者と言える小久保玲央ブライアン。
6月のアメリカ遠征にはA代表に定着している鈴木彩艶も招集されたが、今夏のステップアップを実現するため五輪はメンバー外に(結果、パルマへ移籍)。今大会も小久保にかかる期待は大きい。
小久保はシュートストップはもちろんのこと、ハイボールへの安定した対応など鈴木に決して負けていない部分も多く、五輪後はA代表でも2人がポジション争いを繰り広げていく可能性は高い。
自身、ベンフィカから完全移籍したシント=トロイデンでレギュラー獲得が期待されており、良い形で2024-25シーズンに入っていくためにもパリの地でのパフォーマンスが期待される。
高井幸大

小久保とともにU23アジアカップで大きく株を上げた一人だろう。
2001年から始まる「パリ五輪世代」では一番年下、2004年の9月4日に生まれた19歳ながら、192cmの長身を生かした空中戦の強さに平面での対人能力、さらにはボールを扱う技術を備えた高井幸大。
センターバックの左右をこなす器用さも備えており、先日のフランス戦でも木村誠二と組んだ前半は右、西尾隆矢と組んだ後半は左へ入り、フランスのオーバーエイジFW2人(ラカゼットとマテタ)に粘り強く対応してみせた。
パリ世代の日本人選手では5本の指に入る逸材。近い将来、A代表で冨安健洋や板倉滉とポジションを争うことが期待されるだけに、パリ五輪で良い経験を積んで飛躍してほしい。
大畑歩夢

U23アジアカップの際はここから藤田譲瑠チマ、佐藤恵允、平河悠の3人を選出した。彼らへの期待値も変わらず高いが、今回は別の選手を挙げてみたい。
大畑歩夢はDFラインで唯一の左利き。
6月のアメリカ遠征や先日のフランス戦前半では半田陸も左サイドでプレーしたが、やはりぎこちなさが目立ち本来の力を発揮しているとは言いがたかった。
大畑はU23アジアカップでも左サイドバックとして対人を含め好プレーを連発。168cmと小柄ながら、右サイドもこなす内野貴史を押さえて18人のメンバーに入った彼にかかる期待は大きい。
荒木遼太郎

シュート2本に終わったフランス戦を見ても、大岩剛監督のもと培ってきたハイプレス以外で得点機を生み出すことに苦労しているU-23日本代表。
エースストライカーとして期待されている細谷真大もなかなか強みを発揮できず、五輪最終予選のU23アジアカップでは山田楓喜の“一発”に救われた感が否めなかった。
その中で、チャンスメイクで違いを見せてきたのが荒木遼太郎だ。鹿島アントラーズでは鈴木優磨とプレーエリアが被るためか持ち味を発揮できなかったが、今季期限付き移籍したFC東京では水を得た魚のように大活躍。
ターンやラストパスの質に加え、自らゴールを奪いに行くプレーでも精度とアイデアが光る生粋のトップ下。コンディションの問題でフランス戦は欠場したが、それだけに五輪では「秘密兵器」として期待される。
藤尾翔太

最後は、三戸舜介、バックアップの山田楓喜と迷ったが、今大会9番を背負う藤尾翔太をピックアップしたい。
斉藤光毅と三戸の参戦が可能になったことで、英2部ブリストル・シティ移籍の平河悠を含めタレント力が増した攻撃陣。ただ、短期決戦の中で「誰が一番計算できるか」と言えば、藤尾を置いてほかにはいない。
トップ昇格したセレッソ大阪から水戸ホーリーホックや徳島ヴォルティス、そして現所属のFC町田ゼルビアと、さまざまなクラブを経験してきた23歳は、チームあるいは試合の中で自分の役割を見出す能力に長けている。
1トップと右サイドをこなし、先発でも途中出場でも、攻守においてチームに貢献することができる藤尾。メンタル的にも強いものを持っており、J1首位町田の代表として五輪の舞台でも勝負強さを発揮してほしい。