
サッカーにおけるサポーターはいわゆる「客」であるが、そのプレッシャーによってクラブの人事に影響を与えることは多い。
チームのアイデンティティを決めるのはサポーターであると言っても過言ではない。
今回は『Planet Football』から「サポーターからの圧力によって加入が中止になった選手たち」をご紹介する。
マルコ・アルナウトヴィッチ
マンチェスター・ユナイテッドは2022年夏に新たなストライカーを獲得したいと考え、ボローニャからオーストリア代表のマルコ・アルナウトヴィッチを獲得しようとしていた。
選手本人はマンチェスター・ユナイテッドへの加入を熱望していたが、ファンはアルナウトヴィッチが来ることに拒否反応を示した。高齢だったことに加え、彼はこれまで人種差別的、性差別的な事件に何度も関与していたからだ。
CEOのリチャード・アーノルド氏に直接抗議のメッセージを送るなどファンは激しい反応を示し、クラブ側はそれを受けて静かにアルナウトヴィッチ獲得の動きを断念した。
クリスティアーノ・ロナウド

ロナウドが2022年にマンチェスター・ユナイテッドを離れたいと希望したとき、あまり他のクラブが興味を示すことはなかった。チェルシーやバイエルン・ミュンヘンは売り込みを断ったとされている。
その中で噂として浮上したのが、かつてロナウドが所属していたレアル・マドリーのライバルであるアトレティコ・マドリーであった。
しかしながらその報道に対してアトレティコのサポーターが反発。「ロナウドは我々の価値観とは正反対の人物である」と声明を発表し、クラブに対してプレッシャーをかけた。
ポール・ポグバ

マンチェスター・ユナイテッドに2回在籍したポール・ポグバ。イングランドではその華美なライフスタイルや一貫性のなさで批判を受け、常に移籍の可能性が示唆されていた。
2021年にはポグバの出身地の近くにあるパリ・サンジェルマンが獲得に動いていると報じられ、4300万ポンドもの移籍金が支払われる可能性があると言われた。
しかしそれに対してパリのファンは反発し、スタジアムに「ポグバ反対」の弾幕を掲げた。ポグバはパリ・サンジェルマンのライバルであるマルセイユのファンであると以前から伝えられていたからだ。
エル・ハジ・ディウフ

2002年ワールドカップでセネガルを躍進させた英雄ディウフ。しかし彼がその後移籍したイングランド・プレミアリーグでは、そのずる賢いプレーや不遜な態度で「嫌われ者」になってしまった。
ただ、彼を愛した監督もいた。それは御大サム・アラダイス。彼はボルトンとブラックバーンでディウフを獲得。「彼は質が高い」と評価し、暴れん坊を飼い馴らしていた。
ただ、2011年にアラダイスがウェストハムで彼を獲得に動こうとしていたとき、ファンは大いに反発した。最終的にクラブは契約のオファーを出すことを断念し、アラダイスは後に「ファンの状況を考慮しなければならなかった」と告白していた。
ジョーイ・バートン

ウェストハムには数々の荒っぽい選手が所属していたにもかかわらず、ジョーイ・バートンが加入しようとしたときにサポーターが反発したのは驚くべきことだ。
2015年にバートンが加入するという噂が流れたとき、ウェストハムのファンは団結して彼の加入を阻止しようと抗議活動した。彼がチームメイトを攻撃する可能性があると主張し、クラブに要望をぶつけた。
すでにメディカルチェックの予約までとっていたものの、クラブはそれを受けて獲得を取り消す。バートンは後に「ウェストハムのファンの声高な一部の人物は、まるで連続殺人鬼が来るかのような反応を示した」と自伝に書いている。