
[天皇杯ラウンド16、J1ヴィッセル神戸2-1東洋大学、8月6日、兵庫・ノエビアスタジアム神戸]
昨年のJ1王者と全日本大学選手権(インカレ)王者の対戦となった4回戦は、神戸が延長戦の末に2-1で東洋大に勝利した。
J1王者の意地を見せた神戸が準々決勝進出を決めた。
この日、後半12分に途中出場から2トップの一角を任された日本代表FW宮代大聖は、延長戦後半アディショナルタイムに値千金の決勝弾を決めてチームの勝利に貢献した。
決勝弾を挙げた宮代劇的決勝弾は「こぼれてくるかなと思っていました」
神戸は前半13分に先制点を挙げたが、その後試合をコントロールできず、東洋大に主導権を握られる展開が続いた。
この状況をベンチで見守っていた宮代は「動きが少ない」と思っていたという。
同点に追いつかれて迎えた後半12分、宮代がピッチに投入されると、前線でためをつくって攻撃の起点になるなど、停滞していた神戸の攻撃にリズムを与えた。
だが神戸は、ここまでJ1の2チームを倒して4回戦に駒を進めた東洋大の粘り強い守備に苦戦した。
宮代は「非常にコンパクトでしたし、粘り強い戦いをしてきた」と、インカレ王者の守備に手を焼いたことを認めた。

その後、延長戦へと突入。誰もがこのままPK戦に突入するかと思われた。
しかし延長後半16分、右サイドからDF広瀬陸斗が上げたクロスボールを、相手GKが痛恨のキャッチミス。宮代がこぼれ球に反応して頭で流し込んだ。
劇的な決勝弾に、スタジアムに集まった神戸サポーターが沸いた。
神戸の背番号9は「(相手GKが)試合中に何回か(ボールを)こぼしているシーンもあったので、こぼれてくるかなと思っていました」と得点シーンを回想した。

現在J1首位を走る神戸は、この日勝利を収めたことで直近の公式戦10試合負けなし公式戦5連勝とした。
好調・神戸を牽引する日本代表FWは、良くない内容の試合でも勝ち切る強さがいまの神戸の好調の要因だと言う。
「まず、こういう試合をPK戦までいかずに勝ち切れているというのはチームがいまいい状況にあるということだと思います。チーム内の競争もどんどん上がってきているので、そこがこのチームの良さだと思います。みんなが結果を出し続けて、チームがいい方向に向かっていけばいいと思います」
神戸は今月10日午後7時からアウェイの町田GIONスタジアムで町田ゼルビアと対戦する。
神戸の背番号9は「目の前の一試合、一試合(が大事)と監督が毎回言っています。きょうの試合でもたくさんの反省点が出たと思うので、次のリーグ戦につなげられるように、切り替えてがんばっていきたいと思います」とこぶしを握った。
苦しみながらも前進し続ける常勝軍団は、主要国内タイトル総なめを狙う。
(取材・文 縄手猟)