茨城が日本サッカーを席巻!筑波大が8大会ぶり10度目の日本一「大澤さんの想いをもとに…」小井土正亮監督は故・大澤英雄氏へ感謝の想いを語る

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[第74回全日本大学サッカー選手権大会決勝ラウンド決勝、国士舘大 0-3 筑波大、12月27日、栃木・栃木県グリーンスタジアム]



筑波大は全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)決勝で国士舘大を破り、8大会ぶり10度目の優勝を成し遂げた。



試合後、筑波大を率いる小井土正亮監督は、今年の日本サッカー界を席巻した“茨城県勢”の躍進について言及。

また、今年2月に亡くなった国士舘大の元理事長・大澤英雄氏へ、感謝の言葉を述べた。



プロ、大学、ユースで“茨城県勢”が頂点に



優勝セレモニー後、選手たちから胴上げの祝福を受けた同監督は、記者会見場に姿を見せ、胸をなでおろしたような表情を浮かべていた。



「今年の筑波大学は、学生たちだけでつくってくれたチーム。それをこんなにたくましく応援してくれる人、スタッフ、運営、トレーナー、アナリスト、全員に感謝したいと思います。そういうチームを一緒につくれて、一緒に戦えて本当に幸せ」



前半は押し込まれる時間帯が続き、国士舘大に何度も決定機をつくられたが、GK佐藤瑠星(4年、大津高、J1浦和レッズ内定)を中心に、守備陣が身体を張って耐えしのいだ。



それでも後半24分に均衡を破ると、一気に流れを手繰り寄せ、同31分、同42分に立て続けに追加点を奪取。3-0の完封勝利で大学日本一に輝いた。



茨城が日本サッカーを席巻!筑波大が8大会ぶり10度目の日本一「大澤さんの想いをもとに…」小井土正亮監督は故・大澤英雄氏へ感謝の想いを語る
画像: 筑波大の選手たちから胴上げされる小井土監督(写真 縄手猟)

筑波大の選手たちから胴上げされる小井土監督(写真 縄手猟)



今年の日本サッカー界は、茨城県のチームが目覚ましい結果を残した。



J1では鹿島アントラーズが9年ぶりにリーグ制覇を果たし、J2では水戸ホーリーホックが初優勝。



さらにU-18年代では、21日に鹿島ユースが高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2025ファイナル(プレミアファイナル)を制し、日本クラブユース(U-18)大会、Jユースカップに続く今季3冠を手にした。



小井土監督は、J1、J2、大学、ユースの大会で茨城県のチームが頂点に立った偉業について、「“育成茨城”という取り組みの中で、Jクラブと流経さん(流通経済大)と筑波で連携して、みんなで強化していこうとやってきてた中で、茨城ファミリーとして結果を残せたのは、本当にうれしい」とコメント。



続けて「私たちが勝つことで、また筑波大学を目指したいとか、流通経済大学を目指したいとか、いろんな人がここ(茨城県)でやりたいと思ってくれたらうれしいです。我々が頑張るよりも、子供たちが夢を持ってサッカーに臨めるような地域になったらうれしいので、また引き続き強くあり続けることが大事」と語り、結果を積み重ねていくことが、茨城県サッカー全体のさらなる発展につながるとの考えを示した。



亡き大澤氏の想いをもとに…



小井土監督は国士舘大との対戦が決まったとき、今年2月に亡くなった国士舘大元理事長・大澤氏の存在が脳裏に浮かんだという。



「この大会にあたって、国士舘大学と(試合を)やるとなったときに、大澤先生のことが思い浮かびました。国士舘大学さんの想いは、もちろんリーグ戦のときから感じていましたし、試合を通じて執念みたいなものも感じました」



大澤氏は現役時代に、国士舘大サッカー部初代主将として活躍後、60年以上にわたり同大サッカー部を指導。JUFA(全日本大学サッカー連盟)理事長などを歴任し、日本サッカーの発展に尽力してきた。



昨年も国士舘大サッカー部のテクニカルアドバイザーを務めていた。



茨城が日本サッカーを席巻!筑波大が8大会ぶり10度目の日本一「大澤さんの想いをもとに…」小井土正亮監督は故・大澤英雄氏へ感謝の想いを語る
画像: 記者会見で故・大澤氏へ、感謝の想いを語った小井土監督(写真 縄手猟)

記者会見で故・大澤氏へ、感謝の想いを語った小井土監督(写真 縄手猟)



小井土監督は「実は、私たちが2014年に降格した年の閉会式、また翌年の開会式に、大澤さんが理事長で『筑波大は強くなくちゃいけないんだ』ということを叱咤激励していただき、その想いをもとに、この10年間チームづくりをしてきたつもりです」と、生前の大澤氏との秘話を回想した。



大澤氏の意志は国士舘大のみならず、小井土監督の指導を通じて筑波大にも受け継がれていたのだ。



今大会、国士舘大の選手たちも「大澤さんのために」という想いを胸に戦っていた。



その姿勢に敬意を示しながら、筑波大の指揮官は「改めて大澤先生に感謝の気持ちをお伝えしたいと思います」と静かに言葉を結んだ。



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チームの垣根を越え、大澤氏の意志はいまも日本サッカーの現場に脈々と息づいている。



(取材・文・写真 縄手猟)

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