EAFC(旧FIFA)シリーズなどでおなじみの世界的ゲーム会社エレクトロニックアーツ(EA)。先月26日には新作『EA FC26』の発売が日本でも始まった。

そうした中、イギリスメディア『BBC』は「EAがサウジアラビアの公共投資基金(PIF)などによって総額550億ドル(約8兆1380億円)で買収されることが明らかになった」と伝えた。

同メディアによると、買収企業側は先に360億ドル(5兆3260億円)を支払い、残りは借入によって賄われるという。

ゲーム業界としては、マイクロソフト社によるアクティビジョン・ブリザードの買収にかかった690億ドル(約10兆2095億円)に次ぐ規模の買収で、レバレッジド・バイアウト(借入金を活用した買収)としては史上最大とされる。

EAはEAFCシリーズのほか、『ザ・シムズ』や『バトルフィールド』など数々の人気ゲームを手がけていた。特にサッカー関連のゲームでは累計3億2000万本以上を販売している。

今回の買収により、同社は株式市場から姿を消し、非公開企業となる。

EAのアンドリュー・ウィルソンCEOは「我々の取り組みが強力に評価されたことを示すものだ。パートナーとともに、次世代にインスピレーションを与える変革的な体験を創造していきます」とコメントを発表した。

だが『BBC』は、EAは約200億ドル(約2兆9600億円)近い負債を負うことになり、ゲームの収入の多くが返済に充てられる可能性が高いと報じている。

ゲーム業界専門家のクリストファー・ドリング氏は同メディアの取材で「投資ファンドによる買収は意外であり、この取引に対する業界の不安は大きい」とし、「キャッシュフローを強化するよう買収企業側から圧力がかかれば、EAでさらなる人員削減が行われる可能性が高い」と懸念した。

サウジアラビアはここ数年、ゲーム・eスポーツ分野への投資を積極化しており、2025年には『ポケモンGO』を提供しているナイアンテック社のゲーム部門を35億ドル(約5180億円)で買収した実績もある。

PIFは石油収益を背景に数千億ドル規模の資産を有しており、様々な分野で積極的な投資を行っている。

サッカー関連では、サウジアラビア1部のアル・ヒラル、アル・ナスル、アル・アハリ・ジェッダ、アル・イテハドの4チームを買収し、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドら世界的スター選手を次々とサウジアラビアに迎え入れている。

PIFのEA買収は、多岐にわたる業界におけるサウジアラビアの影響力拡大を象徴する動きと言える。

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