スペインが誇る世界的強豪バルセロナが、プレシーズンツアーで日本に来日し、27日にヴィッセル神戸との親善試合を行った。
バルサは今夏のツアーで日本と韓国を訪れる予定だったが、24日に「プロモーター側の重大な契約違反により、日曜に日本で予定されていた試合への参加を中止せざるを得なくなった」と発表。
その後、神戸側が「FCバルセロナ来日試合につきまして、関係各所との慎重な協議を重ねた結果、予定通り開催させていただく運びとなりましたことをお知らせいたします。本件につきましては、契約上の問題が発生したことから、楽天グループと協力の上、試合開催の実現に向けてFCバルセロナを含む関係各所との調整を行ってまいりました」と発表し、無事に試合は開催された。
この騒動について、バルサのアジアツアーの総合プロモーターである韓国のD-Drive社のCEOはこう説明している。
「日本のプロモーターであるYASUDAグループが、日本のスポンサーである楽天が支払うべき試合料の残り100億ウォン(10.6億円)を横領していたことが明らかになった」「クラブとファンのために責任ある決断を下した楽天の勇気に敬意を表する」
神戸の会長でもある楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長が、バルサに500万ユーロ(8.6億円)を支払うことで合意し、日本ツアーの中止回避に大きく貢献したとされている。
そうしたなか、韓国の『sportschosun』などは、こんな裏話を伝えていた。
「バルセロナが24日に日本ツアー中止を発表した理由は、日本スポンサーからの契約金支払い問題にあった。
楽天の三木谷会長は、日本ツアーにおけるバルセロナの契約金支払い問題を解決したが、問題はバルセロナ選手団の移動だった。
バルセロナには30人以上の選手が所属しており、コーチやスタッフなど大人数の飛行機をたった1日で手配するのは容易なことではなかった。
450億ウォン(48億円)の損失の脅威に直面し、スポーツ愛好家の企業とグローバル航空ネットワークが緊急対応に踏み切った。
楽天の三木谷会長は、面識のあるエアアジアのトニー・フェルナンデス会長に協力を依頼。
フェルナンデス会長は、2012年にパク・チソンが加入したQPRのオーナーを務めるなど、サッカー界に縁のある人物だ。妻が韓国系である代表的な親韓派実業家でもある。
フェルナンデス会長所有のエアアジアのボーイング777をチャーター便として再就航させる案を協議したが、離陸10日前までに届け出が必要となる航空保安法により、緊急時の割り当ては不可能だった」
「唯一の解決策は、既存の大韓航空チャーター便を復活させること。そのためには、大韓航空は決断を迫られた。
24日夜、フェルナンデス会長は韓国サッカー協会のチョン・モンギュ会長に緊急支援を要請。チョン会長は大韓体育会のユ・スンミン会長に連絡を取り、ユ会長は韓進グループのチョ・ウォンテ会長(大韓航空社長でもある)とチョン会長を繋ぎ、事態の収拾を図った。
会長たちは『韓国ツアーが円滑に進むためには、日本ツアーも予定通り実施されなければならない。韓国のファンのためにも、我々は努力しなければならない』という心情で問題解決に乗り出した。
バルセロナが出発する前日の午後10時過ぎまで尽力し、同チームは劇的な形でアジア行きの飛行機に搭乗することができた。
ユ会長は、『両会長は深夜にもかかわらず、まるで我が事のように動いてくれた。バルセロナ戦を待ちわびていた子どもたちやサッカーファンの夢と希望が打ち砕かれかねない状況の中、スポーツ人、サッカー愛好家、そして企業人として、皆が助けたいという気持ちで動いてくれた。大きな危機に瀕していた無名の韓国民間企業のスポーツ外交に役立ち、アジア企業の信頼回復にもつながったことは幸いだった』と述べた。
D-DriveのCEOも、『楽天とエアアジアの背後に、韓国の企業家とスポーツ界の迅速な支援があったことを後から知った。
バルサは当初の一日遅れで日本に渡航した。三木谷氏が資金問題を解決した後、韓国側も日本ツアー実現のために奔走していたようだ。
バルサは、離日した後に韓国で2試合を行う。