
[総理大臣杯決勝戦 東洋大(関東1部)0-0 関西学院大(関西1部)、13日、宮城・キューアンドエースタジアムみやぎ]
2021年大会準優勝の東洋大は、2023年大会準優勝の関西学院大との決勝を、1-0で勝利して大会初優勝を飾った。
この日、左サイドバックで先発した東洋大DF山之内佑成(4年、J1柏レイソル内定、JFAアカデミー福島U-18)主将はキャプテンマークを巻き、身体を張った守備でチームの完封勝利に貢献した。
大会初優勝も、気を引き締める
東洋大の井上卓也監督は「関西学院大さんがやろうとしていることがよく出ていた試合内容だったかなと」と試合を総括した。
同監督が言うように、この試合は9大会ぶり2度目の優勝を目指す関西学院大が強度の高い守備から試合のペースをつかみ、何度も東洋大ゴールを脅かした。
東洋大の主将は「きょうの試合は、自分たちがボールを握る時間帯もありましたけど、カウンターのところでピンチを招くシーンがあった」と、相手の勢いに押された試合展開を認めた。
それでも、「そういうところで失点を簡単にしないところが、きょうの勝利の鍵になったと思います」と、無失点に抑えた守備に胸を張った。

昨年度のインカレ王者として臨んだ今大会、簡単な試合は一つもなかった。
1回戦の立命館大戦は、後半アディショナルタイムに山之内がなんとか決勝点をもぎ取って勝ち進み、中央大との準々決勝は2-1と僅差で勝利。準決勝の駒澤大との試合は、後半46分にPKを獲得して同点に追いつき、最終的にPK戦で勝敗をつけた。
過密日程の中で拮抗した試合が続き、大会を通して押し込まれる展開も少なくなかったが、今年の天皇杯でJ1チームとの連戦で得た経験が、今大会に生きた。
「大会が始まる前から簡単な試合はないだろうと思っていました。自分たちで守って、最後のチャンスをものにする。天皇杯から積み上げてきたので、苦しい試合でもじれることなく、点を取って勝ち切るところは、この試合もチームとして一つ成長できているところかなと思います。
天皇杯もそうですけど、自分たちがボールを持っていないときに、どういうプレーを選択するのかという部分が成長できているなと」

東洋大の主将は、同校史上初の総理大臣杯優勝に「ここまでみんなでやって、優勝という形で終われてうれしい」と笑みをこぼしたが、今後のリーグ戦を見据えて、すでに気を引き締めてる。
「結果的に総理大臣杯優勝という形で終わりましたが、来週からリーグ戦が始まります。僕たちの目標であるリーグ優勝と、インカレ2連覇に向けて、満足することなくチーム全員でやっていきたいと思います」と、こぶしを握った。
東洋大は現在、関東大学サッカーリーグ1部で12チーム中6位と、優勝に向けて厳しい状況が続く。
後半戦の巻き返しへ、来季プロの道へ進む主将がチームを牽引する。
(取材・文 縄手猟、撮影 宇田春一)