
[J2第14節モンテディオ山形3-0大分トリニータ、5月6日、NDソフトスタジアム山形]
山形が大分を破って5試合ぶりに勝利を挙げた。
前半25分にFW藤本佳希(よしき)が頭で先制し、続く後半24分にMF國分(こくぶ)伸太郎、試合終了間際の同49分にはFW高橋潤哉が追加点を奪って完勝。
古巣相手にキャリアハイの4ゴール目
後半24分にGKのクリアボールを高い位置でMF吉尾海夏(かいな)が頭ではたいてショートカウンターが発動。MF髙江麗央が國分に鋭い楔のパスを送ると、ターンしてペナルティアーク手前で左足を強振(きょうしん)した。ゴール右隅へミドルシュートが突き刺さると、山形ゴール裏に集った青白のサポーターたちが荒れ狂う波のように揺らいだ。
感情を爆発させた背番号25は高く跳躍し、自身キャリアハイ4得点目に歓喜していた。
2得点目を決めて喜びを爆発させた國分「長いボールが前に入ったときのセカンドボールを、前々節の(カターレ)富山戦、前節の(北海道コンサドーレ)札幌戦も意識していたので、(髙江)麗央がパスを入れてくれたタイミングで、いいところにボールを止められた。キーパーの位置、距離感を含めて見てトライしました。(キャリアハイのゴールが決まって)うれしいです!」と笑みを浮かべた。
この日は3-4-1-2のシャドーで先発した國分は攻めれば効果的な配球と豊富な運動量で幅広くサポートし、守れば率先してプレスを仕掛けて相手の起点を潰した。攻守において絶大な存在感を見せて自身がプロデビューを果たした大分を圧倒し続けた。

チームは4試合白星を挙げらていない中でフォーメーションを変更しながら試行錯誤していた。前節の札幌戦で採用した2トップを配置した3-4-1-2をこの日も使い、國分のシャドー起用が功を奏した。
「まずは前線に多く人を入れたい。
そこで上回らないと勝てないと実感しているので、僕もビルドアップに絡みながらも、前線に行けるときは行っています。少しでもチャンスがあるのであれば、後ろのバランスが良くなった状態のときは、前線にフォワードのような形で顔を出しています。その結果が少しずつですが、きょうもゴールに、チャンスにつながっていると思います」と手応えを口にした。
キャリアハイの4得点を決めたハードワーカーが躍動したことで、昨季勝負強さを見せた山形が戻りつつある。開幕3連敗と低調なスタートを切ったが、11季ぶりのJ1復帰に向けて反撃ののろしを上げた。
ビジターゴール裏に挨拶した生え抜き
國分は高校から大分の下部組織に入団し、3年間アカデミーで育った。トップチーム昇格は果たせなかったが、関西の大学サッカーの名門である立命館大に入学し、大分初となる大学経由のトップチーム入団を果たした。
ただ大分では所属した2シーズンで23試合(先発9試合)無得点と期待された活躍を果たせなかった。2019、2020年に現J3ギラヴァンツ北九州へ期限付き移籍して実力を伸ばした。
山形では今季を含め7シーズンに渡って主力として活躍。

古巣について問われると、「僕は山形の在籍年数のほうが長い。山形のために、僕自身もクラブのためにプレーしました」と語った。
ただ試合終了後に國分はビジターゴール裏に近づくと深いお辞儀と拍手を送る姿を見せた。古巣のサポーターも「伸太郎はうちで悔しい想いをしてきたのに、それでも俺たちにお辞儀や拍手を送ってくれるなんてうれしいよね。涙が出そうだよ」と生え抜きのあいさつに喜んでいた。


大分サポーターが喜んでいたと伝えると國分は「ここまで育ててくれて、ユースもそうです。トップチームでもプレーさせてもらって、たくさんのサポートをしてもらった。きょうはこういう形で元気な姿を見せることができたと思う。また一緒にJリーグを盛り上げられたらと思います」と感謝していた。
大分を破った山形は11日午後2時にアウェイでV・ファーレン長崎と対戦する。「連勝あるのみですね。
(取材・文 高橋アオ)