2024シーズン佳境!各クラブの立ち位置と残りの試合について【17位:京都サンガF.C.編】
2024シーズン佳境!各クラブの立ち位置と残りの試合について【17位:京都サンガF.C.編】

J1リーグも残すところ5試合となりました。

残留争い、優勝争い、そしてACL圏内争いと激化していくそれぞれの闘い。

今回は京都サンガF.C.の現状と立ち位置、そして残り5試合について考えみようと思います!

京都サンガF.C.

17位:10勝 8分 14敗(32試合)、勝点38

得点39、失点53、得失点差-14

現在のベストスタメン

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夏の移籍期間の動きと補強について

【IN】

• ムリロ・コスタ(8/8)[ジル・ヴィセンテ(ポルトガル)/新加入]

• ルーカス・オリヴェイラ(7/21)[クルゼイロ(ブラジル)/期限付き]

• 圍謙太朗(7/16)[秋田/新加入]

• 米本拓司(6/27)[名古屋/期限付き]

• ラファエル・エリアス(6/24)[クルゼイロ(ブラジル)/期限付き]

【OUT】

• 飯田陸斗(8/2)[奈良/期限付き]

• ヴァルネル・ハーン(7/24)[ハンマルビーIF(スウェーデン)]

• 一美和成(7/19)[岡山]

• 山﨑凌吾(7/12)[C大阪]

• 谷内田哲平(6/27)[FC安養(韓国)/期限付き]

京都サンガF.C.は夏の補強を大きく当てたチームの1つです。彼らもまた前半戦で苦しみ抜いたチームでしたが、徐々に京都サンガの良さを取り戻しつつ、夏の新戦力たちによって爆発的な強さとエネルギーを取り戻してみせました。

特にラファエル・エリアスの加入はチームに安定感と決定力をもたらしました。チームの攻撃のスタートを担うことが多く、上のパスを引き取りながらゲーゲンプレス発動のきっかけを作り出したり、下のパスから前進するための出口も作り出しながら、フィニッシュまで行っています。早くもチームになくてはならない選手に上り詰めました。

またハイプレスを敢行することが多い京都において、米本拓司のポジションでのスペースの消し方と潰し切れる強さはチームに守備の安定感をもたらしました。特に加入直後の試合は周りを動かしながらプレスの指示を行っていることもチームに大きな影響を与えていました。

そしてネガティブ・トランジションの局面です、シンプルな反応速度と予想によってゲーゲンプレスを完結させてショートカウンター発動のきっかけを作り出すこともできていました。

さらにルーカス・オリヴェイラです。宮本優太と鈴木義宜の控えに回っていますが、規格外な選手ということを短い出場時間で見るものに印象付けています。広大なカバーエリアも、純粋な対人もとんでもないレベルにあると思います。彼もまた残留に向けて大きな戦力になっていることは間違いありません。

シーズン当初は降格圏内に沈んでいましたが、新戦力と共に降格圏を見事に脱出。現戦力の連携も問題なく、どれだけの結果を残せるかはとても興味深いチームです。

残りの対戦相手とその予想

34節 サガン鳥栖戦(H)

残留を争うチームな上、ここの勝利は必須です。中断前の2試合で352の振る舞いを少し変えてきたサガン鳥栖。守備から試合を始めることを選択し始めて、徐々に試合のペースを安定させることに成功しています。WBのところで福田晃斗や中原輝を起用しているのは、ここで配置的な優位性を取りながら時間を管理したいからだと思います。

また、ローテーションしながら前進をしていく方法も見られるようになりました。プレスを呼び込み、ズレを作りながらマルセロ・ヒアンを中心とした擬似カウンターを押し出して攻撃を完結させようとしてくると思います。

これに対してサンガは特に振る舞いは変えず、ハイプレスを仕掛け、ショートカウンターを押し出していくと思います。3CBに対して3トップを当てはめにいくと思いますが、問題はDMFの管理です。

ここにIHを押し出すことが多くなると思いますが、そうなるとIH⇒DMFの玉突きの管理が必要になってきます。これを作り出されないように、しっかり1stプレスラインで制限をかけながら、WBにはSB、出口となるIHにはDMFが出て行けるような時間を創出していきたいところです。

33節のヴィッセル神戸戦でもハイプレスからショートカウンターで仕留め切っています。前進のところに制限をかけ、迎撃とショートカウンターを押し出したいところです。

さらに、サガン鳥栖は3CBが晒されることに弱点があります。サンガの3トップは強烈で、強さ、高さ、速さ、そしてテクニック、全てにおいて高次元にあります。どの試合もそうですが、サガン鳥栖戦でもここを押し出すことができれば、自然と勝利は掴めるのではないでしょうか。

35節 サンフレッチェ広島戦(A)

残留へ向けての大きくそして高い障壁です。リーグ前半戦では5失点とショッキングな敗戦を喫してしまいました(この大敗をきっかけに徐々に復活を遂げるのですが)。

しかしサンガにもチャンスはあります。それがロングカウンターです。ボールも持てるようになっているのが現在のサンフレッチェ。プレスを回避されることが多くなることは予想できます。

そこでIHを前に出す442のミドル~ローブロック形成です。451から442へのプレスのスイッチも明確な形です。ブロックを作り出しながら、3CBの一角の攻撃参加を促しながら弾き返してカウンターに出て行きたいところです。

特にエリアスvs荒木隼人のところはこの試合の大きな分岐点となりそうです。なんとかここで起点を作りつつ、カウンターに出て行くことができれば、勝機を伺えるかもしれません。

36節 川崎フロンターレ戦(H)

保持に振るのか、カウンターに出るのか。この辺りの割合でずっと苦しんでいる印象が強いのがフロンターレです。

より詳細に触れると、移動コストの問題によるトランジションとサポートの準備ができない場合が多くあり、それによってカウンターをくらってしまう場面があります。また442のプレスもプレスバックが少ない分、CHや最終ラインが晒され場合も見受けられます。

しかし河原創と山本悠樹がCHのコンビを組んだ時はポジション移動の時間の管理や、相手を引っ張り出すためのボール回しを行うことができています。33節のFC町田ゼルビア戦のように、プレスを回避しつつ攻撃に出て行くことも可能になっていました。

対するサンガです。まずやはり考えて行きたいのがプレッシングです。4バックに対して3トップの形になりますが、この場合CBに対してWGを外から覗かせる形を取りながら、CFと片方のIHでCHを管理します。

これを作り出すことによって、SBがSBまで出ていくための時間を作り出すことができます。このハイプレスを押し出していけばいくほど、フロンターレの出口を作り出す選手を前進のソースに割かせることが可能になります。

そうすると、CBも高い位置で迎撃を作り出せる回数が増えていきそうです。この回数を増やせば増やすほど、チャンスを多く作り出すことができるでしょう。さらに442のブロックに対しては3トップへの上のパスとそこから発生するゲーゲンプレスで一気にカウンターに出ていくことが可能になるでしょう。

試合のテンポを落ち着かすことなくプレーしていくことができれば、フロンターレのポジションを取り直す時間を削ることができるのでチャンスを多く作り出せそうです。

29節(延期分) 鹿島アントラーズ戦(H)

残りの試合で最も未知数なチームになりました。ランコ・ポポヴィッチ監督の解任により、チームとしてどのようなものになるかが不透明です。

しかし個々人の能力は疑いようがなく、難しい試合になることは間違いないです。3421なのか、伝統的な442なのか、試合が再開されなければ分からないですが、サンガからするとやることは変わらず、3トップを生かしながら戦いところです。

37節 町田ゼルビア戦(A)

徹底する強さを持ち合わせるチームで、今季のJ1をかき乱したチームです。手数をかけずにターゲットマンにボールを届けていくことで、敵陣に入ってトランジションでの勝負とプレーを終わらせてセットするところからのハイプレス、そしてセットプレーから攻撃を仕掛けていきます。

反応速度と走力が必要になるサッカーですが、ハマった瞬間の火力はとても高いものがあります。さらにハイプレスは424ぽく仕掛けることが多く、できる限り蹴らせて回収、もしくは球足の長いパスを選択させて最終ラインで迎撃を作り出すことを考えています。DMFを配置するチームにはCHを縦関係にするダイヤモンド型でプレスをかけていくことが多くなっています。

しかしここ最近、なかなか勝てないのには理由があります。インテンシティの高いサッカーをするので、ここの疲労感は否めません。さらに対策をされて敵陣でのセットプレーの回数も減ってきているのも勝ちきれなくなっている要因だと思います。さらに442のローブロックです。SBとCBが割れることが多く、横からのボールでピンチを迎えることは多々ある印象です。

だからこそサンガは積極的にチャンネルランを繰り返しながら、SBとCBを割っていきたいところです。そのためにまずはハイプレスを越えていくことが必要になってきます。

これを行っていくために、ゼルビアのCHを縦関係にしながら残るCHを晒すことを行っていきたいところです。これを行うと、3トップへの上のパス+2nd回収のところで優位に振る舞うことができそうです。さらにCBとDMFを主な前進の土台にしていくことができれば、SBを高い位置に押し出して、SHを押し下げることも可能になります。

かなり人を意識する町田ゼルビアなので、これでショートカウンターの威力を下げさせること、またSHが戻らないのならばSBを釣り出すことができるので、SBとCBを簡単に引き裂くことができます。サイド奥をしっかりと取っていくことで、クロスからのフィニッシュで勝利を掴むことができそうです。

38節 東京ヴェルディ戦(H)

堅実で基本に忠実。そしてそれを支える情熱。若き力が躍動し、J1を堂々と戦い抜いています。

しっかりと523のハイプレスと541の守備ブロックの使い分けの線引きが丁寧で、その設計もきちんとなされています。攻撃に関しては保持もカウンターも持ち合わせる多くのことを高いレベルで行えるチームです。

しかし33節の湘南ベルマーレ戦のように若いチームがゆえ、プツンと糸の切れたようなパフォーマンスになることもあります。

さらに弱点として、WBを止められた場合、プレッシングに出ることが難しくなり、1stプレスラインの方向付けが難しくなってきます。そうなると自陣に下がることが多くなるので、苦しくなることが多い印象です。

だからサンガからすると、まずはWBを止める動きと1stプレスラインを広げるところから試合を進めていきたいところです。DMFがいることによってCHを釣り出すのか、CFに管理させるのか、この辺りを突き付けながらWGやIHでWBの管理下に入ってCHの周辺で起点を作っていくと崩しにスムーズに入ることが可能になるでしょう。

さらに押し込むことができると、CHが最終ラインに吸収されることが多くなるので、バイタルエリアを使いながらフィニッシュワークに入ることができれば、ゴールに自然と近づけて行けそうです。ラファエル・エリアスやマルコ・トゥーリオなど、ボックスの外から足を振ってゴールに叩き込むことのできる選手もいるので、積極的にシュートを打って新たな崩しのルートも創出したいところです。

延期分を合わせて6試合残していますが、そのうち4試合がホームで戦えることは大きなメリットだと思います。しかし、デイゲームのホームゲームはまだ勝ててないというスタッツも残っているのも少し怖いところです。

とは言っても、ここで勝たなければ残留することはできません。そして今のサンガにはそれを覆せるだけの選手たちがいます。直向きにゴールに向かい続けるサッカーで残留を決め切りたいところです。

Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|

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