
[J2第2節、ジェフユナイテッド千葉 2-0 カターレ富山、2月22日、千葉・フクダ電子アリーナ]
千葉がJ2復帰の富山を2-0で下し、10季ぶりの開幕連勝スタートを切った。
今季よりJ2ロアッソ熊本から完全移籍で加わったFW石川大地は前半35分に先制点を奪い、加入後初ゴールを記録した。
悔しさをバネにして奪った誕生日を祝うゴール
石川は昨季リーグ戦27試合10得点を記録し、今季の目玉補強選手の一人として千葉へ入団。ゴール前での駆け引きとワンタッチシュートが武器の男に、サポーターは大きな期待を寄せていたが、開幕戦のJ2いわきFC戦(2○0)はベンチスタートとなり、この日が千葉での公式戦初の先発出場だった。
FW石川大地「もちろんスタメンで出たかった」と前節で味わった悔しさを口にした。この日はFW林誠道(まさみち)と2トップで先発出場。林が空けたスペースに石川が走りこむなど、両者は互いの動きを観ながら試行錯誤を繰り返して、相手ゴールへ襲いかかった。
「二人ともフォワードなので、入るところが被ってしまうときがあります。『俺もそこに入りたいのにな』という場所に、ミチ(林)が入っていたりする。でも、そこがお互いの良さでもありますし、うまくコミュニケーションを取りながらやっていけばもっと良くなる」と2トップの難しさを口にしつつも、背番号17とのコンビネーションに手ごたえを得ていた。

すると、この二人が魅せた。
前半35分に左サイドで抜け出したMF日高大(まさる)がボールを受けると、そのままボックス内から左足でグラウンダーのクロスを供給。相手DFがカバーに入っていたが、走りこんでいた林が潰れてボールは石川の元へ。
千葉の新エースストライカーとして名乗り出る
「きょうの試合はそれだけを求めていた」と加入後初ゴールの喜びを噛みしめた石川。いわき戦でスターティングメンバーから落ちた悔しさを糧にトレーニングを積んできた。
千葉の小林慶行(よしゆき)監督は「(石川は)チャンスを作れるし、自分でも決め切れる能力を持っていると(前所属の)熊本で証明していました。大地はいわき戦後のトレーニングマッチでいいプレーを披露していましたし、そのようなプレーをした選手は『絶対に起用したい』というのが、チームへのメッセージです」とストライカーを称賛し、ホーム開幕戦の先発を任せた。

自身のバースデーゴールに感情を爆発させた背番号20は、チーム内で得点後のパフォーマンスとして恒例化している“ジェフ三唱”を披露。『ジェフ!ジェフ!ジェフ!』の掛け声に合わせて、力強く拳を3回突き上げた。
「周りの選手に『(サポーターから)煽られているよ』、『みんな待っているよ』と言われました。少し前に(“ジェフ三唱”の)練習はさせらていたので、そのおかげでうまくいきました(笑)」と努力の成果が実った。
千葉は後半5分に追加点を記録し、リードを2点差にした。同28分までプレーした石川は虎視眈々と2ゴール目を狙っていたが、チャンスは訪れず。それでも、会場からは指揮官とサポーターの期待に応えた石川へ拍手が送られた。

昨季のJ2得点王(23得点)であるFW小森飛絢(ひいろ、ベルギー1部シント=トロイデン)が期限付き移籍でチームから離れた。17季ぶりのJ1復帰を目指すクラブのサポーターは新たなエースストライカーの登場を待ちわびている。
「去年、(小森が)得点を取っていたことは自分自身もJ2でやっていたのでもちろん分かっています。だけど、前の人の名前が出ないように活躍できることが一番いいと思っていますし、それを目指している。まだ1得点なので、これをどんどん積み重ねてやっていきたいと思います」と、背番号20は得点量産への覚悟を口にした。
千葉は来月1日午後2時からホームでJ2モンテディオ山形と対戦する。「サポーターからも選手から信頼されるような選手になりたい」と決意した石川が新たなエースストライカーとして名乗り出た。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 Ryo)