
[天皇杯ラウンド16、J1浦和レッズ 2-1 J2モンテディオ山形、8月6日、NDソフトスタジアム山形]
浦和は山形を下して、天皇杯初戦を突破した。
0-1の後半16分にMF金子拓郎が同点とし、同40分にはFW小森飛絢(ひいろ)が決勝弾を挙げた。
この日25歳の誕生日を迎えた小森はバースデーゴールを挙げたが、時折晴れない表情を浮かべた。
因縁の地で挙げたゴール
後半40分にMF安居海渡のパスをペナルティエリアで受けた小森は、素早く右足を振り抜いてゴール左下に決勝弾を流し込んだ。
「うまく前を向けたタイミングで、これはシュートだという判断にいたりました。思いきって振り抜きました」
得点後は笑顔を見せるも、ミックスゾーンでは時折晴れない表情を浮かべるシーンもあった。
無理もない。昨季所属していたJ2ジェフユナイテッド千葉では、山形で辛酸を舐めたからだ。J1昇格プレーオフがかかった最終節に、千葉は山形に0-4で大敗と16季ぶりのJ1昇格を逃してしまった。
J2得点王に輝いた小森はこの試合に先発するも不発に終わり、大粒の涙を流していた。
昨季最終節終了後に大粒の涙を流した小森(右、Getty images)因縁の地でのゴールに「苦い思い出もあった嫌なスタジアムでしたけど、きょうこうやって、自分のゴールで勝つことができたので良かったと思います」とリベンジを果たした。
ただあのときチームを救えなかった悔しさは、現在も抱えているように見えた。筆者は「きょうのゴールで吹っ切れましたか」と問いかけた。
小森は「違うチームで、違う形で。
あの日味わった屈辱はチームが変わっても抱き続けている。それでも成長のために、ベルギー1部シント=トロイデンでの挑戦、新天地浦和への移籍と千葉を離れた男は一歩、一歩着実に前へ進んでいる。

あの悔しさを再び味わうわけにはいかない。浦和の赤きストライカーとしてチームを救う活躍を見せた小森は、過去を乗り越える活躍で4季ぶりの天皇杯制覇へと導いてみせる。
(取材・文 高橋アオ)