
サッカーというのはチームスポーツであり、中心選手が退団したからといってそれが大きなダメージになるとは限らない。逆にその収益を利用して強化を図れるパターンもあり、クラブのフロントの腕の見せ所でもある。
今回は『The Football Faithful』から「スター選手を売ったことによって逆に強くなった5つの有名チーム」をご紹介する。
2004年のエヴァートン
退団したスター:ウェイン・ルーニー
10代でデビューし、初戦でアーセナル相手に凄まじいゴールを決めたウェイン・ルーニー。その華々しい活躍からEURO2004にも招集され、マンチェスター・ユナイテッドに2560万ポンドで売却されることになった。
ルーニーはユナイテッドへの移籍でますます力をつけたが、エヴァートンもその利益を使ってチームを上手く強化した。
モイーズ監督はこの資金をティム・ケーヒルやマーカス・ベント、ジェームズ・ビーティー、ミケル・アルテタなどの「お買い得なタレント」に再投資し、2003-04の17位から2004-05は4位まで浮上した。
2009年のインテル

退団したスター:ズラタン・イブラヒモヴィッチ
2009年の夏にインテルはチームの得点王であったズラタン・イブラヒモヴィッチをバルセロナへと移籍させた。3年で66ゴールを記録したスーパーエースの売却は驚くべき資金に変わった。
その取引の一環としてサミュエル・エトーを獲得したほか、他にもウェズレイ・スナイデル、ルシオ、ディエゴ・ミリート、チアゴ・モッタら有力なタレントを加入させ、ジョゼ・モウリーニョ監督率いるチームは遥かに強化された。
そしてイブラヒモヴィッチを売った次のシーズン、インテルはセリエA、コッパ・イタリア、そしてチャンピオンズリーグの歴史的三冠を達成している。
2018年のリヴァプール

退団したスター:フィリペ・コウチーニョ
リヴァプールの今を作ったのはフィリペ・コウチーニョであるとジョークを飛ばすファンも少なくない。彼は2017年12月にバルセロナへと移籍したが、その際の取引額はボーナスを含めて最大1億4200万ポンドというとてつもない条件だった
ユルゲン・クロップ監督はこの資金をアタッカーの穴埋めではなく、チームの穴を埋めるために使った。サウサンプトンからフィルヒル・ファン・ダイクを獲得し、GKにはアリソンを引き入れた。
それによってリヴァプールはプレミアリーグで確固たる地位を築き、2018-19シーズンにはチャンピオンズリーグを制覇。2019-20シーズンは念願のプレミアリーグ優勝を果たしている。
2019年のレスター・シティ

退団したスター:ハリー・マグワイア
ハリー・マグワイアはイングランド代表で印象的な活躍を見せたことで評価が高まり、2019年の夏にマンチェスター・ユナイテッドへと移籍。その額は8000万ポンドに達した。
中心的なセンターバックを失ったにもかかわらず、レスター・シティはこのあと飛躍的に成績を伸ばした。マグワイア最後の年は9位だったが、その後連続でトップ5入りに成功し、2021年にはFAカップも制覇している。
その中心となったのはベルギー代表MFのユーリ・ティーレマンスだったが、彼はマグワイアの資金によって獲得された選手だった。
2024年のパリ・サンジェルマン

退団したスター:キリアン・エムバペ
昨年の夏にキリアン・エムバペを失ったパリ・サンジェルマン。しかしながら、まだ生きていることを証明したばかりか、より強くなって生まれ変わった。
クラブで308試合256ゴールという素晴らしい記録を作ったエムバペであるが、ルイス・エンリケ監督が求める前線からのディフェンスに合致しておらず、退団後にチームの完成度は高まった。
新加入のウスマヌ・デンベレやフヴィチャ・クヴァラツヘリア、さらにブラッドリー・バルコラやデシレ・ドゥエがブレイクし、昨季はチャンピオンズリーグを含む大陸三冠を獲得している。