
サッカーではいつでも華やかな選手が目立つものであり、力強いストライカーや巧みなドリブラー、クリエイティビティにあふれるプレーメーカーがメディアを賑わせるものだ。
しかしながら、世界のトップレベルにあるイングランド・プレミアリーグにもそれに当てはまらないようなスターがいる。
そのような「プレミアリーグの歴史上最も退屈な選手」のTOP10を『Givemesport』からご紹介する。
10位:クレイグ・ドーソン
所属したクラブ:WBA、ワトフォード、ウェストハム、ウォルヴァーハンプトンなど
国籍:イングランド
華やかなイングランド・プレミアリーグにおいて、まるで銀行の支店長のような風貌で、とても退屈で実利的なセンターバックとして逆に存在感が大きいクレイグ・ドーソン。
堅実かつ頑丈で自信に満ちている彼であるが、鮮烈なスピードがあるわけではなく、ボールを扱うプレーで称賛されることもめったにない。
しかしながら、保守的で冒険的な行動を要求されないシステムのなかにおいて彼ほど信頼できる選手もいない。トニー・ピューリスやデイヴィッド・モイーズ、ギャリー・オニールなど多くのイギリス系監督に愛された。
9位:ジョン・オビ・ミケル

所属したクラブ:チェルシー
国籍:ナイジェリア
ジョン・オビ・ミケルはチェルシーで2回のプレミアリーグ制覇に貢献し、チャンピオンズリーグの優勝においても欠かせない存在の一人であった。
当時は信じられないほどの効果的なボール奪取型ミッドフィルダーであったが、基本的に彼の強みはそれだけである。パスはアグレッシブではなく、創造性もない。しかし最終ラインの前で盾となり、派手な選手たちが攻撃的に活躍するための礎を築いた。
ミケルのプレーを見るために入場料を払っているファンはほとんどいなかっただろうが、自身の役割をこれ以上ないほどに理解していた選手でもあった。
8位:マーク・ノーブル

所属したクラブ:ウェストハム・ユナイテッドなど
国籍:イングランド
フランク・ランパードやマイケル・キャリックなどを生み出した育成の名門ウェストハム・ユナイテッドを代表するレジェンド。ピッチの内外で厳格な人物で、チームの中盤で長く重要な存在になっていた。
彼は特筆して目立った選手ではなく、そのためにイングランド代表に選ばれたこともない。野心的なプレーをするわけでもなく、ボール扱いやドリブルも目立たず、タックルも激しくはない。
しかしながらそのピッチにおける安定感やプロ意識、そして冷静さはキャリアを通して各監督に信頼された。そしてPKの成功率も89%に達している。
7位:マイケル・オーウェン

所属したクラブ:リヴァプール、ニューカッスル、マンチェスター・ユナイテッド、ストーク・シティなど
国籍:イングランド
キャリア初期のマイケル・オーウェンは、決して退屈な選手ではなかった。若き彼はリヴァプールで圧倒的な加速力と卓越した得点力を持った「9番」だった。
しかしながらそのプレースタイルも影響して怪我に悩まされるようになり、彼は徐々に運動能力という武器を失ってしまい、そのかわりにピッチでの機能性を高めた。
そしてサッカーや競馬を愛する一方で「人生で8本しか映画を見たことがない」というほどエンタメに興味がなかったそうで、解説者としても「トークが退屈である」との評判も。
6位:ギャレス・バリー

所属したクラブ:アストン・ヴィラ、マンチェスター・シティ、エヴァートン、WBA
国籍:イングランド
プレミアリーグで最多出場記録を保持しているレジェンド。653試合ものプレー映像が残っているわけだが、しかしそのなかでのハイライト映像を作ろうと思っても難しいものがある。
非常に信頼性が高く、控えめなプレースタイル。ボールをただ効果的に動かし、確実な守備に没頭する。イングランド代表でもプレーしたが、面白みがある選手とは言い難い。
そんな彼がWBA時代に起こした「チームメイト4人とともにバルセロナでタクシーを盗んだ」という事件はファンに衝撃を与えた。その突飛な行動が、彼の性格から想像できなかったためだ。
5位:ジョン・オシェイ

所属したクラブ:マンチェスター・ユナイテッド、サンダーランド
国籍:アイルランド
マンチェスター・ユナイテッドで393試合に出場してプレミアリーグで5回の優勝を果たしたジョン・オシェイ。しかしながら彼はスター選手といえる華やかさは全く持っておらず、リーグ全体でも屈指の地味なタイプだった。
信じられないほどの勤勉さを持っており、プレースタイルは実用的。そして数多くのポジションをこなすという「便利さと信頼性」が最大かつ唯一の武器だったといえる。
本職のセンターバックとしてはリオ・ファーディナンドやネマニャ・ヴィディッチのポジションを脅かせなかったが、サイドバックとしてファーガソン監督に信頼された。ピッチ外でもとにかく飾り気のないインタビューをするため、メディアで見出しを飾ることも少なかった。
4位:ディーン・ホワイトヘッド

所属したクラブ:サンダーランド、ストーク・シティ、ハダーズフィールドなど
国籍:イングランド
現在ワトフォードでコーチを務めているディーン・ホワイトヘッドは、キャリアを通して派手さのないチームで派手さのないプレーを続けたサッカー職人であった。
セントラルミッドフィルダーとしての彼の仕事は、チーム全体のバランスを取ること、ルーズボールや受け身の場面で体を張ること、サイドにパスを散らしていくこと。
単調な仕事をただ堅実にこなす。簡単に聞こえるが実際にやるのは難しい、それをキャリアを通してやり遂げた。2009年にはインタビューで自身の成功の理由を「昔ながらのやり方のおかげ」だと話していた。
3位:フィル・ネヴィル

所属したクラブ:マンチェスター・ユナイテッド、エヴァートン
国籍:イングランド
兄弟のギャリー・ネヴィルは選手として偉大なリーダーであり、解説者としてはユーモアに溢れ、監督としては大失敗するという非常に個性的な人物だった。しかしフィル・ネヴィルは逆である。
マンチェスター・ユナイテッドではサイドバックやボランチをこなす堅実なユーティリティプレーヤーであり、目立つ存在になることもなく、ニュースの見出しを飾る機会も少なかった。
プレミアリーグで500試合以上に出場しているにもかかわらず、彼には特別な瞬間や記憶に残るプレーがない。
2位:グレン・ウィーラン

所属したクラブ:マンチェスター・シティ、ストーク・シティ、アストン・ヴィラなど
国籍:アイルランド
トニー・ピューリスが率いたストーク・シティで、ディーン・ホワイトヘッドと中盤を組んだパートナー。彼は291試合に出場して5ゴールしか決めていない、とても地味なタイプであった。
質素で飾り気のない戦術の中で「縁の下の力持ち」といえる役割に徹し、中盤でのディフェンスに集中し、チームのために身を粉にして戦い続けた。
その結果、ホワイトヘッドが馴染めなかったマーク・ヒューズ監督のサッカーにも適応。体格に優れた選手たちがゴールを決められるように、それ以外の仕事の多くを任されていた。
1位:ジェームズ・ミルナー

所属したクラブ:リーズ、ニューカッスル、アストン・ヴィラ、マンチェスター・シティ、リヴァプール、ブライトン
国籍:イングランド
退屈なサッカー選手におけるキング。ジェームズ・ミルナーはそれで自身のブランドを築いたと言ってもいい。「boring James Milner」という悪名高いパロディTwitterアカウントが作られ、ミルナー自身もそれを受け入れてネタにしていた。
そして実際にミルナーは退屈と言われるスタイルだ。あらゆることを平均以上にこなし、様々なポジションで堅実にプレーする。
ただその極端な機能性は数々のクラブにおいて非常に価値あるものになった。最終的に彼はプレミアリーグで3回の優勝、チャンピオンズリーグの制覇という大きな栄誉を手にしている。