FW小田裕太郎が新境地開拓へ「デンべレに感化された」と猛烈プレスでJ1湘南ベルマーレ初得点を目指す
FW小田裕太郎が新境地開拓へ「デンべレに感化された」と猛烈プレスでJ1湘南ベルマーレ初得点を目指す

[天皇杯3回戦、J1湘南ベルマーレ 0-1J1清水エスパルス、7月16日、神奈川・レモンガススタジアム平塚]

チャンスを決め切れなかった湘南は、清水に0-1で敗戦。延長戦前半16分に相手のヘディング弾を許して、天皇杯から姿を消した。

公式戦10試合ぶりの先発出場となったFW小田裕太郎は、裏抜けから絶好機を迎えるも得点できず。今季よりハーツ(スコットランド1部)から完全移籍で加入した背番号9は、悔しさを口にしつつも、手ごたえを感じていた。

ゴールに迫るも加入後初得点は奪えず

眠れる獅子の目覚めは、もうすぐかもしれない。

天皇杯3回戦で清水と激突した湘南は、シャドーの位置に小田を起用。今季よりハーツから加入したが、ここまで公式戦13試合ノーゴールと苦しんでいる。

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入場時の小田

公式戦3試合連続で勝ちなしが続いていた湘南は、前節J1ヴィッセル神戸戦で0-4の大敗を味わった。神戸の下部組織で育ち、同クラブでプロデビューを果たした小田にとってもほろ苦い試合だった。

「(神戸を)出て何年も経ちますけど、0-4で負けましたし、一緒にやっていた選手もいたので、シンプルに悔しかったです」と唇を噛んだ。

背番号9は「負けられない」と前節で味わった悔しさをバネにして、果敢にゴールを狙った。

前半には得意の裏抜けから相手ゴールキーパーと1対1を迎えるも、シュートを打たせてもらえず。その後も、快速を生かしたドリブル突破でチャンスを演出したが、1得点が遠かった。

FW小田裕太郎が新境地開拓へ「デンべレに感化された」と猛烈プレスでJ1湘南ベルマーレ初得点を目指す
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相手GKと1対1を迎えた小田(中央)

小田は「まず第一に(得点を)決めなアカン」と反省点を口に。湘南は前後半を通じて10本のシュートを放ったが、先制点を挙げられず、小田も後半24分にベンチへ退いた。

試合は90分で決着がつかずに延長戦へ突入。湘南イレブンはサポーターに勝利を届けようと、サイドアタックから何度も相手ゴールに迫った。

しかし決勝点はアウェイチームに生まれた。

延長戦前半16分にコーナーキックから清水FWドウグラス・タンキに、ヘディング弾を叩き込まれて失点した。ワンチャンスをものにされたホームチームは勢いを失い0-1で敗戦。天皇杯を3回戦で去った。

FW小田裕太郎が新境地開拓へ「デンべレに感化された」と猛烈プレスでJ1湘南ベルマーレ初得点を目指す
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ドリブルする小田

平日のナイターにも関わらず訪れたサポーターに対して小田は「わざわざ来てくれたので、責任を感じています」と頭を下げた。

湘南は公式戦4試合連続未勝利となり、リーグ戦ではJ1第22節終了時点で17位(20チーム中)に沈んだ。公式戦2試合連続で無得点に終わり、現状打破が求められる中、「チャンスはたくさんありましたし、チームとしても負けてしまったので、なんとも言えませんが、正直そこまでネガティブではありません」と前を向いていた。

この試合、小田には新境地開拓の兆しがあった。

欧州トップレベルを参考にしたプレスで新境地開拓へ

試合を通じて計16本を数えた清水のゴールキック。後方からビルドアップを試みたアウェイチームの前に、小田が立ちふさがった。

湘南の背番号9は相手ゴールキックになれば、鋭い眼光で相手ゴールキーパーをにらみつけ、ニヤリと笑みを浮かべた。その姿はまるで獲物を狙う猛獣のようだった。

FW小田裕太郎が新境地開拓へ「デンべレに感化された」と猛烈プレスでJ1湘南ベルマーレ初得点を目指す
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相手GKに不敵な笑みを浮かべる小田

試合後、小田は「あれはデンべレです」と、昨季UEFAチャンピオンズリーグを制覇したパリ・サンジェルマン(リーグ・アン)のフランス代表FWウスマヌ・デンべレを参考にしていたと明かした。

「試合前のミーティングでパリ(パリ・サンジェルマン)の映像を観せられて、そこで世界のトップ選手でも、ハンターのようにボールを追っていると再確認しました。きょうはそこ(プレス)の執着心を出そうと思っていましたし、デンべレに感化されたんです」

クラブで背番号10を背負うデンべレは、チャンピオンズリーグを優勝した勢いそのままに、今夏に行われたFIFAクラブワールドカップ2025では、圧巻のパフォーマンスを披露。持ち味だったドリブルはもちろん、相手ゴールキックの場面では迫力満点のプレスで敵軍のミスを誘発していた。

FW小田裕太郎が新境地開拓へ「デンべレに感化された」と猛烈プレスでJ1湘南ベルマーレ初得点を目指す
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デンべレ(写真:Gettyimages)

この日、小田はデンべレを彷彿とさせるプレスを披露。2度追い、3度追いを繰り返し、前線からの守備に貢献した。

「プレスの意識はもともとありましたが、もっと自分のスピードやスプリントを生かしたプレスを考えたい。プレスの行き方を含めて、湘南に来てから徐々につかめている」と手ごたえを口にした。

背番号9はファーストディフェンダーとしての新境地を開拓している。チームメイトたちとのコンビネーションも向上しており、あとは結果がほしい。

小田は「収穫とまでは言いませんが、フォワード陣やボランチ、ウィングバックとの連係は築けてきている。これまでの試合と違って、そこは出せましたし、チャンスも作れた」と湘南での初得点に燃えている。

次節は今月19日午後7時からホームでJ1セレッソ大阪と対戦する。

FW小田裕太郎が新境地開拓へ「デンべレに感化された」と猛烈プレスでJ1湘南ベルマーレ初得点を目指す
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ドリブル突破を試みる小田(中央左)

小田は「1試合1試合を全力でやることが大事。その先に残留や結果があると思うので、まずは次の試合に向けて準備していきたい」と、お目覚めの一撃はもうすぐだ。

(取材・文・写真 浅野凜太郎)

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