古巣鹿島戦で3失点負け…悔しさをにじませたJ1湘南ベルマーレMF藤井智也のクラブ愛「このチームとサポーターが本当に好き」
古巣鹿島戦で3失点負け…悔しさをにじませたJ1湘南ベルマーレMF藤井智也のクラブ愛「このチームとサポーターが本当に好き」

[J1第29節、湘南ベルマーレ 0-3鹿島アントラーズ、9月13日、茨城・メルカリスタジアム]

18位に沈む湘南は鹿島に0-3で敗れ、降格圏脱出のチャンスを逃した。

古巣対戦となったMF藤井智也は、右ウィングバックの位置で先発出場。

思い出のスタジアムで勝利したかったが、試合後には悔しさをにじませた。

慣れないブーイング、でも大好きなスタジアム

大好きなスタジアムが敵地に変わった。

藤井は2シーズン在籍した鹿島を離れ、今季より湘南に完全移籍で加入。約1年ぶりのメルカリスタジアムに胸が高鳴った一方で、「バスが通るときにブーイングだったので、慣れない感じでした」と戸惑いもあった。

鹿島ではサイドを切り裂くスプリンターとしてリーグ戦通算47試合に出場。常勝軍団での日々は刺激的だったが、出場機会と成長を求めて別れを告げた。

この日、鹿島のサポーターは藤井を特大のブーイングで迎え入れた。場内アナウンスで自身の名前が呼ばれると同時に揺れる赤いゴール裏。「最初は圧に負けました」と背番号50は思わず身震いしたという。

ただ、すぐに高揚感が押し寄せた。

「アップをしていたらなんだか楽しくなってきたんです。『あぁ、やっぱりいいスタジアムだな』って。このチーム(鹿島)はビビったら負けだと思うので、頑張ろうと思いました」と、サイドアタッカーは試合に臨んだ。

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今季より湘南に加入した藤井

前半はアウェイチームが主導権を握った。

湘南イレブンは常勝軍団に対してボールを保持。前半32分にはクロスボールに反応したFW鈴木章斗がヘディングシュートを放ったが、惜しくもバーに嫌われた。

「ぶっちゃけ、そんなに圧を感じずに自分たちのやりたいサッカーができた。前半に関しては練習通りの形でしたし、僕たちのゲームだったと思います」と前半は主導権を握った。

背番号50は右ウィングバックの位置で攻守に奮闘。快速を生かしたプレーで古巣を苦しめた。

「すごくいい手ごたえ」を感じてロッカールームに戻り、円陣では『後半は相手も圧をかけてくるぞ』と気を引き締めて臨んだ。

しかし、湘南のプランは崩れた。

古巣戦で起きた自滅

一つのミスから流れを失った。

後半3分にビルドアップの場面でGK吉田舜がボックス内からMFゼ・ヒカルドに縦パス。この瞬間を狙われた。

激しいチェックを受けてボールを失うと、ゴール前でパスを受けた鹿島FW鈴木優磨がディフェンダー二人を引き付けてワンタッチパス。最後は背番号40の落としに反応した鹿島FWチャヴリッチがシュートを突き刺した。

失点シーンをサイドから見ていた藤井は「苦しかった」と、しばらくその場から動けなかった。

「思い入れのあるチームに対して戦えていたと思いますが、自滅してしまいこういう結果を招いてしまったのは、やっぱり悔しかった。あれ(1失点目)はチームで招いたという捉え方もありますし、厳しく言うと起こさなくていいプレーだったと思う。そこは個人、個人が振り返らないといけないところだと思います」と厳しい口調で語った。

先制点を取られた湘南は、ここから主導権を渡した。

後半10分にコーナーキックの流れから追加点を許すと、同23分には左サイドでのボールロストからカウンターを受けて、試合を決定づける3失点目を奪われ、そのまま0-3で敗戦した。

古巣鹿島戦で3失点負け…悔しさをにじませたJ1湘南ベルマーレMF藤井智也のクラブ愛「このチームとサポーターが本当に好き」
古巣鹿島戦で3失点負け…悔しさをにじませたJ1湘南ベルマーレMF藤井智也のクラブ愛「このチームとサポーターが本当に好き」
鹿島時代の藤井

「勝たないといけない内容だったと思う。これは出ている選手たちの責任で、戦術どうこうの話じゃない。試合に出ている選手が本当に集中してやらなければいけないですし、自分自身も『簡単に!』という言葉をかけないといけなかった。

でも、あそこで決め切る相手チームの力は本当にうわてでした。

やっぱり、こういうチームは強いですね。悔しいですけど」と大好きなスタジアムで辛酸をなめた。

次節は今月20日午後5時から愛知県の豊田スタジアムでJ1名古屋グランパスと対戦する。

試合後、遠方に駆け付けたアウェイサポーターはチャントで選手たちを鼓舞。一方の鹿島のゴール裏は挨拶にやって来たサイドアタッカーを拍手で見送った。両クラブの想いを背負った藤井は、J1残り9試合での活躍を誓った。

「ここはやっぱりいいスタジアムだし、いいチームだなと思いました。チームメイトもいい選手たちだったので、だからこそ勝ちたかった」と、湘南はリーグ戦13試合未勝利と苦しい状況が続く。

それでも藤井は「湘南が好きなので、このチームのためにできることを最大限やりたい。このチームとサポーターが本当に好きですし、その人たちがガッカリしているのは嫌です」と愛するクラブを残留に導く。

(取材・文 浅野凜太郎)

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