
[第59回関東サッカーリーグ1部第7節、VONDS市原FC 1-2 東京ユナイテッドFC、6月8日、東京・小石川運動場]
首位V市原は3位の東京Uに1-2で敗れ、今季リーグ戦初黒星を喫した。
この試合で先発出場したFW本吉利安(としやす)は身体を張ったポストプレーで、攻撃にリズムを生み出した。
Jリーグで活躍する同期たちに近づくため
今季より加入したストライカーが得点に飢えている。
本吉は「まだフォワードとして2得点しか取れていない。『きょうこそは』という気持ちで試合に臨みましたが、後半になって『ここからだ』というところで交代させられてしまったので、まだまだ成長する必要があると思いました」と無得点に悔しさをじませた。
前線からチェイスした本吉(中央右の白)千葉のU-15からU-18時代には、DF久保庭良太(千葉)やJ1横浜FCのFW櫻川ソロモンと同期だった。
その後、駒澤大へ進学した背番号9は、昨季に四国1部FC徳島へ加入し、リーグ戦10得点を記録。今季よりV市原に完全移籍で加入し、同クラブの悲願であるJFL昇格に向けてトレーニングを積んできた。
Jの舞台で活躍しているかつての仲間たちについて本吉は「もちろん二人は(久保庭と櫻川は)ジェフと横浜FCで、俺は地域リーグです。だけど自分ならできると思っている。プロになるためにも、今年はJFLに昇格したい。それが自分の今後にもつながってくると思います」と今季にかける想いを明かした。

身長186センチの長身を生かしたポストプレーと打点の高いヘディングでチームに勢いを与える本吉は、今季ここまでリーグ戦6試合2得点1アシストを記録。この日もツートップの一角として果敢にゴールを狙った。
上位対決を制したいV市原だったが、前半6分と同12分に失点を許した。出鼻をくじかれたアウェイチームは攻め手を欠き、本吉も同9分にラフプレーによるファウルでイエローカードを出されてしまった。
背番号9は「イエローカードをもらってしまい、思いっきりプレーできなくなってしまった。あそこで冷静になれば、後半のチャンスシーンでもっとパワフルにできていたかもしれません。頭を冷静にすることが、これから選手として上に行くために大切だと思います」と課題に向き合った。

2失点を喫したV市原は後半になっても相手のゴールネットを揺らせなかった。
本吉はなんとかして反撃の狼煙を上げようと、前線からハードワークし続けたが、後半11分に途中交代。代わって投入された選手は、中学年代から高校年代までともにプレーした、元千葉の佐久間だった。
ライバルたちの活躍がJFL参入の燃料に
今年5月30日にV市原に完全移籍した佐久間は、2学年上の本吉と同じく千葉のU-15、U-18でプレー。その後、2022年シーズンよりトップチームに昇格し、Jリーグで12試合に出場した期待の選手だった。
本吉は「その話(佐久間の加入)はまったく聞いていませんでした。急な形でチームに入ってきた選手が佐久間だったので、ジェフの後輩でもありますし、びっくりしました」と、戦友との再会を振り返った。

途中交代で入った佐久間は切れ味鋭いドリブルでチャンスを演出。終盤にはヘディングシュートを放ったが、相手キーパーに阻まれた。
かつての仲間は背番号9にとってライバルだ。この日、印象的なプレーを披露した佐久間の存在が、ストライカーの心を燃やしている。
「たくさんフォワードが(チームに)入ってくれば、それだけ競争が激しくなって、自分も成長できる。そこ(佐久間の加入)はまったくマイナスに捉えていなくて、全員でVONDSとして昇格したいです」

試合はそのまま1-2で終了。V市原は今季初黒星となったが、下を向いている暇はない。
本吉は「首位を走っていても、こういう試合で勝ち切らなければ意味がないと思います。きょう負けてしまったからといって、落ち込むべきではない」と前を向いた。
次戦は今月15日の午前11時にゼットエーオリプリスタジアムで全国社会人選手権大会の関東予選Aブロック準決勝でFC CASAFORTUNA OYAMA(栃木県社会人サッカー1部)と対戦する。
次こそV市原を勝利に導くと決意したストライカーは「俺たちの目標は昇格することだけですし、それを目指せるのがこのVONDSだと思っています」と、ともにプレーしたライバルたちの活躍を燃料にして、ゴールを狙い続ける。
(取材・文・写真 浅野凜太郎)