混沌とする世界情勢がサッカー界にも影響を与えているようだ。

昨年昇格チームでありながらJ1リーグで3位に入ったFC町田ゼルビアは、AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)にクラブ史上初めて出場する。

町田は9月のグループステージ初戦に向け国際経験豊富な助っ人の補強を推進しており、その候補の一人となっているのがガンバ大阪に所属するイスラエル代表MFネタ・ラヴィだ。

ただネタ・ラヴィのACLE出場には懸念点も存在する。

現在28歳のネタ・ラヴィは、同国の名門マッカビ・ハイファの下部組織で育ち、2025年にトップチームに昇格した。

同クラブでは主将としてチームを牽引し、2度のリーグ優勝を含む5つのタイトル獲得に貢献。「タイトルの味を知る助っ人」として、2023年1月にG大阪に完全移籍した。

今夏、移籍先の有力候補として報じられている町田は、国際大会での経験が豊富なネタ・ラヴィにACLEでの活躍にも期待しているはずだ。

しかし現在、イスラエルとパレスチナの紛争が激化しており、イスラエル国籍である同選手は情勢的な理由でイスラム教の国に入国する難易度が高いと見られている。

今季のACLEにはマレーシア王者のジョホール・ダルル・タクジム(JDT)が出場を決めており、町田がリーグステージでマレーシアに遠征する可能性もある。

同国の内務省によると、マレーシアはイスラエルのパスポート保持者の入国を原則的に認めていない。

さらに昨季のACLEから準々決勝以降はサウジアラビアで集中開催となっている。同国はイスラエルのパスポート保持者の入国を一律に禁じているわけではないが、不確実性は残っており、その時々の国際情勢によっては入国拒否を受けるリスクも排除できない。

仮にこれらの国に入国ができた場合でも、パレスチナ問題をめぐる反感は予想されるため、安全上の保障は担保できないだろう。

過去にイスラエル代表FWオメル・アツィリがUAE1部アル・アインでプレーしたが、中東でのアウェイゲームには出場しなかった。

イスラエルメディア『Sport5』の過去の報道によると、ネタ・ラヴィはポルトガルのパスポートも保有しているという。

ポルトガルのパスポートでマレーシアとサウジアラビアに入国することは可能だが、イスラエル代表経験者である同選手の入国を認めるかは各国の判断に委ねられる。

ネタ・ラヴィがアジアの舞台で躍動する姿を観たいが、選手の安全を第一に考えた対応をする必要がありそうだ。

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