古巣対戦のスタッド・ランスDF関根大輝、発展途上の偽サイドバックで目指す1部復帰「2部だから厳しいみたいな声もありますが」
古巣対戦のスタッド・ランスDF関根大輝、発展途上の偽サイドバックで目指す1部復帰「2部だから厳しいみたいな声もありますが」

[スタッド・ランス ジャパンツアー2025親善試合、スタッド・ランス(フランス2部)1-2 J1柏レイソル、7月30日、千葉・三協フロンテア柏スタジアム]

スタッド・ランスは柏に1-2で敗戦。ジャパンツアー2連敗となった。

日本代表DF関根大輝(ひろき)は昨季まで在籍していた柏との古巣対戦に燃えた。後半から出場すると、偽サイドバックとしての新しい一面を披露したが、自身のプレーについては「ぜんぜんダメ」と苦笑いを浮かべた。

チームへの直談判でプレー時間延長

古巣相手に成長した姿を見せたかった。

関根は2024年に拓殖大在学中にも関わらず柏とプロ契約を締結し、そのシーズンはリーグ戦31試合に出場。同年にパリオリンピックのU-23日本代表に選出されると、そのままの勢いで10月にA代表から初召集された。

昨季限りでスタッド・ランスに完全移籍で加入し、『柏から世界へ』を体現した男は「知っている選手たちと一緒のピッチでプレーできて楽しかったです」と笑みを浮かべた。

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スライディングでボールを奪おうとする関根(右)

「本当は15分だけしか(試合に)出ない予定でしたが、『レイソルとやるから、もうすこし出させてくれ』とチームに言いました」と直談判をして、後半のはじめから日本代表FW伊東純也とともに出場した。

ホームの柏にボールを保持され続けたスタッド・ランスは、両選手の投入で流れを変えたかったが、0-1で迎えた後半6分に失点。関根とマッチアップした柏DFジエゴに鋭いグラウンダークロスを上げられると、MF瀬川祐輔にワンタッチシュートを決められた。

その後もホームチームが試合の主導権を握った。スタッド・ランスは個人の突破からゴール前に侵入するも、なかなか決定機を作らせてもらえなかった。

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プレッシャーをかける関根(中央赤)

関根は2失点目のシーンについて「もうすこし寄せられたと思います。『プレシーズンで良かった』と言えるように、リーグが始まったらきょうみたいにならないようにしないといけない」と反省点を口にし、自身のパフォーマンスを「ぜんぜんダメですね」と振り返った。

それでも、赤の背番号3には新境地開拓の兆しがあった。

偽サイドバックとして新境地開拓へ

柏時代は恵まれた体格を生かしたダイナミックな守備や、サイドを駆け上がる姿が印象的だったが、この日は偽サイドバックとしてビルドアップの起点になった。

右サイドバックで出場した関根は、試合の状況に合わせてポジションをピッチ中央に移した。

「内側に入って組み立てる部分は、監督(カレル・ヘラーツ監督)から求められています。そこを意識してプレーしていますが、もっと立ち位置の部分で有効的な場所に立てれば、ボールをより引き出せると思います。

まだ発展途上だと思いますし、個人としてもチームとしても完成していない。でも何回かワンタッチのパスがいい形でつながったときは簡単に相手をはがせたので、そういう部分をもっと増やしたい」と改善点を挙げつつも、新境地開拓への手ごたえを口にした。

古巣対戦のスタッド・ランスDF関根大輝、発展途上の偽サイドバックで目指す1部復帰「2部だから厳しいみたいな声もありますが」
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ピッチ中央からパスをさばく関根

スタッド・ランスは、後半29分にFWレダ・カドラが裏に抜け出してゲットしたペナルティキックのチャンスを自ら決め切ったが、試合はそのまま1-2で終了。ジャパンツアー2連敗となった。

チームは今季フランス2部を戦う。関根は1部リーグ復帰に向けて「一瞬、一瞬にかけてプレーをしないと、本当に後悔する」と呼びかけた。

「きょうもありましたが、自分たちは簡単なミスからの失点で苦しみ2部に落ちた。

安い失点をなくすことが一番大事だと思います。

あと、きょうもPKで得点を取っただけですし、チャンス自体もぜんぜん作れていない。得点を取らないと勝てないスポーツだと思うので、そこのクオリティにこだわってやっていきたいと思います」

古巣対戦のスタッド・ランスDF関根大輝、発展途上の偽サイドバックで目指す1部復帰「2部だから厳しいみたいな声もありますが」
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伊東と並んでサポーターに挨拶する関根(右)

次戦は8月2日の午後7時から、大阪府のパナソニックスタジアム吹田でJ1ガンバ大阪と、ジャパンツアーの3戦目を戦う。今度こそ、集まったサポーターに勝利を届けたい。

FIFAワールドカップまで残り1年を切った。本大会初出場を目指す関根は「2部だから厳しいみたいな声もありますが、ワールドカップに出ることは小さいころからの夢だった。そのチャンスがあるからには、諦めちゃいけない」と強い覚悟で新シーズンに臨んでいる。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)

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