
[J2第27節 ジェフユナイテッド千葉0-1ベガルタ仙台、8月24日、宮城・ユアテックスタジアム仙台]
千葉は仙台に惜敗し、連勝は2でストップした。
この日後半34分から途中出場したブラジル人FWデリキが存在感を発揮。
新たな可能性を見せたストライカー
重戦車のようにゴールへ向かって進撃したデリキは、これまで千葉に足りなかった前線での力強さを見せた。身長185センチの体格を生かした空中戦、馬力と推進力のあるスプリントを披露し、試合終盤でチームの活力となった。
力強い推進力を見せたデリキ(左)ただあと一歩が足りなかった。ピッチ上で存在感を見せるも、シュートはゼロ本と期待された結果を挙げられなかった。
デリキは「非常に出来の悪い前半と出来が良かった後半。そして自分たちがゴールを決めるためには少し運が足りなかったゲームだったと思います」とため息交じりに絞り出した。
4-4-2システム同士のミラーマッチは、激しい攻守の切り替えが展開された。前半3分にMF田口泰士がイエローカードを提示されると、中盤での球際の強度が弱まり、ずるずと後退するように押し込まれるシーンが多かった。
前半38分に痛恨の決勝点を献上。後半はデリキを筆頭に反撃に打って出るも、仙台の堅守を最後までこじ開けられなかった。
「個人的なところでいうと、得点を取る自信に満ちあふれてピッチへ入りました。ヘディングのシーンも少し運がなかった。
今季はリーグ戦4試合ですべて途中出場と期待された活躍を披露できていなかったものの、この試合では短い時間で実力の片りんを見せた。
残り11回の決勝戦
負傷の影響などもあり、思うような出場機会を得られなかった千葉の背番号99は、悔しさを抱きながらチームの躍進を見守っていた。
「チームを客観的に見ていますと、非常に闘争心というか、戦う集団という印象を受けています。実際に自分がプレーをしてみて、その通りのチームだと肌で感じました」
ケガの影響で思うような結果やプレーをできず、いら立ちを覚えた日もあった。それでも今季2位と躍進するチームから活力をもらっていたという。
「ケガが続いてしまったので、長い期間試合に絡むことができていなかった。チームの力になれていない。悲しい気分というか、フラストレーションがたまりましたけど、闘争心があるチームで戦っている仲間を見て、彼らのために、チームのために戦いたいと思っています」と言葉に力を込めた。
ここから活躍するビジョンは見えている。これまで悔しさを押し殺しながらも、トレーニングに励んできた。

ブラジル人ストライカーは「自分のプレーの特徴の推進力は、きょう少ない時間でしたけど、見せつけることができたと思っています。 自分にとって一番足りないものは、試合に出続けること。試合に出続けることによって、試合の感覚、ボールが転がり込んでくる感覚、ペナルティエリア内での勝負所や嗅覚が研ぎ澄まされると思っています」と自身の長所を生かし、チームに足りなかった攻撃オプションとして貢献する構えだ。
リーグ戦は残り11試合と終盤戦に入りつつある。これまで16シーズンに渡ってJ1復帰を逃してきたチームは、この好機を逃すわけにはいかない。デリキもまた、今季こそ戻るべき場所へチームを導こうと覚悟を決めている。
「僕たちは1戦、1戦を決勝戦のつもりで戦っています。残り11回の決勝戦を戦うつもりでプレーします。(チームは)クオリティのある選手がそろっている。そしてみんな犠牲心を持ってチームのために戦っている。そのような顔を持ったチームなので、必ず昇格は成し遂げられると思っています」と力強く言い切った。
チームは敗戦したが、デリキが新たな可能性を見せた。
(取材・文 高橋アオ)