東洋大が総理大臣杯初優勝!カターレ富山内定の湯之前匡央は「自信につながる」と冬夏連続優勝を糧にする
東洋大が総理大臣杯初優勝!カターレ富山内定の湯之前匡央は「自信につながる」と冬夏連続優勝を糧にする

[総理大臣杯決勝戦 東洋大(関東1部)1-0 関西学院大(関西1部)、13日、宮城・キューアンドエースタジアムみやぎ]

決勝が行われ、2021年大会準優勝の東洋大が同杯2度目の優勝を狙う関西学院大を1-0で破り、大会初優勝を飾った。

昨年度の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)優勝に続いて夏の全国大会を初制覇した同大は、史上7回目、5校目となる冬夏連続優勝を成し遂げた。

12日にJ2カターレ富山への来季入団内定および特別指定選手登録が発表されたMF湯之前匡央(まひろ、4年、柏レイソルU-18)はこの日、右サイドハーフで先発。

右サイドから中央へ切り込むドリブルや、高精度の左足のキックで勝利に貢献した。

東洋大が総理大臣杯初優勝!カターレ富山内定の湯之前匡央は「自...の画像はこちら >>

冬夏連続優勝は「素直にうれしい」

東洋大は前半、9大会ぶり2度目の優勝を目指す関西学院大の堅い守備を崩せず、こう着した展開が続いた。

今大会3得点を記録している湯之前も、相手の徹底したマークに手を焼き、良さを出しきれなかった。

「正直やりづらかった。リトリートしてきた守備に対して、自分たちがどう崩そうか。ほぼ7バックというか、6バックだったりとそういう守備をしてきたので、そこをどう打開しようかと考えていましたけど、なかなか難しかったというのが正直な感想です」

それでも後半38分に、MF鍋島暖歩(はるむ、4年、J2・V・ファーレン長崎U-18)が、敵陣でボールを奪うと、相手ディフェンスラインの背後へ浮き玉のパス。

飛び込んだ湯之前は合わせられなかったが、相手GKの手前でバウンドしたボールはそのままゴールネットを揺らした。

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得意のドリブル突破でチャンスを演出する湯之前

東洋大のレフティは「鍋島選手の技術なら、あそこに蹴ってくれると信じて走りました。触るつもりでしたが、上手く当たらなかった。でも、それが結果的にゴールにつながって、チームの勝利が一番(大事)なので素直にうれしいです」と、先制点のシーンを振り返った。

この1点を守り切った東洋大が、昨年度のインカレ制覇に続き、冬夏連続優勝を達成。

両大会で優勝に貢献した湯之前は「去年、先輩がつないでくれた優勝と、今回自分たちの代で日本一を獲れたというのはまた自信につながります」と、白い歯をこぼした。

富山入団の決め手は“熱量”

総理大臣杯決勝の前日である12日に、富山は湯之前の来季入団内定と、今季の特別指定選手登録を発表。Jリーグの特別指定選手登録期間最終日の発表に、Jリーグファンを中心に様々な反響があった。

天皇杯でJ1チーム相手に2度の番狂わせを起こした東洋大の背番号10には、多くのJリーグクラブが獲得に興味を示していた。

総理大臣杯終了後までオファーを待てば、進路の選択肢が増える可能性があったが、特別指定選手登録期間が12日までだったこともあり、最後は富山入団を「思い切って決めた」と言う。

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左足でトリッキーな浮き球のパスを通す湯之前(写真右奥)

富山を選んだ一番の決め手は、「やっぱり熱量。自分を一番欲してくれるクラブだと感じました。練習参加の最終日に即日オファーをくれたので、そこは自分にとって決め手になった」と明かした。

同選手は続けて「オファーをいただいた後も、特別指定選手の登録期間の関係もあったので、(富山の)強化部の方に『悩んでいます』と素直に話しました。その中で強化部の方が、『いま富山がああいう状況でチャレンジできることはない』『逆にお前が救ってみろ』と言われて『じゃあ、やってやろう!』という強い覚悟を持って富山に決めました」と、富山の熱い呼びかけに応えた。

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プロ内定発表がされた翌日に行われた決勝戦ということもあり、東洋大の背番号10へ普段以上に注目が集まった。

湯之前自身も、プレッシャーを感じていたという。

「昨日、発表があった中で、(いつも以上に)見られることは分かっていました。

気にしないようにと、試合前からずっと考えていました。ただ、試合中も気にしてしまった部分もあったので、そこはまだ自分が未熟で弱いと感じました。力が入ってしまったし、見られ方も気にしてしまい、弱さが出たゲームかなと」と、反省を口にした。

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初優勝をよろこぶ湯之前(写真中央)

今後は東洋大で大学関東1部優勝、インカレ連覇を目指しながら、富山の特別指定選手としてプロの舞台で経験を積むことが目標だ。

「関東(1部)リーグで自分たちは6位ですし、下位との勝ち点差が4つぐらいしかない中で、やっぱり自分たちの目標は関東リーグ、インカレを獲りたい。また一から積み上げていくしかないと思います。

(富山入団内定は)かなりすごい反響があったと感じていますが、まだ何も成し遂げていない。『プロでやれるか』と言われたら、自信を持って『YES』と言えるレベルにはないと思う。そこは日々トレーニングで向き合いながらプロでやるという意識を持って練習していけたらなと」と謙虚ながら、熱い闘志をのぞかせた。

東洋大を優勝に導いたレフティのさらなる成長に目が離せない。

(取材・文 縄手猟)

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