J2ジェフユナイテッド千葉MF椿直起が「普通の1試合ではなかった」と語る国立・大宮戦、ドリブラーは「次こそ大事になる」と前を向く
J2ジェフユナイテッド千葉MF椿直起が「普通の1試合ではなかった」と語る国立・大宮戦、ドリブラーは「次こそ大事になる」と前を向く

[J2第14節、ジェフユナイテッド千葉 1-2 RB大宮アルディージャ、5月6日、東京・国立競技場]

リーグ首位の千葉は大宮に1-2で敗れた。

左サイドで先発出場したMF椿直起は得意のドリブルでチャンスを演出した。

0-1で迎えた前半23分にはFW石川大地が頭で決めた同点弾の起点になるなど、相手チームの脅威となり続けたが、後半33分に途中交代。ベンチからチームの健闘を見届けた。

普通の1試合ではなかった大宮戦

試合終了後、背番号14は呆然と立ち尽くしていた。

「めちゃくちゃ悔しいですね。普通の1試合ではなかったというか。38分の1試合ではありますが、あれだけの観客が入ってくれて、こういう環境を作ってくれた。たくさんの会社の人やクラブの人が動いてくれていたからこそ(試合に対する)想いは強かったですし、そこに結果が伴わなかったというのは悔しい気持ちがあります」と肩を落とした。

この日、J2リーグ戦歴代2位の4万9991人が訪れた国立競技場。首位千葉と3位大宮による上位対決は試合開始早々に動いた。

アウェイチームが前半5分に両軍通じて最初のコーナーキックを獲得し、準備してきたセットプレーの形から先制。ショートコーナーの流れから、最後はFW豊川雄太が右足ダイレクトシュートを突き刺した。

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椿直起

千葉にとって虚を突かれたような失点だった。また同20分にはスタメンのMFエドゥアルドが負傷するなど、状況は決して良くなかったが、イレブンは冷静にゲームを進めた。

「早い時間に失点しましたけど、『全然大丈夫だな』と思っていた。自分たちは勇気をもって(ボールを)動かせていたし、そこに対して焦りはなかった」とチームは攻め急がずに、後方からじっくりとボールを回し、好機を伺っていた。

前半23分にチャンスは訪れた。左サイドでボールを受けた背番号14は、インナーラップで相手ディフェンダーの背後を取ったDF前貴之へパスを供給。背番号15から上げられたクロスボールは相手ゴールキーパーの頭上を越え、石川がヘディング弾を叩き込んで同点に追いついた。

「自分が目立とうとかはなく、いつも通り自分ができる100パーセントをチームのために90分間やろうという気持ちでした」と、今季ここまで数多くのチャンスに絡んできたドリブラーが大舞台でも好プレーを披露した。

ベンチ前で立ち尽くすほどの悔しさから前を向けた理由

椿は得意のドリブルで相手を翻ろう。独特なステップとボディフェイントでディフェンダーを揺さぶると、一瞬のスピードで置き去りにした。守れば自陣ボックス付近までプレスバックし、チームの勝利を第一に考えた。

1-1に追いついたホームチームは左サイドの椿と右サイドのFW田中和樹を中心に攻め立てた。「満点ではなくてもハードワークできていた」と、同点弾の勢いそのままに逆転したかった。

ただ次の得点が遠かった。

そのまま前半を折り返すと、後半8分にオウンゴールから勝ち越し弾を献上。さらに同27分にはFWカルリーニョス・ジュニオが退場し、一人少ない状況となった。

椿は左サイドから局面を打開しようと足を止めずに奮闘し続けたが、後半33分に途中交代。逆転を目指して、選手全員が広大なスペースをカバーし合ったが、大宮の堅守を崩しきれなかった。千葉は前後半を通じて計13本のシュートを放ったものの、試合はそのまま1-2で終了した。

J2ジェフユナイテッド千葉MF椿直起が「普通の1試合ではなかった」と語る国立・大宮戦、ドリブラーは「次こそ大事になる」と前を向く
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椿

敗因について問われた背番号14は「個人の質のところというか。僕も仕掛ける場面が何度もありましたが、あれだけチームが(ボールを)回せている中で決定的な仕事ができなかったので、力不足を感じています」と、国立の舞台で結果を残したかった。

試合終了直後はベンチ前で立ち尽くし、しばらく動けなかった。それでも背番号14はJ1復帰のためにすぐさま前を向くべきだと、イレブンに呼びかける。

「きょうは悔しいですけど、次こそ大事になると思う。きょうの試合でJ1昇格がなくなったわけではないですし、まだ首位を走っている。みんなショックは受けていると思いますけど、いまのこのチームなら次へのいい準備が必ずできる。

そういう選手たちがそろっているので、大丈夫だと思います」とドリブラーを筆頭に、千葉は優勝街道を突き進む。

次節は11日午後2時にアウェイのアシックス里山スタジアムで現4位のFC今治と対戦する。上位対決が続く中、リーグ戦3戦未勝利の悪い流れを背番号14が断ち切ってみせる。

(取材・文 浅野凜太郎)

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