
[NEXT GENERATION MATCH、U-18Jリーグ選抜 4-1日本高校サッカー選抜、8日、東京・国立競技場]
高校年代の選手たちが競い合った一戦は、U-18Jリーグ選抜が4-1で日本高校サッカー選抜に勝利した。
この試合で先発出場したFW大西利都(りつ、2年、名古屋グランパスU-18)は前半24分に得意の抜け出しから決勝点を挙げた。昨季の高円宮杯JFAU-18プレミアリーグWESTで20試合14ゴールを記録したほか、昨夏の日本クラブユース選手権U-18では得点王に輝いた。今大会では先月に現役引退を発表したばかりの元日本代表FW柿谷曜一朗氏がU-18Jリーグ選抜のコーチとして選手たちを指導。かつて名古屋に在籍していたジーニアスからの教えは、プロを目指す大西にとってかけがえのない財産となった。
柿谷コーチは怖いイメージがあったけど
U-18Jリーグ選抜の選手たちに与えられたトレーニングの期間はわずか二日間だったが、大西は限られた時間の中で柿谷コーチの技術を盗もうと懸命に食らいついた。
「(柿谷コーチは)関西の方と聞いて、怖いイメージがあったんです(笑)。でも実際にはとても優しかったですし、柿谷さんは練習に入ってくれて、シュート練習や的確なアドバイスをしていただきました。すごく濃い時間だったと思います」
現役時代はジーニアスと称賛されたサッカーセンスとテクニックを武器に、2014年にブラジルで行われたFIFAワールドカップに出場した柿谷コーチ。引退して間もないからこそ教えられる技やプロとしての心持ちを、次世代のスターたちに共有した。
U-18世代屈指の点取り屋である大西はシュート練習の時間が印象深かったと明かした。
「自分はいままで巻くような蹴り方をしていたんですけど、それよりも強く打つ方が(ゴールに)入りやすいと教えてもらいました。柿谷さんが名古屋にいたことはもちろん知っていますが、(自分と)プレースタイルが似ていたわけではないと思います。それでも、技術の部分や判断の部分を的確に教えてもらい、それを実際にやってみることで納得できる部分が多かったです」と充実したトレーニング期間だった。
ジーニアスからフォワードとしてのイロハを学んだ大西は試合開始早々から、自慢のスピードを生かした裏抜けとプレスで相手DFを苦しめた。
キャンプ参加で感じたプロとの差
白いシャツのU-18Jリーグ選抜は前半19分に先制点を記録。約1ヶ月前には全国高校サッカー選手権大会を戦った実力者たちが多く集まる日本高校サッカー選抜に対して、試合の主導権を握った。
しつこく相手DFの背後を狙い続けた背番号9は「テレビで観ていて、高体連の選手は速くて強いイメージがありました。それでも、自分の武器であるプレスやスピード、裏抜けの部分は自信を持っていましたし、通用したと思います」と手ごたえを口にした。
すると前半24分に、MF小林志紋(しもん、2年、サンフレッチェ広島F.Cユース)がボックス前中央から出したスルーパスに大西が反応。ストライカーは相手DFの背後を取ると、そのまま右足ダイレクトシュートをゴール左側へ流し込んだ。
鮮やかなパス、見事な抜け出し⚽️
NEXT GENERATION MATCH
U-18Jリーグ選抜 vs 日本高校サッカー選抜
2-0
⌚ 24分
⚽ 大西 利都(U-18Jリーグ選抜) https://t.co/gB2Xl5MB7f pic.twitter.com/oYbQhoe8aW
Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) February 8, 2025
「感覚といえば感覚です。ここに来ると予測して走り込みました」と素早い動き出しでゴールを決めた背番号9のプレーに、柿谷コーチはベンチから納得の笑みを浮かべた。
大西のゴールで日本高校サッカー選抜を突き放したイレブンは、後半にも2得点を奪い4-1で快勝。U-18Jリーグ選抜としては2019年大会以来6年ぶりにNEXT GENERATION MATCHを制した(過去5大会はJ1優勝チームのユースチームが出場)。
今冬にはトップチームの沖縄キャンプに参加するなど、夢であるプロ選手へ着実に近づいているように見える。自身の現在地について「(キャンプには)自分のプレーが通用するかなと思って行ったんですけど、(FW)永井(謙佑)選手や(FWキャスパー)ユンカー選手の前では何も通用しなかった。とてもいい刺激をもらいました」とさらなる成長が必要だと感じている。

現日本代表のMF久保建英やMF堂安律、DF菅原由勢らが活躍した同大会で結果を残したストライカーは、さらなる高みを目指す。
「自分の武器にもっと磨きをかけて、スーパーストロングにしたいです。まずは得点でチームを引っ張りたいですし、クラブユースとプレミアリーグを獲って、得点王にもなれるように頑張ります」と期待の快速アタッカー大西が高校年代ラストイヤーを駆け抜ける。
(取材・文 浅野凜太郎)