2025シーズンの折り返しを迎えた明治安田J1リーグ。暫定ながら鹿島アントラーズに次ぐ2位につけているのが、京都サンガF.C.だ。
2022年にJ1へ復帰して以降、16位、13位、14位とボトムハーフの常連で残留争いに巻き込まれることが多かった京都。
しかし今季はここまで10勝4分6敗。20試合で30得点22失点という成績を残している。
京都サンガが他を圧倒しているデータ「Dtスプリント回数」
チームは5年目の曺貴裁監督のもとでスタイルを継続しており、1試合平均のスプリント回数はここまでリーグトップの152回。過去もトップ3の常連であり、「走力」は彼らのサッカーにおいて不可欠のものだ。
その中でも、他チームを圧倒している走力データがある。
それは「Dtスプリント回数」。Dtとは「ディフェンシブサード」の略で、ピッチを三分割した際に一番自ゴール側のエリアだ。ここでのスプリント回数が京都は跳び抜けている。
6月5日時点での「1試合平均Dtスプリント回数」上位5チームがこちら。
1試合平均Dtスプリント回数 2025シーズン
1位:京都サンガF.C.(56回)
2位:ファジアーノ岡山(44回)
3位:浦和レッズ(43回)
4位:FC東京(40回)
4位:横浜F・マリノス(40回)
2位のファジアーノ岡山以下は最下位のサンフレッチェ広島(30回)まで混戦。京都の突出ぶりが目立つ。
ちなみに、中盤エリアの「Mt(ミドルサード)スプリント回数」で京都はリーグ6位(1位は湘南ベルマーレ)、相手ゴール側エリアの「At(アタッキングサード)スプリント回数」ではリーグ3位タイ(1位は柏レイソル)となっており、どのエリアでも一番走っているというわけではない。
京都の「Dtスプリント回数」の凄まじさは選手個人のランキングにも表れている。
Dtスプリント回数 2025シーズン
1位:須貝英大(京都サンガF.C.)161回
2位:鈴木義宜(京都サンガF.C.)159回
3位:宮本優太(京都サンガF.C.)154回
4位:ンドカ・ボニフェイス(横浜FC)153回
5位:ダニーロ・ボザ(浦和レッズ)140回
6位:佐藤響(京都サンガF.C.)138回
なんと上位6人中4人が京都の選手!
このような結果が出ている理由は、京都がDFラインの押し上げを非常に積極的に行うためだ。
京都は前線の原大智や長沢駿を狙ったロングボールとの組み合わせでラインを押し上げ、高い位置から守備を始めることを得意としており、相手チームもそれを分かっているため、長めのボールで京都のDFラインの裏を狙う。
そうすると今度は京都のDFが自ゴールに向かって走ることも多くなり、結果、攻守においてDF陣のスプリント回数が増えていく。チーム戦術と駆け引き、そして選手個々のひたむきな守備が表れたデータだと言えるだろう。
昨季途中加入ながら11ゴールを決め「残留の立役者」となったエリアスの残留や、欧州で9年半プレーした奥川雅也の帰還など、J1残留を続ける中で着実に選手の質を上げてきた京都サンガ。
ビッグネームは不在かもしれないが、曺貴裁監督らしい整理された戦うサッカーで今季J1に旋風を巻き起こしている彼らにぜひ注目してほしい。
京都のホーム、サッカー専用のサンガスタジアム by KYOCERAを訪れたことがない方は、行くなら今年だ!