
[J2第18節 北海道コンサドーレ札幌 1-1ベガルタ仙台、5月31日、宮城・キューアンドエースタジアムみやぎ]
札幌は仙台と引き分け、今季2度目のリーグ戦連敗を防いだ。前半14分過ぎに雷雨のため79分間中断するアクシデントが発生するも、リーグ戦6試合ぶりの先発復帰を果たしたDF大﨑玲央を筆頭に堅守を披露。
前半45分に先制弾を献上するも、後半43分にFWアマドゥ・バカヨコのヘディング弾で同点に追いついてドロー決着となった。
時には冷静に、時には闘志、頼れる男が帰還
頼れる男が帰ってきた。
大雨の中で6試合ぶりに先発復帰した大﨑(中央)アンカーポジションで先発復帰した大﨑は大雨の中、身振り手振りを踏まえてコーチングしながらコンパクトな守備を形成。ブランクなど感じさせない振る舞いと所作でチームを統率した。
「勝点3が取れなかったところは悔やまれますけど、粘って最後同点にしたところは最低限の結果かなと思います。自分が入って後ろからつなげる部分、オーガナイズのところは意識して入りましたけど、そこそこはできていたんじゃないかなと思います。
しんどい時間帯、前半で失点してしまったところはもちろん個人としても、チームとしても全員が修正していかなきゃいけないところです。あそこを0-0で乗り切れたら、もっと良かったと思います」と振り返った。
攻めれば効果的なパスで攻撃のテンポを作り出し、守れば身体を投げ出すブロックでピンチを防ぐプレーでチームの攻守をけん引。
前半だけで被シュート9本と仙台の猛攻を受けるも、劣勢の中でも最低失点で前半を切り抜けた。

「自分たちが自信を持ってプレーしているときは、いい時間帯がすごく多かった。その時間をいかに延ばすか。ポゼッション率100パーセントはあり得ないので、どうしても相手がボールを持つ時間帯はある。
昨季は歯車が噛み合わない時期もあり、J1降格を避けられなかった。それでも大﨑は冷静な判断と優れた技術でゲームを落ち着かせ、時には闘志むき出しのプレーでチームの窮地(きゅうち)を救うなど抜群の存在感を見せてきた。
この日は失点を喫してしまったが、頼れる男の帰還により札幌の組織は引き締まったように、綻びや甘さといったシーンが減少したように見えた。
同じ絵を描けるように導いた大﨑
この日は滝のような雨が降る中で試合が行われた。視界不良と思える中で札幌の背番号25は、ピッチを幅広く見ながら奮闘した。ただ試合中に雷鳴が会場に響き渡り、前半14分過ぎに雷雨による中断を強いられた。

試合は79分間中断された。真剣勝負のリーグ戦でゲームが止まれば、モチベーションやコンディションの意地は難しいといわれることもある。
ただヴィッセル神戸のJ1制覇に貢献するなど豊富な経験を持つ大﨑にとってささいな問題でしかなかった。ゲーム再開後も球際はきびしく入り、正確なショートパスでゲームを活性化させた。

「常にみんなが同じ絵を描けるようなプレッシャーに行くのか。ちょっと(ボールを)持たれているから、一回引くのか。そういうところはなるべく意識して、みんなが同じような絵を描けるように意識して、コミュニケーションを取りました」と、大﨑は身振り手振りを踏まえてコーチングしながらチームの目的をはっきりさせた。
岩政大樹監督は「大﨑もそうですし、宮澤(裕樹)もそうですが、彼らはチーム全体を声で引っ張ることができます、彼らがチームの中心に入って声をかけ続けることで、全体の戦いがそろうという面があります。きょうは二人のおかげで、ある意味勝点が取れたという言い方ができると思います」と大﨑、宮澤のベテラン二人の振る舞いを称賛した。
前半終了間際に失点を喫したものの、被シュート計14本を耐え抜いて後半43分にバカヨコの得点で同点に追いついた。後半は札幌がゲームを支配していただけに、2試合ぶりの白星を手繰り寄せたかった。
「前半にイレギュラーがあった中で、後半は入りから試合展開がすごく良かったんじゃないかなと思います。つなぐところ、裏に蹴るところは、はっきりしていたので、本当に良かったです。良かっただけに、もったいなかったですね」と悔しさを口にした。
ただ顔を下げるわけにはいかない。サポーターはこの試合で『今年昇格するんだろ?ここで戦えない者に「次」なんて無い』というゲキを飛ばす横断幕を掲げていた。

大﨑は「もちろん内容にもこだわらなきゃいけないかもしれないですけど、自分たちは自動昇格の可能性がある限り、そこを目指していかなきゃいけない。いまも目指しているし、そこを狙うには内容より結果が必要な時期になってくると思います。まずは勝点3、その中でもゲームをコントロールする時間が長ければ、なおいいかなと思います」と結果にこだわりながら、試合内容も改善する構えだ。

次節は来月15日午後2時にホーム・大和ハウスプレミストドームでFC今治を迎える。約2週間の中断期間を経て大﨑を筆頭に勝ち切る集団へと成長し、1シーズンでのJ1復帰に向けた逆襲が始まる。
(取材・文 高橋アオ)