「ありえない失点が起きた」ちばぎんカップ…J2ジェフユナイテッド千葉の小林慶行監督は開幕戦で巻き返せるか
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[第29回ちばぎんカップ、J2ジェフユナイテッド千葉 0-3 J1柏レイソル、9日、千葉・フクダ電子アリーナ]

千葉は0-3で柏に敗れ、ちばぎんカップ3連覇を逃した。

昨季J2を7位でフィニッシュし、17季ぶりのJ1復帰に向けて小林慶行(よしゆき)監督と3シーズン目を迎えた。

J2開幕前の最後の実戦機会であるちばぎんカップ3連覇で好スタートを切りたかったが、開始早々の前半3分に失点した。

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小林慶行監督

今季新たに背番号10を与えられたMF横山暁之(あきゆき)やFW田中和樹らを中心に同点弾を狙うも、不発に。その後、前半41分と後半1分にも追加点を許した。なんとかしてゴールを奪おうと、後半は柏を上回る計8本のシュートを放ったが、ネットを揺らせずに試合は0-3で差を見せつけられた。

試合後、小林監督は「ありえない失点が起きている」と厳しい表情で試合を振り返った。

ありえないミスをレッスンにJ2開幕戦へ

「やってはいけない失点をしてゲームを難しくしてしまいました。1失点目については昨年と同様に前から(プレス)に行ったときに生まれる背後のスペース、最後のところの対応、それらの課題がずっと付きまとっている。

相手の精度やクオリティの部分が(関係)あることをやり続けているので、そういうシーンは出てくる。ただ、2失点目の部分はありえないことが起きたと選手たちに言いました。

『2年前からスタートしているこのチームにおいて、あれは俺たちがやりたいこと。やられることは絶対にない失点だ』と話しました。とにかく、ありえない失点が起きている。

3点目は、自陣での愛斗(MF品田愛斗、まなと)のミスです。

前進しようとトライすれば、そのような場面はもちろん出てくる。ただ、あのようなプレーをしてしまったことはしっかりと個人で受け止めなければいけませんし、競争の中では『あんなミスをしていたら(他の選手と)取って代わられる』というチームにならないと(自分たちは)大きく成長しない。

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柏MF仲間隼斗(左)と千葉FW石川大地(右)

自分たちで(試合を)難しくしてしまった。ましてや、もともと力のある柏さんに対して自分たちからしてはいけないプレーをすれば、このような結果になることは当然。そのような意味では大きなレッスンになったと思います」

15日にはJ2開幕いわきFC戦が控えている中、J1柏に対してゲームをコントロールされ続けた。それでも、途中出場のMF岩井琢朗やFWデリキをはじめとする新戦力の活躍もあった千葉。指揮官は後半のパフォーマンスに一定の評価をしつつ、今シーズンの課題を口にした。

指揮官がこの試合で評価できた部分

――守備と攻撃の手ごたえを教えてください。攻撃はクロスが多かったものの、単調だったように観えました。

「まず攻撃について、そのような部分があったと思います。ただ相手のシステム上、自分たちが押し込んだ中でも5枚(のブロック)でパッと組まれて、その時点で(自分たちは)何ができるのか。それ(ブロックを組まれる)以前の自分たちが相手を1個剥がした時点で何かチャンスはないのか、そこを見逃すなという部分はチームとして積み上げている部分です。

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2得点目を喜ぶ柏イレブン

選手に求めているところでもありますが、5-4のブロックを崩していくためのトレーニングをチームでそれほどたくさんできているわけではありません。今後、自分たちが押し込む時間帯がどれだけあるかということを考えています。

もしくは現代サッカーにおいて、ブロックを組まれた中で得点を取ることがどれだけ難しいか。サッカーのトレンドとしては前からどのチームも来るからこそ、それを剝がした瞬間ですよね。きょうの1失点目のような部分がいまのサッカー界では得点につながると思いますし、そこにフォーカスしたチーム作りをしている分、あのような場面が出るゲームもあると思います。

守備についていえば、失点のシーンは自分たちが表現したかったことをやろうとして、生まれた失点なのかなと思っています。一度(相手の攻撃を)吸収して、自陣で守らなければいけない。きょうでいえば、キーパーを含めたビルドアップのところにすごく特徴のあるチームでした。そのような中でも自分たちは自分たちのスタイルで行きました。

相手の情報もなかったですし、何をやってくるかもそれほど分からない状況でしたが、まずは自分たちのやろうとしていることを表現しようという中で、キーパーを使って剝がされて、前進されて押し込まれるシーンを多くつくられました。

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悔しさをあらわにする千葉DF鳥海晃司

ただ結果だけを観れば、そこから(相手のビルドアップから)失点した部分はなくて、最後まで粘り強く対応できた部分もありました。そこはしっかりと評価してあげたいと思います。

もちろん、ブロックを組んだところから自分たちが襲い掛かり、相手のバックパスを促していくシーンで、プラス1のキーパーを使われて解放されてしまう場面を作られました。そこはキーパーの能力で上回られましたし、それに伴う相手のデザインがすごくレベルの高いものでした。

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最後まで声援を送った千葉サポーター

ただ後半どうだったかというと、自分たちの守備から奪って前に行く躍動感は観せられたと思います。すごく難しいんですけど、いままで積み上げてきた部分と、きょうのような強い相手には簡単にいかない部分。

粘り強く、我慢強く守備をする部分の使い分けの精度を自分自身が上げていけるようにしたい。しっかりと選手に(戦術や意図を)落とし込めるようにすることが今シーズンの課題だと思っています」

(写真 浅野凜太郎)

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