
[J1第27節、柏レイソル 4-2 浦和レッズ、8月22日、千葉・三協フロンテア柏スタジアム]
3位柏は7位浦和に4-2で逆転勝利し、暫定首位に浮上した。
この試合で先発出場した日本代表FW垣田裕暉は攻守で奮闘するも、前半終了後にベンチへ下がった。
柏の背番号18が攻守で躍動するも
高温多湿の日立台で、垣田はチームのためにスプリントを繰り返した。
「もともと走れることは自分の売りでしたが、それをいかんなく発揮させてくれる監督ですし、そこを求めてくれるのでやりやすい」と、スペイン人指揮官リカルド・ロドリゲス監督への信頼を強調した。
J1鹿島アントラーズの下部組織で育った垣田は、昨季途中に柏へ完全移籍で加入。初年度はリーグ戦13試合1得点と不完全燃焼に終わったが、2020年シーズンから2季に渡って期限付き移籍していたJ2徳島ヴォルティスで共闘した同監督が柏に就任した今季は、ここまでリーグ戦26試合5得点4アシストの活躍を披露していた。
また、今年7月には韓国で開催された東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会で日本代表デビューを果たし、香港代表戦では1アシストの結果を残した。
A代表デビューを果たした垣田(左)「あの経験はクラブで自分がやっていることのご褒美だと思います」と代表活動を振り返った背番号18は、この日も試合開始直後からアクセル全開だった。
攻めれば身体を張ったポストプレーとワンタッチパスでリズムを生み出し、守れば前線からの激しいチェックで相手に自由を与えなかった。
「今年1年間を通してやっていることです。攻撃の起点と守備の起点になるのが自分の仕事だと思っているので、その部分を前半からやり続けることが必要だと思います」と好調ぶりをアピールした。
柏はゲームを支配し、何度も相手ゴールに迫ったが、浦和の堅守を崩せず。前半5分と同43分に許した失点を取り返せないまま、後半へ突入した。
日本代表指揮官へのアピールは考えず
指揮官から「俺たちは逆転できる」とピッチに送り出された柏イレブンだったが、垣田の姿はなかった。
「だいぶフィーリングが良かったんですけど、ゼロ対2という状況で前線を代えるのは当たり前のことですし、自分のポジションにはレベルの高い選手がそろっている」と背番号18はベンチへ退いた。
ホームチームは前半同様にボールを回し続け、浦和の体力を削り取っていった。徐々に足が止まり始め、守備にほころびが出始めた相手にオフェンス陣が畳みかけた。
後半9分には、垣田と代わってフォワードの位置で出場したMF瀬川祐輔が、左サイドからのクロスボールを混戦の中でトラップして右足を振り抜き1得点差に迫った。
さらに同38分にはFW細谷真大が同点弾を奪取。中央で瀬川とのコンビネーションを披露した背番号9は、左足シュートをゴールに突き刺した。

目の前でライバルたちが躍動した。
垣田は「もちろん同じポジションの選手が活躍すると、悔しさもあります」と素直な気持ちを明かしたが、すぐさま「誰が得点を取っても勝てばいい」と口にした。
「後半は、前半からずっと打ち続けたジャブが効いてきたんだと思います。前線の押し込んだり、収めたりするプレーや、守備で追って相手を休ませない部分が後半から効いてくると思うので、やっていることは間違っていないと思います。
ゴールやアシストをしたいからといって、他のことをやり始めてしまうとチームは上手くいかない。いまは自分のやっていることをやりながら、フォワードとしての精度を上げていきたい」と言葉に力を込めた。

柏は同45分にMF小西雄大が放った左サイドからのロングシュートで逆転。さらに同51分にも1得点を追加し、4-2の逆転勝利を収め、暫定首位に浮上した。
次節は31日午後7時からホームでアビスパ福岡と対戦する。
この日は日本代表の森保一監督と名波浩コーチが視察に訪れていたが、「前半は負けてしまいましたが、アピールとかを考えてやっているわけじゃない。自分はチームが勝つために毎日、毎日走りたいと思います」と、垣田は屈託のない笑みを浮かべた。
「まずは先のことを考えずに、目の前の1試合1試合をやっていく」と、柏の背番号18がJ1優勝へのアクセルを踏んでいる。
(取材・文 浅野凜太郎)