中国で「鬼滅の刃」の興収が暴落、日本アニメは「氷点」に達したのか？―中国メディア

2025年11月20日、中国のポータルサイト・捜狐に、劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来の興行収入が暴落したこと受け、「日本アニメは『氷点』に達したのか？」と問い掛けた記事が掲載された。記事は、「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来の1日の興行収入が1000万元（約2億円）にも満たなくなった状況を受け、多くの人が『日本アニメは氷点に達した』とする論を投げ掛けた。しかし、前の劇場版が世界興行収入407億円という神話的記録を打ち立て国民的ブームを巻き起こしている。わずか数日の落差で、本当に一つのアニメ時代の終幕を宣告できるのだろうか。これを文化輸出の座標軸で見つめ直すならば、その答えは『誰も見なくなった』という一言よりもはるかに複雑だろう」とした。そして、「まず明確にすべきは、今回の劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来の興行的失速は、単なる『作品の質』の問題ではなく、日本の高市早苗首相の発言によって中国の観客の感情を深く傷つけた結果だ。このような輸出国の政治的態度によって引き起こされる文化受容度の低下は、本質的には『文化媒体』と『価値的立場』が結びついた後の必然的な結果であり、日本アニメ自体の芸術的魅力が失われたわけではない。単一作品の市場での冷遇をもって『日本アニメは氷点に達した』と断定するのは、明らかに一面的な認識の誤りである。日本アニメは半世紀以上続く文化産業の指標的存在であり、その産業基盤は揺らいでいない」と論じた。また、「直近2年の市場実績を見るだけでも、『劇場版 呪術廻戦0』の世界興行収入は265億円を突破し、『スキップとローファー』は繊細な青春描写によって国際的なアニメ賞を受賞するなど、これらの作品は依然として世界規模で文化的影響力を構築している。『鬼滅の刃』自体も、『家族の絆＋和風美学』という組み合わせによって数億人の観客を感動させた事実は、日本アニメが感情表現と視覚演出において依然として強みを持っていることを証明している。真に警戒すべきは『誰も見なくなった』という表面的な現象ではなく、産業内部に長年蓄積してきた革新の停滞と内容の硬直化という問題である」と指摘した。記事は、「文化輸出の本質から見れば、日本アニメの黄金時代は、まさに『普遍的価値＋日本独自の特色』という二重の支えの上に築かれてきた。1980年代の『鉄腕アトム』は科学技術の善用を伝え、90年代の『スラムダンク』は青春と努力の意義を説いた。これらの作品は人類共通の感情を核としつつ、桜や武道といった日本文化のシンボルに包み込むことで、自然に国境を越えて共感を呼んだのだ。しかし近年、多くの作品が、熱血ものの量産化やキャラクター設定の類型化という悪循環に陥り、『鬼滅の刃』の続編も『敵を倒して成長する』という固定化された構造から完全には脱却できていない。そこに、政治的立場による負の影響と内容革新の乏しさが重なれば、市場の反発が起こるのも当然である」と論じた。その上で、「『日本アニメは氷点に達した』と断言するのは、世界のアニメ市場構造の変化をも無視している。近年、中国アニメは伝統文化を革新的に表現することで高い興行収入を獲得し、韓国作品『Sweet Home -俺と世界の絶望-』はダークな作風で世界市場を切り開いている。こうした新興勢力は、世界アニメの勢力図を再構築しつつあるのだ。日本アニメの冷え込みは、政治的問題が露呈した結果であり、同時に市場多様化競争の必然でもある。しかしこれは生存の余地を失ったことを意味するわけではない。革新の初心を取り戻し、日本独自の特色と世界的視野のバランスを取り、同時に文化伝播における感情的尊重に正面から向き合うことができれば、日本アニメが再び主流に戻る可能性は依然として存在する」と述べた。そして、「『鬼滅の刃』の興行収入の浮き沈みは、文化輸出の脆弱さと強靭（きょうじん）さを映し出す鏡のようなものである。単一作品の盛衰によって一つの産業の運命を定義することはできない。日本アニメにとって、現在の『氷点』はむしろ変革の契機であるのかもしれない。真摯（しんし）な創作態度と尊重ある発信姿勢によってのみ、再び観客の支持を勝ち取ることができるのである。また、すべての文化輸出に取り組む創作者にとっても、この事例は『文化の力は結局のところ感情の共鳴と価値の共有に由来するのであり、単なる商業的宣伝によるものではない』ということをはっきりと示している」と結んだ。（翻訳・編集/岩田）