トリッキーな川谷絵音(Vo, Gt, Key)のギタープレイをはじめ、ジャズっぽいところもあるテクニカルかつプログレッシブなアンサンブルと、キャッチーなサビの展開が1つになると、ダンサブルなポップ・ナンバーになるところが、ゲスの極み乙女。マジック。そんな魅力を、ほな・いこか(Dr)がドラムを打ち鳴らす中、メンバーたちがステージに現れ、演奏になだれこんだ1曲目の「猟奇的なキスを私にして」からアピールした前半戦。MCも挟まず、「ロマンスがありあまる」「サイデンティティ」「ドグマン」とたたみかけるように曲をつなげる今日のゲス乙女。ちょっとマジメすぎるんじゃない⁉ いつから生真面目に演奏だけで勝負するバンドになった⁉ もちろん、元々テクニシャンの集まりだ。熱度の高い演奏だけでも十二分に楽しめると言えば、楽しめるとは言え、バンド名が象徴する人を食ったようなおもしろさがちょっと足りないんじゃないか⁉
そう思っていたら、唯一挟んだ中盤のMCでは、「ツタロックと全然関係ないからね!」とほな・いこかに突っ込まれるまで、川谷と休日課長(Ba)が、休日課長が『テラスハウス』に出演して、フラれたという話を長々と話し続け、観客を苦笑いさせるといういつもの通りの展開に。それでもライブの流れが緩まないのがゲス乙女。。ファンキーな演奏にバンドが持つポップな魅力を凝縮した「私以外私じゃないの」で観客の気持ちを、今一度ぐいぐいっとつかむと、後半戦はプログレ的な魅力を若干抑えながら、ラストスパートをかけるようにストレートな演奏を繰り広げていった。
うーん、やっぱり今日のゲス乙女。


Photo by Tatsuya Shiraishi
SET LIST
1.猟奇的なキスを私にして
2.ロマンスがありあまる
3.サイデンティティ
4.ドグマン
5.私以外私じゃないの
6.もう切ないとは言わせない
7.crying march
8.キラーボール