ヴァン・ドーレンは1925年2月12日、ニューヨークシティ生まれ。父はピューリッツァー賞を受賞した詩人兼評論家のマーク・ヴァン・ドーレン。ケンブリッジ大学とコロンビア大学で勉強し、1957年にNBCのクイズ番組『21』のオーディションを受けた時は、コロンビア大学で英語を教えていた。
多くの表彰歴を持つ31歳の大学教授は、1956年11月28日から1957年3月11日までの14週間、番組に出演。歴史、医学、地理、そのほか多岐にわたる質問に答えていった。連勝記録で12万8000ドルの賞金を獲得した彼は国民的スターとなり(タイム誌の表紙も飾った)、彼のおかげで番組も高視聴率をたたき出した。出演終了後もNBCと3年契約を結び、『トゥデイ・ショウ』などに出演した。
だがTV局の発表とは裏腹に、彼の番組出演はやらせだったのではないかという噂が広まった。1959年11月2日、ついに彼は議会公聴会で事前にクイズとその答えを受け取っていたことを告白――演技指導も受けていたことを認めた。第2級偽証罪で有罪を認めたが、刑務所行きは逃れた。
面目を失ったスターは、これをうけてコロンビア大学での職を失い、その後ペンネームでブリタニカ百科事典の執筆・編集に携わった。
このスキャンダルを題材にし、オスカー候補にも挙がった1994年のロバート・レッドフォード監督作品『クイズ・ショウ』では、レイフ・ファインズがヴァン・ドーレンの役を演じている。