いよいよ今日、2019年4月15日(月)より『ゲーム・オブ・スローンズ 最終章』が、世界同時放送でスタートする。最終章を迎えるにあたり、これまでの印象に残る名場面を振り返る。
「ブラックウォーターの戦い」のような明らかに目立ったエピソードもいくつかあるが、『ゲーム・オブ・スローンズ』の構成的にベスト・エピソード・ランキングはあまり意味がなさそうである。このドラマを懐かしむにはHBO GOで全編を見直すよりもYoutubeでハイライトをざっと見たほうが良いかもしれない。このトップ10ランキングでは『ゲーム・オブ・スローンズ』が長年に渡って見せてきた様々な名場面を紹介する。
1. サーセイ・ラニスターが大聖堂を爆破(シーズン6「冬の狂風」)
ここはストーリー的にはハイ・スパロウとタイレル家の(大半の)人間などの兵士のたちが全滅させられるシーンである。しかし技術的な面では、ミゲル・サポチニクによる演出にラミン・ジャヴァディによる楽曲の恐怖を煽るピアノ(シリーズ通して初使用の楽器)が入ってくる『ゲーム・オブ・スローンズ』史上最高の編集となっている。ヒッチコックの『ゴッドファーザー』の有名な”洗礼と暗殺のシーン”の手法で、喪失と屈辱の年月を過ごしたサーセイがいかに冷酷で復讐心に燃えているかを表現している。トメンは自分の母親が手段を選ばない人間であるということを悟った後に自殺するが、その固定視点のカメラワークに至るまであらゆる意味で完璧なのだ。
2. エダードの処刑(シーズン1「ベイラー大聖堂」)
『ゲーム・オブ・スローンズ』が完全に『ゲーム・オブ・スローンズ』になった瞬間である。
3. ホーダーが扉を押さえる(シーズン6「扉」)
何年もの間、その付き人はひたすら無意味な「ホーダー」という言葉だけを繰り返し、それがみんなからの呼び名となった、優しく滑稽でほっこりするキャラクターであった。しかし、ブラン・スタークの特殊な能力によってホーダーの人生が悲惨なものであったことが明らかになった。ウィリスと言う名の少年はかつてはよくしゃべりしっかりした少年だったが、彼はブランをモンスターの大群から守るために「Hold the door!(扉を抑えろ)」という命令を深く痛ましいほどに心に刻みつけながら自らを犠牲にした。そのせいでそのフレーズを短縮した言葉以外を話せなくなってしまった。
4. ジョン・スノウの夜の王との対峙 (シーズン5「堅牢な家」)
ハードホームにある野人の居住地への夜の王の亡者の軍団の襲撃のシーンは他のすべてのテレビドラマに圧倒的な差を見せつけている。容赦なく混ざり合ったアクションとホラーのシーン(重ねて言うがサポチニクによる演出だ)は、死の軍団がジョン・スノウとトアマンドや他の野人を圧倒しながら、視聴者が息をするのを忘れてしまうような内容へと徐々に盛り上がっていく。夜の王がジョンを愚弄するように両腕を上げるシーンはシリーズの中でもネット上で最もネタにされたシーンかもしれないが、ファイナル・シーズンにおいて、人間がホワイト・ウォーカーに対抗することがいかに至難の技であるかということを示唆する、気が滅入るようなシーンでもある。
5. 釁られた婚儀 (シーズン3「キャスタミアの雨」)
ネッドの処刑に続き、さらにそれよりも血なまぐさいシーンであり、この物語が英雄的キャラクターたちが苦しみながらも最後には必ず勝つようなありがちな心地よい物語でないことを証明したシーンである。
6. 入浴するキングスレイヤー(シーズン3「炎の口づけ」)
この物語におけるたくさんある意外な組み合わせの中で最も複雑で魅力的なのはジェイミー・ラニスターとタースのブライエニーの2人かもしれない。ブライエニーがジェイミーを彼の妹のところへ戻すという約束を果たすために尽力する中で2人は驚くほど絆を深めた。ジェイミーは初期のシーズンでは作中で最も気取ったキャラクターとして描かれることが多かったが、彼が「キングスレイヤー」と呼ばれるようになった経緯とそれが彼の感情にもたらした影響をブライエニーに語る様子からは彼がただの高慢な悪役ではなく、優美な庇護者の腕の中で倒れそうになりながらファースト・ネームで呼んでくれと請い求めるような孤独な男であることをうかがい知ることができる。
7. 母語で話すドラゴンの母(シーズン3「穢れなき軍団」)
デナーリスがエッソス大陸を移動するペースは時に苛立つほどに遅いが、それは明らかにラニスター家が持つ軍事力を凌ぐ強さを持ったドラゴンを引き連れた彼女がウェスタロスに到着するのを遅らせるためである。しかし、彼女の話が前に進まなくなると出てくるのがこのドラマの一番の成功の公式「デナーリスが叫ぶ+悪者たちが燃える=全て良し」である。このシーンでは彼女の幼いドラゴンたちの力だけでなく彼女の周りの目を欺く聡明さ(敵対者が彼女をあざ笑うために使っていた言葉を使う場面)と公正さ(自分のために戦ってくれると信じつつ、一度穢れなき軍団の任務を解いた場面)を見せつけている。途方もない映像とキャラクター性が同時に表現されているのだ。
能力を見せつけるダニー(Photo credit: Keith Bernstein/HBO)
8. ティリオンの告白(シーズン4「裁判」)
このドラマのシーズン1で主人公と呼ぶのに一番近かったのはネッドであったが、ピーター・ディンクレイジが演じる賢く毒舌な小鬼ティリオン・ラニスターは物語の初期から明らかに突出した役であった。脚本家とディンクレイジはティリオンの頭の回転の速さと冗談の裏に隠された人生の苦悩の間の極めて危ないところを通ってきた。何度か彼が怒りを見せることはあったが憎き甥を殺したとして不当に罪を着せられた裁判以上に強烈に怒りをあらわにしたことはなかった。「俺はジョフリーを殺してはいないが殺せばよかった!俺がお前らが思うような怪物だったらよかった!」と彼を中身ではなく見た目で判断した父親や姉を含め、そこにいた全員に向かってどなった。
9. 目玉が飛び出すほどの勝利(シーズン4「山と毒蛇」)
1シーズン全部をかけて誰が一番かを決定するようなことがなかったのが不思議なほどにこのドラマにはウェスタロスで一番の戦士だと自称する様々なキャラクターが登場する。それでも、ブライエニーがハウンドを崖から殴り落としたり、その呼び名がぴったりのマウンテンとずる賢いオベリン・マーテルのこの決闘裁判など、この年月の間に数々の際立った戦いがあった。マーテルは派手な戦闘スタイルで巨漢の相手を軽々と倒したがマウンテンに姉の殺害を自白させようと時間をかけすぎてとどめを刺すことが出来なかった。マウンテンの接近戦での勝ち方は、今年のスーパーボウルのベスト・コマーシャルの目玉になったほど、迅速で残酷で記憶に残るものである。
10. 巨人と戦うための誓い(シーズン4「黒の城の死闘」)
ホーダーの死と同様、これは脇役(ジョン・スノウの冥夜の守人の中で3番目に近い友人)の誇るべき犠牲であり、その死に至るまでの過程が大きく意味を持ったもう1つの瞬間である。6人の守人が自分たちが死ぬことを覚悟しながら文字通りの巨人が黒の城の内壁を突破するのを阻止することを心に決める。中には逃げ出したがる者もいたがグレンは、ここまでに視聴者の多くもおそらく声に出して言えるようになっているぐらいこのドラマの中で恒例になっている冥夜の守人(ナイツウォッチ)の誓いを暗唱しメンバーを奮い立たせる。このエピソードでは巨人の襲撃のシーンをあえてカットし、しばらく経ってジョンがグレンと他の守人たちの死体と共に、彼らが勇気と知恵を持って侵入を阻止したということがわかる巨人の死体を発見するシーンまで飛ぶ。
「ブラックウォーターの戦い」のような明らかに目立ったエピソードもいくつかあるが、『ゲーム・オブ・スローンズ』の構成的にベスト・エピソード・ランキングはあまり意味がなさそうである。このドラマを懐かしむにはHBO GOで全編を見直すよりもYoutubeでハイライトをざっと見たほうが良いかもしれない。このトップ10ランキングでは『ゲーム・オブ・スローンズ』が長年に渡って見せてきた様々な名場面を紹介する。
1. サーセイ・ラニスターが大聖堂を爆破(シーズン6「冬の狂風」)
ここはストーリー的にはハイ・スパロウとタイレル家の(大半の)人間などの兵士のたちが全滅させられるシーンである。しかし技術的な面では、ミゲル・サポチニクによる演出にラミン・ジャヴァディによる楽曲の恐怖を煽るピアノ(シリーズ通して初使用の楽器)が入ってくる『ゲーム・オブ・スローンズ』史上最高の編集となっている。ヒッチコックの『ゴッドファーザー』の有名な”洗礼と暗殺のシーン”の手法で、喪失と屈辱の年月を過ごしたサーセイがいかに冷酷で復讐心に燃えているかを表現している。トメンは自分の母親が手段を選ばない人間であるということを悟った後に自殺するが、その固定視点のカメラワークに至るまであらゆる意味で完璧なのだ。
2. エダードの処刑(シーズン1「ベイラー大聖堂」)
『ゲーム・オブ・スローンズ』が完全に『ゲーム・オブ・スローンズ』になった瞬間である。
3. ホーダーが扉を押さえる(シーズン6「扉」)
何年もの間、その付き人はひたすら無意味な「ホーダー」という言葉だけを繰り返し、それがみんなからの呼び名となった、優しく滑稽でほっこりするキャラクターであった。しかし、ブラン・スタークの特殊な能力によってホーダーの人生が悲惨なものであったことが明らかになった。ウィリスと言う名の少年はかつてはよくしゃべりしっかりした少年だったが、彼はブランをモンスターの大群から守るために「Hold the door!(扉を抑えろ)」という命令を深く痛ましいほどに心に刻みつけながら自らを犠牲にした。そのせいでそのフレーズを短縮した言葉以外を話せなくなってしまった。
扉を押さえるということからウィリスはホーダーになり、その過程で貴族間の戦争の二次的な被害者となった身分の低い者たちの象徴となった。
4. ジョン・スノウの夜の王との対峙 (シーズン5「堅牢な家」)
ハードホームにある野人の居住地への夜の王の亡者の軍団の襲撃のシーンは他のすべてのテレビドラマに圧倒的な差を見せつけている。容赦なく混ざり合ったアクションとホラーのシーン(重ねて言うがサポチニクによる演出だ)は、死の軍団がジョン・スノウとトアマンドや他の野人を圧倒しながら、視聴者が息をするのを忘れてしまうような内容へと徐々に盛り上がっていく。夜の王がジョンを愚弄するように両腕を上げるシーンはシリーズの中でもネット上で最もネタにされたシーンかもしれないが、ファイナル・シーズンにおいて、人間がホワイト・ウォーカーに対抗することがいかに至難の技であるかということを示唆する、気が滅入るようなシーンでもある。
5. 釁られた婚儀 (シーズン3「キャスタミアの雨」)
ネッドの処刑に続き、さらにそれよりも血なまぐさいシーンであり、この物語が英雄的キャラクターたちが苦しみながらも最後には必ず勝つようなありがちな心地よい物語でないことを証明したシーンである。
6. 入浴するキングスレイヤー(シーズン3「炎の口づけ」)
この物語におけるたくさんある意外な組み合わせの中で最も複雑で魅力的なのはジェイミー・ラニスターとタースのブライエニーの2人かもしれない。ブライエニーがジェイミーを彼の妹のところへ戻すという約束を果たすために尽力する中で2人は驚くほど絆を深めた。ジェイミーは初期のシーズンでは作中で最も気取ったキャラクターとして描かれることが多かったが、彼が「キングスレイヤー」と呼ばれるようになった経緯とそれが彼の感情にもたらした影響をブライエニーに語る様子からは彼がただの高慢な悪役ではなく、優美な庇護者の腕の中で倒れそうになりながらファースト・ネームで呼んでくれと請い求めるような孤独な男であることをうかがい知ることができる。
7. 母語で話すドラゴンの母(シーズン3「穢れなき軍団」)
デナーリスがエッソス大陸を移動するペースは時に苛立つほどに遅いが、それは明らかにラニスター家が持つ軍事力を凌ぐ強さを持ったドラゴンを引き連れた彼女がウェスタロスに到着するのを遅らせるためである。しかし、彼女の話が前に進まなくなると出てくるのがこのドラマの一番の成功の公式「デナーリスが叫ぶ+悪者たちが燃える=全て良し」である。このシーンでは彼女の幼いドラゴンたちの力だけでなく彼女の周りの目を欺く聡明さ(敵対者が彼女をあざ笑うために使っていた言葉を使う場面)と公正さ(自分のために戦ってくれると信じつつ、一度穢れなき軍団の任務を解いた場面)を見せつけている。途方もない映像とキャラクター性が同時に表現されているのだ。

能力を見せつけるダニー(Photo credit: Keith Bernstein/HBO)
8. ティリオンの告白(シーズン4「裁判」)
このドラマのシーズン1で主人公と呼ぶのに一番近かったのはネッドであったが、ピーター・ディンクレイジが演じる賢く毒舌な小鬼ティリオン・ラニスターは物語の初期から明らかに突出した役であった。脚本家とディンクレイジはティリオンの頭の回転の速さと冗談の裏に隠された人生の苦悩の間の極めて危ないところを通ってきた。何度か彼が怒りを見せることはあったが憎き甥を殺したとして不当に罪を着せられた裁判以上に強烈に怒りをあらわにしたことはなかった。「俺はジョフリーを殺してはいないが殺せばよかった!俺がお前らが思うような怪物だったらよかった!」と彼を中身ではなく見た目で判断した父親や姉を含め、そこにいた全員に向かってどなった。
9. 目玉が飛び出すほどの勝利(シーズン4「山と毒蛇」)
1シーズン全部をかけて誰が一番かを決定するようなことがなかったのが不思議なほどにこのドラマにはウェスタロスで一番の戦士だと自称する様々なキャラクターが登場する。それでも、ブライエニーがハウンドを崖から殴り落としたり、その呼び名がぴったりのマウンテンとずる賢いオベリン・マーテルのこの決闘裁判など、この年月の間に数々の際立った戦いがあった。マーテルは派手な戦闘スタイルで巨漢の相手を軽々と倒したがマウンテンに姉の殺害を自白させようと時間をかけすぎてとどめを刺すことが出来なかった。マウンテンの接近戦での勝ち方は、今年のスーパーボウルのベスト・コマーシャルの目玉になったほど、迅速で残酷で記憶に残るものである。
10. 巨人と戦うための誓い(シーズン4「黒の城の死闘」)
ホーダーの死と同様、これは脇役(ジョン・スノウの冥夜の守人の中で3番目に近い友人)の誇るべき犠牲であり、その死に至るまでの過程が大きく意味を持ったもう1つの瞬間である。6人の守人が自分たちが死ぬことを覚悟しながら文字通りの巨人が黒の城の内壁を突破するのを阻止することを心に決める。中には逃げ出したがる者もいたがグレンは、ここまでに視聴者の多くもおそらく声に出して言えるようになっているぐらいこのドラマの中で恒例になっている冥夜の守人(ナイツウォッチ)の誓いを暗唱しメンバーを奮い立たせる。このエピソードでは巨人の襲撃のシーンをあえてカットし、しばらく経ってジョンがグレンと他の守人たちの死体と共に、彼らが勇気と知恵を持って侵入を阻止したということがわかる巨人の死体を発見するシーンまで飛ぶ。
戦闘シーンは必要ない。その誓いがそれを特別なものにしているのだ。
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