年間150本以上のもの映画を鑑賞するという映画好きの[ALEXANDROS]川上洋平。バターたっぷりのポップコーンと映画館を愛する彼に、幼少期から現在に至るまでの自身の映画ヒストリーと偏愛する「アメリカ映画」について語ってもらった。
※この記事は2018年9月25日に発売されたRolling Stone Japan vol.04に掲載されたものです。
映画は自分が「主人公」になれる感覚が味わえる
ーこのインタビューでは川上さんと映画、特にアメリカ映画がお好きだと伺ったので、そのあたりについてお話を聞いていきたいんですけど。一番最初に観た映画って覚えてますか?
えーと、『バットマン』(1989年)ですね。ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の一番最初のやつです。TVで予告が流れていて「めっちゃカッコいい!」ってテンション上がって、親にせがんで連れていってもらいました。キム・ベイシンガーのセクシーなシーンもあったんで……いいのかなぁ、と思いつつ(笑)。親もよく連れて行きましたよね! ウルトラマンとかドラえもんが最初の映画って人も多いでしょうけど、僕は『バットマン』でした。
ーそれ、おいくつぐらいのときですか?
小学校一年生ぐらいかな? 全然ストーリーとか理解できてなかったと思うんですけど、怖がりながらも、とにかく面白かったのを覚えてます。
ー『バットマン』以外に子ども時代に観て面白かった映画ってなんでしたか?
父親と一緒に観た『ダイ・ハード』(1988年)です。「これは、俺のための映画だ」って思いました。その影響か、やっぱり、今でもポップコーン・フィルムが大好きで。
ーちょっとした反感みたいなものもあります?
映画を年間170本ぐらい観てると、知識も増えていくし、語れることも、語りたいことも増えていくんだけど、それやりだすと映画の敷居が高くなっちゃうじゃないですか? 映画に興味がないなって人にも普通に、遊園地に行くような感覚で観てもらいたいなって思うので、俺はそれはしないっていうだけで。ライトに語れるような評論家がもっと増えればいいのにって思うんですよね。
ー確かに、映画好きの裾野を広げるという意味でも大事なことですよね。川上さん、一時期、映画を語る連載を雑誌で持たれてたじゃないですか。
あれは、10~20代の子たちが読者層だったので。映画とか本当に観ない子たちに向けて書いていたものだったんです。俺も、そういうライトなにわか評論家を目指して書いてましたね(笑)。
ーもはや「にわか」ではない気もしますけどね(笑)。話を元に戻しますが、『ダイ・ハード』は、何がそこまで刺さったんでしょうか?
その頃にはもう海外にいたんですよね。で、家でビデオを観たんですけど。次の年ぐらいに家族でアメリカ旅行に行って。
簡単に言語化できないものを表現してくれる映画
ーなぜ川上さんを特に惹きつけたものが映画だったんですかね? 音楽や本やスポーツやほかにも娯楽ってあったわけじゃないですか?
映画って、自分にすっとしみ込む感じがするんですよ。音楽だったら、俺、こんなにカッコいい曲歌えないよ、とか、弾けないよって自分と比べちゃうんですけど……映画はなり切れちゃうんですよ。例えば『007』シリーズを観た後だったら、あたかも自分がジェームズ・ボンドになったように振る舞って観たりとか。経験あるんじゃないですか? 音楽とか小説だと、そうはいかない。映画は気がついたら、自分が主人公になってるような感覚があるんです。
ーなるほど。僕もジェームズ・ボンドになりきった経験あります(笑)。
最近だと『ダンケルク』(2017年)とか『ブレードランナー2049』(2017年)をやっていた、ハンス・ジマーとか大好きですね。あとは、『バットマン』のダニー・エルフマン。日本だと『ALWAYS 三丁目の夕日』を手がけた佐藤直紀さんが好きです。劇伴ずっとやりたいって言ってるんですけど、なかなか話がなくて。だから、今回の映画『BLEACH』はめっちゃうれしかったです。主題歌だけじゃなくて、挿入歌も担当してるから、劇伴デビューってことで!
Photo by OGATA for Rolling Stone Japan
ー実際、『BLEACH』で[ALEXANDROS]が流れてる場面、めちゃくちゃカッコよかったんで、がっつり劇伴を担当された映画、観てみたいです。アメリカ映画がお好きな理由はなんですか?
楽しみにしててください(笑)。いやー、そうですね……アメリカ映画って、夢、感じません? 古いアメリカ映画のビデオがたくさん、うちにあったんですよ。両親が観ていたものを引っ張り出して、片っ端から観たりして。『カサブランカ』(1942年)とか、モロッコの話だから中東の風景と重なってすごく好きでした。イギリス映画ですけど、『アラビアのロレンス』(1962年)も舞台になった、ヨルダンにあるペトラ遺跡が近かったので行けたんですよ。あとは『スター・ウォーズ』(1977年)ね。
ーほかに記憶に残っているアメリカ映画ってあります? まだお話伺うんですけど、まずはざっと。
『フレンチ・コネクション』(1971年)とかも記憶に残ってますね。定番ですけど『クレイマー、クレイマー』(1979年)のフレンチ・トーストのシーンを観て食べたくなって、何回も作りました(笑)。80年代になってくると、わりとリアルタイムで観てるんで。ダン・エンクロイドが出てる『大逆転』(1983年)とか、ダスティン・ホフマンとトム・クルーズが出てた『レインマン』(1988年)は大好きでした。あれはハンス・ジマーが音楽を担当していたんじゃなかったかな。あと、これは、アメリカ映画かっていうと微妙ですけど『アマデウス』(1984年)も、すごく好きです。『ブレイブ・ハート』(1995年)や『グラディエーター』(2000年)は自分が作る楽曲に影響を与えてますね。
ー『イージー・ライダー』(1969年)とか『タクシー・ドライバー』(1976年)みたいなアメリカン・ニューシネマの作品群はいかがでしょうか?
観ますけど、昔のハード・ロックを聴くような感じでしか観れてない感じがしますね。どこか懐古主義的というか、やっぱり今の映画が好きだなって思っちゃいます。
ー自分の今の感覚と地続きじゃないから、あんまりピンとこないんですかね?
映画館で観れば違うのかもしれないんですけどね。たまにそういうリバイバル上映みたいなものもやってますけど、あんまり行けてなくて。そういうのもう少しみてみたいなーとは思ってるんですけど。
ーなるほど。ちょっと話が変わりますが、映画は自宅で観る派ですか? それとも映画館派ですか?
圧倒的に映画館ですね。この取材の後も、映画を観に行くつもりでいます。特にポップコーンに目がなくて、おいしいポップコーンを出す映画館はチェックしてあります(笑)。深夜とかに行くと、意外と「あ、川上だ!」とか、あんまり気づかれないんですよ。
ー川上さんの「おいしいポップコーンを出す映画館リスト」、かなり気になりますね。
ポップコーン、本当に好きで……お酒も飲まないし、焼肉も食べないのに、悪玉コレステロールの値がめっちゃ高いのは絶対にポップコーンのせいなんです。バター多めに入れちゃうんですよね。2~3プッシュぐらい。しかも、必ず1作品ごとに必ず一袋食べるから、合計3袋。かなりヤバい。
ーお家でも、ポップコーン用意するんですか?
ポップコーン製造機を買いました。あと、それでもやっぱり味が違うから。どうしても映画館のポップコーンを観てるときに食べたくて、お持ち帰りしたこともあります。
川上にとっての恋愛と映画
ーハードコアなポップコーン狂ですね……。以前インタビューで「失恋してから、映画を狂ったように観るようになった」とおっしゃっていて、映画に関する淡い思い出などを伺いたいんですが。一番最初の映画デートの思い出を教えてください。
失恋以前から、けっこう観てはいたんですけどね。それが引き金になったのは間違いない(笑)。最初に好きな子と行ったのは……ジャン・レノとロバート・デ・ニーロが出てた『RONIN』(1998年)ですね。めちゃくちゃつまんなかった。寝ました。
ーデートなのに……。いい感じになった思い出とかは特にないですか?
あんまり成功した思い出ないなー(笑)。あの映画面白かった、とかのほうが記憶に残ってますね。面白いなって思ったときは、大抵、一緒に行った子のことが、本気じゃなかったケースが多い(笑)。
ー川上さんのベスト恋愛映画、聞きたいです。
「ベタだね」って言われそうだけど、『きみに読む物語』(2004)ですかね。ライアン・ゴズリングを大好きになったのも、あの映画がきっかけでした。大好きだった人がいたのに、戦争に行ったら違う人と結ばれていて……すごく切ない物語なのに、ゴズリングが感情を出しすぎずに演技してるところが、また最高なんですよ。
ーそれは一人で観に行ったんですか?
大学生の頃、好きだった女の子とデートしたときに観ました。でも、その子がクルマの中でタバコとか吸い始めて「え、禁煙なんですけど……」って俺がちょっと注意したら「は?」みたいな不穏な空気になって「あ、俺、タバコ吸う人無理」って思いました(笑)。
ーおっしゃる通り、全然うまくいってないですね(笑)。
映画は最高だったんですけどね。あと、ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットが出てる時間が巻き戻る映画……『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年)も、いい恋愛映画だと思う。『きみに読む物語』もそうだけど、いろいろあって幼馴染とくっつく話が好きなんですよ。主人公が「今までどんな男・女と付き合ってきたんだろう」とかモヤモヤしながらも、愛があるから最終的に結ばれるみたいなのってストーリーとして最高じゃないですか。
ーちょっと話戻るんですけど、高校生の頃、最愛の彼女と別れたときに一心不乱に観ていた映画で記憶に残っているものはありますか?
ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』(1999年)を観たのを覚えてます。主題歌がエイミー・マンの「セイブ・ミー」で、これも最高なんだけど、とにかく話の筋がいろんなところに飛ぶ映画で、高校生にとっては意味不明なところが良かった。「わかんないけど、なんかいい!」的な良さですよね。PTPは『ブギーナイツ』(1997年)も好きだったなぁ。とにかく映画を観まくって、その子のことを忘れたかったんだと思うんですよね。
ーポール・トーマス・アンダーソンや、クエンティン・タランティーノ、ケヴィン・スミス、リチャード・リンクレーターみたいな90年代後半~00年代にかけて活躍したいわゆる「VCR世代」と言われるような監督の作品は、やはりお好きですか?
好きですね。ちょうど、僕が高校生とか大学生の頃ってTSUTAYA全盛期だったんで、そういう監督の作品をすごくプロモーションしてたんですよ。だから、めちゃくちゃ借り倒してましたね。
ー上に挙げたような監督の作品の良さって川上さんにとってなんだったんでしょうか?
ストレートでエンターテインメントな作品を子ども時代から楽しんで観てきたんですけど、高校生とか大学生の頃は、簡単に言語化することができない何かを表現してくれるものに憧れてた時期だったんです。この鼻の奥がツンとなるような感覚をどう昇華したらいいんだろうって……だから、僕は曲を作ることで解消してたりしたんですけど。そういうものを映像として見せてくれる感じがあったんです。作品に込められた意味や意図をわかりやすく提示するのではなく、なんとなく伝えるような、そういう良さですよね。
ータランティーノ作品だと一番お好きなものはどれですか?
俺は圧倒的に『イングロリアス・バスターズ』(2009年)ですね。大爆笑しながら観ました。歴史物なのに、ヒトラーもゲッペルスも最後に死んじゃうんだもん(笑)。完全にふざけてますよね。『パルプ・フィクション』(1994年)も好きですけどね。いろんなカルチャーが入ってる映画が好きなので。
最高の映画の条件とは?
ー映画監督で絶対に観るって人はいます?
アメリカ人じゃなくて、イギリス人なんですけど(笑)。クリストファー・ノーランですね。とにかくハズレがない監督なんです。『ダークナイト』(2008年)ももちろん良かったけど、それ以前の作品も最高で。どれを観ても面白い。あんまり監督で選ぶってことは意外としないかもしれないです。でも、イーライ・ロスだけ苦手かも。『ノック・ノック』(2015年)を観たんですけど、気分が悪くなるほど完膚なきまでにバッド・エンドで。もうちょっと寸止めの美学ってのもあるんじゃないって思いました(笑)。
ー映画を選ぶときの基準って何かあります?
一人でじっくり観るものを選ぶ傾向にあるかもしれないです。サスペンスとか、そういうもののプライオリティが高いですね。でもねぇ……そもそも僕、映画選びにめちゃくちゃ時間かけちゃうんですよ。ビデオ屋の店員さんにあまりにも悩みすぎて、声かけられたことあって。「大丈夫ですか?」って。平気で2時間とかウロウロしちゃうんですよね。その時間で一本観れちゃいますよね。悩みすぎて、一回、喫茶店に行って落ち着いてから、また戻って悩む。自分のことですけど、とっとと借りちゃえばいいのに。借りて、観た映画がダメだったときにすべてが無駄になるから、それがとにかくイヤなんです(笑)。
ー結果、悪循環ですね……(笑)。
音楽や映画って時間が決まっていて、ちゃんと観たり聴いたりしようと思うとスキップすることができないから、必然的に人生の中で触れられる作品の数ってあらかじめ決まってると思うんですよね。だから、失敗してもいいやって思えないんですよ。
ーもう、将来はマイシアターというか作っちゃったほうがいいんじゃないですか?
いや、映画館に行くのが好きなんですよ。だから、将来の夢は「貸切」かなぁ。アカデミー賞にも行ってみたい。誰か連れてってくれたらうれしいな(笑)。
ーここから「ベスト系」の質問に移りたいんですが、まずは好きな俳優ベスト3から伺いたいです。
わー、そうだな。最近だと、ライアン・ゴズリング、ジェイク・ジレンホール、ジョセフ・ゴードン・レヴィットですね。日本でいう、小栗旬、山田孝之、綾野剛みたいな感じ。彼らは作品の選び方がいいんですよ。昔で言うところのブラッド・ピット、イーサン・ホーク、トム・クルーズみたいな。インディーズとメジャーの境目を行き来しているような感じがあって。でも、ちゃんとハリウッドの業界内でも評価されている。あとは、ブルース・ウィリスやダスティン・ホフマンは無条件で大好きですね。
ーもう、ベスト3とか関係なくなってきましたね(笑)。好きな女優も教えてください。
絶対忘れちゃいけないのはメリル・ストリープですね。メリルと、プライマル・スクリームのボビー・ギレスピーと、僕は誕生日が一緒なんです。毎年、誕生日の日には「おめでとう、メリル」「おめでとう、ボビー」「おめでとう、俺」って暗い部屋の中で一人で勝手に祝ってます。メリルは『クレイマー、クレイマー』が大好きです。キム・ベイシンガーもやっぱり好きですね。『8 Mile』(2002年)も素晴らしかったけど、やっぱり思い出に残ってるのは『バットマン』。あと、オーストラリア人だけど、ケイト・ブランシェットは一番好きかも! 『キャロル』(2016年)の演技が最高でしたね。ニコール・キッドマンもいいな。
ーご自身のブログでやってらっしゃる「カワカミー賞」ではベストというよりも個人的なタイプの女優も紹介していますよね?
そうですね。好みでいうと、イモージェン・プーツが断トツで一位です。あとはジュリアン・ムーア。ヒュー・グラントと一緒に出てたコメディ映画の『9か月』(1994年)で好きになって、『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(2014年)も良かったですね。でも、ベストは『ハンニバル』(2001年)!
ーこれからが楽しみな俳優っています?
既にめちゃくちゃ人気だから僕が期待しなくても、どんどん成功すると思うんですけど、ケイシー・アフレックがアカデミー賞の主演男優賞を獲った映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』に出ていたルーカス・ヘッジズですね。彼は『スリー・ビルボード』(2017年)にも出てましたね。あと、日本だと『ソロモンの偽証』(2015年)に出ていた石井杏奈さんとか……彼女はハリウッドに挑戦した方がいいと思う。
ーいい俳優さんの条件って何ですかね?
昨日、『カメラを止めるな!』(2018年)を観たからいうんですけど、「出すんじゃないんだよ、出るんだよ」ってことですよね。出そうと思って出してるんじゃなくて、出ちゃってる人がいると、映画は輝きますよね。問答無用で没入できちゃう。そういう演技ができる人はすごいなぁって思います。
ーベスト映画についても伺っておきたいです。
うーん、『アマデウス』ですかねぇ。あれは日の目を見なかった人の映画として僕は観てて。地獄から這い上がっていこうって勇気付けられるような気がします。なので、すごく心に残ってますね。でも、4時間以上あるし何度も見返したくなるかというとそういうわけではないですね(笑)。何回観ても面白い映画は、これもイギリス映画なので、テーマとズレるかもですけど『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)かな。
ー今年、今のところ面白かった作品も教えてください。
『68キル』(2017年)が良かったですね。あとは、意外と『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2018年)が面白かった。あと、『クワイエット・プレイス』(2018年)はニューヨークで観たんですけど、俺は声を大にしてみんなに観てもらいたいと言いたい。
ー川上さんにとって、いい映画の条件って何だと思いますか?
個人的にはパーソナルなテーマのものがすごく好きですね。あとは、ワールドワイドな雰囲気の「金かけてるなぁ~」って夢を見させてくれるものも好き。やっぱり映画館で観るのが僕は好きだから、たくさんの人を喜ばせてほしいなって思うんですよね。ブロックバスター・ムービーが好き!っていうことじゃないんですけど、インディーズ作品だけどきちんと観客に楽しんでもらおうって思ってる映画が好きなんです。『カメラを止めるな!』は、まさにそういう映画ですよね。あと、ご飯が美味しそうに撮れてる映画は大体いい映画だと思いますよ(笑)。
ーすごくわかりますね。記憶に残りますもんね。
『ジュラシック・パーク』(1993年)のステーキ食べてるシーンとか、ゼリー食べてるところとか。あと『パルプ・フィクション』のミルク・シェイクとハンバーガーね。ポップコーンもすすむんですよ!
ー本当に川上さん、映画がお好きですね(笑)。
いやぁ、やっぱりね、若い子たちにももっと映画観てもらいたいなって思いますよね。ネットを介して観ることもできますけど、やっぱり映画館に行くっていう体験を通して得られるものってありますから。日本の映画館はけっこうかしこまってますけど、海外とか行くと観客がおしゃべりしてたりして、自由(笑)。正直、迷惑ですけど、それぐらいゆるく楽しくなってもいいのかなぁって思いますね。あー、時間が足りない。もっと映画について喋りたいな(笑)。
YOOHEI KAWAKAMI(川上洋平)
[ALEXANDROS] のヴォーカル、ギター。神奈川県出身。2001年に大学でバンドを結成。[ALEXANDROS] のほとんどの曲で作詞・作曲を手がける。9歳~14歳までは中東の国で過ごし、インターナショナルスクールに通っていた。ブログで独自の映画賞”カワカミー賞”を選出するほどの映画好きで、年間200本鑑賞を目標としている。
<INFORMATION>
「Pray」
[ALEXANDROS]
※映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』日本版主題歌
ユニバーサルJ
5月13日デジタルリリース
Sleepless in Japan Tour
5月18日 愛知県 ポートメッセなごや 3号館
6月15日 埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
6月16日 埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
・Asia Tour
Sleepless in Shanghai
6月21日 上海 MODERN SKY LAB
Sleepless in Beijing
6月23日 北京 Beijing Omni Space
Sleepless in Jakarta
6月28日 ジャカルタ To be Announced
Sleepless in Bangkok
6月30日 バンコク Moon Star Studio 1
Sleepless in Hong Kong
7月5日 香港 Music Zone @ E-Max
Sleepless in Taipei
7月7日 台北 Legacy Taipei
Sleepless in Kuala Lumpur
7月19日 クアラルンプール Bentley Music Auditorium
Sleepless in Seoul
7月21日 ソウル MUV HALL
[ALEXANDROS] オフィシャルHP
https://alexandros.jp
Rolling Stone Japan vol.04掲載
「たくさんの人を喜ばせてくれる映画が好き」という川上洋平の映画哲学を紐解こう。
※この記事は2018年9月25日に発売されたRolling Stone Japan vol.04に掲載されたものです。
映画は自分が「主人公」になれる感覚が味わえる
ーこのインタビューでは川上さんと映画、特にアメリカ映画がお好きだと伺ったので、そのあたりについてお話を聞いていきたいんですけど。一番最初に観た映画って覚えてますか?
えーと、『バットマン』(1989年)ですね。ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の一番最初のやつです。TVで予告が流れていて「めっちゃカッコいい!」ってテンション上がって、親にせがんで連れていってもらいました。キム・ベイシンガーのセクシーなシーンもあったんで……いいのかなぁ、と思いつつ(笑)。親もよく連れて行きましたよね! ウルトラマンとかドラえもんが最初の映画って人も多いでしょうけど、僕は『バットマン』でした。
ーそれ、おいくつぐらいのときですか?
小学校一年生ぐらいかな? 全然ストーリーとか理解できてなかったと思うんですけど、怖がりながらも、とにかく面白かったのを覚えてます。
ー『バットマン』以外に子ども時代に観て面白かった映画ってなんでしたか?
父親と一緒に観た『ダイ・ハード』(1988年)です。「これは、俺のための映画だ」って思いました。その影響か、やっぱり、今でもポップコーン・フィルムが大好きで。
そういうのを「ダメ、映画がわかってない」っていうシネフィルの人は苦手ですねー。
ーちょっとした反感みたいなものもあります?
映画を年間170本ぐらい観てると、知識も増えていくし、語れることも、語りたいことも増えていくんだけど、それやりだすと映画の敷居が高くなっちゃうじゃないですか? 映画に興味がないなって人にも普通に、遊園地に行くような感覚で観てもらいたいなって思うので、俺はそれはしないっていうだけで。ライトに語れるような評論家がもっと増えればいいのにって思うんですよね。
ー確かに、映画好きの裾野を広げるという意味でも大事なことですよね。川上さん、一時期、映画を語る連載を雑誌で持たれてたじゃないですか。
あれは、10~20代の子たちが読者層だったので。映画とか本当に観ない子たちに向けて書いていたものだったんです。俺も、そういうライトなにわか評論家を目指して書いてましたね(笑)。
ーもはや「にわか」ではない気もしますけどね(笑)。話を元に戻しますが、『ダイ・ハード』は、何がそこまで刺さったんでしょうか?
その頃にはもう海外にいたんですよね。で、家でビデオを観たんですけど。次の年ぐらいに家族でアメリカ旅行に行って。
作品に出てきた「ナカトミ・プラザ」っていうビルをロサンゼルスに見にいったりしたんです。本当は名前も全然違って「フォックス・プラザ」っていう20世紀フォックスのビルなんですけど。そのとき、ニューヨークにも行ったんですよね。『ホーム・アローン2』(1992年)でドナルド・トランプとマコーレ・カルキンが出くわしたプラザ・ホテルも見に行って。実際にその舞台を訪れたときに感じるものがあって……「映画っていいなぁ」って思うようになった気がします。
簡単に言語化できないものを表現してくれる映画
ーなぜ川上さんを特に惹きつけたものが映画だったんですかね? 音楽や本やスポーツやほかにも娯楽ってあったわけじゃないですか?
映画って、自分にすっとしみ込む感じがするんですよ。音楽だったら、俺、こんなにカッコいい曲歌えないよ、とか、弾けないよって自分と比べちゃうんですけど……映画はなり切れちゃうんですよ。例えば『007』シリーズを観た後だったら、あたかも自分がジェームズ・ボンドになったように振る舞って観たりとか。経験あるんじゃないですか? 音楽とか小説だと、そうはいかない。映画は気がついたら、自分が主人公になってるような感覚があるんです。
ーなるほど。僕もジェームズ・ボンドになりきった経験あります(笑)。
ちなみに映画音楽は、お好きですか? 好きな作曲家の方とかいます?
最近だと『ダンケルク』(2017年)とか『ブレードランナー2049』(2017年)をやっていた、ハンス・ジマーとか大好きですね。あとは、『バットマン』のダニー・エルフマン。日本だと『ALWAYS 三丁目の夕日』を手がけた佐藤直紀さんが好きです。劇伴ずっとやりたいって言ってるんですけど、なかなか話がなくて。だから、今回の映画『BLEACH』はめっちゃうれしかったです。主題歌だけじゃなくて、挿入歌も担当してるから、劇伴デビューってことで!
![[ALEXANDROS]川上洋平、アメリカ映画を語る](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FRollingStone%252FRollingStone_30790_62d1_2.jpg,quality=70,type=jpg)
Photo by OGATA for Rolling Stone Japan
ー実際、『BLEACH』で[ALEXANDROS]が流れてる場面、めちゃくちゃカッコよかったんで、がっつり劇伴を担当された映画、観てみたいです。アメリカ映画がお好きな理由はなんですか?
楽しみにしててください(笑)。いやー、そうですね……アメリカ映画って、夢、感じません? 古いアメリカ映画のビデオがたくさん、うちにあったんですよ。両親が観ていたものを引っ張り出して、片っ端から観たりして。『カサブランカ』(1942年)とか、モロッコの話だから中東の風景と重なってすごく好きでした。イギリス映画ですけど、『アラビアのロレンス』(1962年)も舞台になった、ヨルダンにあるペトラ遺跡が近かったので行けたんですよ。あとは『スター・ウォーズ』(1977年)ね。
ルークの故郷のタトゥイーンの風景なんか、自分が普段見ていた景色と一緒だったから。「あ、まんまだ!」って興奮があって。でも、別に何があるわけじゃないんですけどね(笑)。さっき話したように作品に自分を投影できたんです。
ーほかに記憶に残っているアメリカ映画ってあります? まだお話伺うんですけど、まずはざっと。
『フレンチ・コネクション』(1971年)とかも記憶に残ってますね。定番ですけど『クレイマー、クレイマー』(1979年)のフレンチ・トーストのシーンを観て食べたくなって、何回も作りました(笑)。80年代になってくると、わりとリアルタイムで観てるんで。ダン・エンクロイドが出てる『大逆転』(1983年)とか、ダスティン・ホフマンとトム・クルーズが出てた『レインマン』(1988年)は大好きでした。あれはハンス・ジマーが音楽を担当していたんじゃなかったかな。あと、これは、アメリカ映画かっていうと微妙ですけど『アマデウス』(1984年)も、すごく好きです。『ブレイブ・ハート』(1995年)や『グラディエーター』(2000年)は自分が作る楽曲に影響を与えてますね。
「For Freedom」とかは『ブレイブ・ハート』のセリフにインスパイアされてるし。00年代だとコーエン兄弟監督の『ノーカントリー』(2007年)は大好きな作品です。
ー『イージー・ライダー』(1969年)とか『タクシー・ドライバー』(1976年)みたいなアメリカン・ニューシネマの作品群はいかがでしょうか?
観ますけど、昔のハード・ロックを聴くような感じでしか観れてない感じがしますね。どこか懐古主義的というか、やっぱり今の映画が好きだなって思っちゃいます。
ー自分の今の感覚と地続きじゃないから、あんまりピンとこないんですかね?
映画館で観れば違うのかもしれないんですけどね。たまにそういうリバイバル上映みたいなものもやってますけど、あんまり行けてなくて。そういうのもう少しみてみたいなーとは思ってるんですけど。
ーなるほど。ちょっと話が変わりますが、映画は自宅で観る派ですか? それとも映画館派ですか?
圧倒的に映画館ですね。この取材の後も、映画を観に行くつもりでいます。特にポップコーンに目がなくて、おいしいポップコーンを出す映画館はチェックしてあります(笑)。深夜とかに行くと、意外と「あ、川上だ!」とか、あんまり気づかれないんですよ。
あと、映画好きな人って一人なことが多いから気づかれたとしても「あぁ、どうも。これから観るんですか?」ぐらいですんなり終わることが多い(笑)。行きすぎて、めちゃくちゃポイント溜まってますね。余裕で何本も映画無料で観られるぐらい。
ー川上さんの「おいしいポップコーンを出す映画館リスト」、かなり気になりますね。
ポップコーン、本当に好きで……お酒も飲まないし、焼肉も食べないのに、悪玉コレステロールの値がめっちゃ高いのは絶対にポップコーンのせいなんです。バター多めに入れちゃうんですよね。2~3プッシュぐらい。しかも、必ず1作品ごとに必ず一袋食べるから、合計3袋。かなりヤバい。
ーお家でも、ポップコーン用意するんですか?
ポップコーン製造機を買いました。あと、それでもやっぱり味が違うから。どうしても映画館のポップコーンを観てるときに食べたくて、お持ち帰りしたこともあります。
川上にとっての恋愛と映画
ーハードコアなポップコーン狂ですね……。以前インタビューで「失恋してから、映画を狂ったように観るようになった」とおっしゃっていて、映画に関する淡い思い出などを伺いたいんですが。一番最初の映画デートの思い出を教えてください。
失恋以前から、けっこう観てはいたんですけどね。それが引き金になったのは間違いない(笑)。最初に好きな子と行ったのは……ジャン・レノとロバート・デ・ニーロが出てた『RONIN』(1998年)ですね。めちゃくちゃつまんなかった。寝ました。
ーデートなのに……。いい感じになった思い出とかは特にないですか?
あんまり成功した思い出ないなー(笑)。あの映画面白かった、とかのほうが記憶に残ってますね。面白いなって思ったときは、大抵、一緒に行った子のことが、本気じゃなかったケースが多い(笑)。
ー川上さんのベスト恋愛映画、聞きたいです。
「ベタだね」って言われそうだけど、『きみに読む物語』(2004)ですかね。ライアン・ゴズリングを大好きになったのも、あの映画がきっかけでした。大好きだった人がいたのに、戦争に行ったら違う人と結ばれていて……すごく切ない物語なのに、ゴズリングが感情を出しすぎずに演技してるところが、また最高なんですよ。
ーそれは一人で観に行ったんですか?
大学生の頃、好きだった女の子とデートしたときに観ました。でも、その子がクルマの中でタバコとか吸い始めて「え、禁煙なんですけど……」って俺がちょっと注意したら「は?」みたいな不穏な空気になって「あ、俺、タバコ吸う人無理」って思いました(笑)。
ーおっしゃる通り、全然うまくいってないですね(笑)。
映画は最高だったんですけどね。あと、ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットが出てる時間が巻き戻る映画……『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年)も、いい恋愛映画だと思う。『きみに読む物語』もそうだけど、いろいろあって幼馴染とくっつく話が好きなんですよ。主人公が「今までどんな男・女と付き合ってきたんだろう」とかモヤモヤしながらも、愛があるから最終的に結ばれるみたいなのってストーリーとして最高じゃないですか。
ーちょっと話戻るんですけど、高校生の頃、最愛の彼女と別れたときに一心不乱に観ていた映画で記憶に残っているものはありますか?
ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』(1999年)を観たのを覚えてます。主題歌がエイミー・マンの「セイブ・ミー」で、これも最高なんだけど、とにかく話の筋がいろんなところに飛ぶ映画で、高校生にとっては意味不明なところが良かった。「わかんないけど、なんかいい!」的な良さですよね。PTPは『ブギーナイツ』(1997年)も好きだったなぁ。とにかく映画を観まくって、その子のことを忘れたかったんだと思うんですよね。
ーポール・トーマス・アンダーソンや、クエンティン・タランティーノ、ケヴィン・スミス、リチャード・リンクレーターみたいな90年代後半~00年代にかけて活躍したいわゆる「VCR世代」と言われるような監督の作品は、やはりお好きですか?
好きですね。ちょうど、僕が高校生とか大学生の頃ってTSUTAYA全盛期だったんで、そういう監督の作品をすごくプロモーションしてたんですよ。だから、めちゃくちゃ借り倒してましたね。
ー上に挙げたような監督の作品の良さって川上さんにとってなんだったんでしょうか?
ストレートでエンターテインメントな作品を子ども時代から楽しんで観てきたんですけど、高校生とか大学生の頃は、簡単に言語化することができない何かを表現してくれるものに憧れてた時期だったんです。この鼻の奥がツンとなるような感覚をどう昇華したらいいんだろうって……だから、僕は曲を作ることで解消してたりしたんですけど。そういうものを映像として見せてくれる感じがあったんです。作品に込められた意味や意図をわかりやすく提示するのではなく、なんとなく伝えるような、そういう良さですよね。
ータランティーノ作品だと一番お好きなものはどれですか?
俺は圧倒的に『イングロリアス・バスターズ』(2009年)ですね。大爆笑しながら観ました。歴史物なのに、ヒトラーもゲッペルスも最後に死んじゃうんだもん(笑)。完全にふざけてますよね。『パルプ・フィクション』(1994年)も好きですけどね。いろんなカルチャーが入ってる映画が好きなので。
最高の映画の条件とは?
ー映画監督で絶対に観るって人はいます?
アメリカ人じゃなくて、イギリス人なんですけど(笑)。クリストファー・ノーランですね。とにかくハズレがない監督なんです。『ダークナイト』(2008年)ももちろん良かったけど、それ以前の作品も最高で。どれを観ても面白い。あんまり監督で選ぶってことは意外としないかもしれないです。でも、イーライ・ロスだけ苦手かも。『ノック・ノック』(2015年)を観たんですけど、気分が悪くなるほど完膚なきまでにバッド・エンドで。もうちょっと寸止めの美学ってのもあるんじゃないって思いました(笑)。
ー映画を選ぶときの基準って何かあります?
一人でじっくり観るものを選ぶ傾向にあるかもしれないです。サスペンスとか、そういうもののプライオリティが高いですね。でもねぇ……そもそも僕、映画選びにめちゃくちゃ時間かけちゃうんですよ。ビデオ屋の店員さんにあまりにも悩みすぎて、声かけられたことあって。「大丈夫ですか?」って。平気で2時間とかウロウロしちゃうんですよね。その時間で一本観れちゃいますよね。悩みすぎて、一回、喫茶店に行って落ち着いてから、また戻って悩む。自分のことですけど、とっとと借りちゃえばいいのに。借りて、観た映画がダメだったときにすべてが無駄になるから、それがとにかくイヤなんです(笑)。
ー結果、悪循環ですね……(笑)。
音楽や映画って時間が決まっていて、ちゃんと観たり聴いたりしようと思うとスキップすることができないから、必然的に人生の中で触れられる作品の数ってあらかじめ決まってると思うんですよね。だから、失敗してもいいやって思えないんですよ。
ーもう、将来はマイシアターというか作っちゃったほうがいいんじゃないですか?
いや、映画館に行くのが好きなんですよ。だから、将来の夢は「貸切」かなぁ。アカデミー賞にも行ってみたい。誰か連れてってくれたらうれしいな(笑)。
ーここから「ベスト系」の質問に移りたいんですが、まずは好きな俳優ベスト3から伺いたいです。
わー、そうだな。最近だと、ライアン・ゴズリング、ジェイク・ジレンホール、ジョセフ・ゴードン・レヴィットですね。日本でいう、小栗旬、山田孝之、綾野剛みたいな感じ。彼らは作品の選び方がいいんですよ。昔で言うところのブラッド・ピット、イーサン・ホーク、トム・クルーズみたいな。インディーズとメジャーの境目を行き来しているような感じがあって。でも、ちゃんとハリウッドの業界内でも評価されている。あとは、ブルース・ウィリスやダスティン・ホフマンは無条件で大好きですね。
ーもう、ベスト3とか関係なくなってきましたね(笑)。好きな女優も教えてください。
絶対忘れちゃいけないのはメリル・ストリープですね。メリルと、プライマル・スクリームのボビー・ギレスピーと、僕は誕生日が一緒なんです。毎年、誕生日の日には「おめでとう、メリル」「おめでとう、ボビー」「おめでとう、俺」って暗い部屋の中で一人で勝手に祝ってます。メリルは『クレイマー、クレイマー』が大好きです。キム・ベイシンガーもやっぱり好きですね。『8 Mile』(2002年)も素晴らしかったけど、やっぱり思い出に残ってるのは『バットマン』。あと、オーストラリア人だけど、ケイト・ブランシェットは一番好きかも! 『キャロル』(2016年)の演技が最高でしたね。ニコール・キッドマンもいいな。
ーご自身のブログでやってらっしゃる「カワカミー賞」ではベストというよりも個人的なタイプの女優も紹介していますよね?
そうですね。好みでいうと、イモージェン・プーツが断トツで一位です。あとはジュリアン・ムーア。ヒュー・グラントと一緒に出てたコメディ映画の『9か月』(1994年)で好きになって、『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(2014年)も良かったですね。でも、ベストは『ハンニバル』(2001年)!
ーこれからが楽しみな俳優っています?
既にめちゃくちゃ人気だから僕が期待しなくても、どんどん成功すると思うんですけど、ケイシー・アフレックがアカデミー賞の主演男優賞を獲った映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』に出ていたルーカス・ヘッジズですね。彼は『スリー・ビルボード』(2017年)にも出てましたね。あと、日本だと『ソロモンの偽証』(2015年)に出ていた石井杏奈さんとか……彼女はハリウッドに挑戦した方がいいと思う。
ーいい俳優さんの条件って何ですかね?
昨日、『カメラを止めるな!』(2018年)を観たからいうんですけど、「出すんじゃないんだよ、出るんだよ」ってことですよね。出そうと思って出してるんじゃなくて、出ちゃってる人がいると、映画は輝きますよね。問答無用で没入できちゃう。そういう演技ができる人はすごいなぁって思います。
ーベスト映画についても伺っておきたいです。
うーん、『アマデウス』ですかねぇ。あれは日の目を見なかった人の映画として僕は観てて。地獄から這い上がっていこうって勇気付けられるような気がします。なので、すごく心に残ってますね。でも、4時間以上あるし何度も見返したくなるかというとそういうわけではないですね(笑)。何回観ても面白い映画は、これもイギリス映画なので、テーマとズレるかもですけど『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)かな。
ー今年、今のところ面白かった作品も教えてください。
『68キル』(2017年)が良かったですね。あとは、意外と『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2018年)が面白かった。あと、『クワイエット・プレイス』(2018年)はニューヨークで観たんですけど、俺は声を大にしてみんなに観てもらいたいと言いたい。
ー川上さんにとって、いい映画の条件って何だと思いますか?
個人的にはパーソナルなテーマのものがすごく好きですね。あとは、ワールドワイドな雰囲気の「金かけてるなぁ~」って夢を見させてくれるものも好き。やっぱり映画館で観るのが僕は好きだから、たくさんの人を喜ばせてほしいなって思うんですよね。ブロックバスター・ムービーが好き!っていうことじゃないんですけど、インディーズ作品だけどきちんと観客に楽しんでもらおうって思ってる映画が好きなんです。『カメラを止めるな!』は、まさにそういう映画ですよね。あと、ご飯が美味しそうに撮れてる映画は大体いい映画だと思いますよ(笑)。
ーすごくわかりますね。記憶に残りますもんね。
『ジュラシック・パーク』(1993年)のステーキ食べてるシーンとか、ゼリー食べてるところとか。あと『パルプ・フィクション』のミルク・シェイクとハンバーガーね。ポップコーンもすすむんですよ!
ー本当に川上さん、映画がお好きですね(笑)。
いやぁ、やっぱりね、若い子たちにももっと映画観てもらいたいなって思いますよね。ネットを介して観ることもできますけど、やっぱり映画館に行くっていう体験を通して得られるものってありますから。日本の映画館はけっこうかしこまってますけど、海外とか行くと観客がおしゃべりしてたりして、自由(笑)。正直、迷惑ですけど、それぐらいゆるく楽しくなってもいいのかなぁって思いますね。あー、時間が足りない。もっと映画について喋りたいな(笑)。
YOOHEI KAWAKAMI(川上洋平)
[ALEXANDROS] のヴォーカル、ギター。神奈川県出身。2001年に大学でバンドを結成。[ALEXANDROS] のほとんどの曲で作詞・作曲を手がける。9歳~14歳までは中東の国で過ごし、インターナショナルスクールに通っていた。ブログで独自の映画賞”カワカミー賞”を選出するほどの映画好きで、年間200本鑑賞を目標としている。
<INFORMATION>
![[ALEXANDROS]川上洋平、アメリカ映画を語る](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FRollingStone%252FRollingStone_30790_29dc_3.jpg,quality=70,type=jpg)
「Pray」
[ALEXANDROS]
※映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』日本版主題歌
ユニバーサルJ
5月13日デジタルリリース
Sleepless in Japan Tour
5月18日 愛知県 ポートメッセなごや 3号館
6月15日 埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
6月16日 埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
・Asia Tour
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6月21日 上海 MODERN SKY LAB
Sleepless in Beijing
6月23日 北京 Beijing Omni Space
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6月28日 ジャカルタ To be Announced
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7月5日 香港 Music Zone @ E-Max
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Rolling Stone Japan vol.04掲載
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