25日、GEDmatchは利用規約を改正し、ユーザーが許可した場合を除き、120万人分の全DNA情報を警察のDNA照合の対象から除外することにした。
今回の改正は、ニュースサイトBuzzFeed Newsに掲載された記事を受けての措置。記事によると、GEDmatchの以前の利用規約では警察は強姦または殺人事件の場合のみ同サイトのデータベースにアクセスできると定めているが、一度だけ例外としてユタ警察が暴力事件で採取した証拠のDNAを同サイトのDNA情報と照合したという。
批判的な人々はプライバシーの侵害だと懸念の声を上げ、血縁判定DNAを犯罪捜査に使用することの是非を問うた。「これは我々の足元を揺るがす危機です」と、ある系譜学者はBuzzFeedに対して語った。「事前にはっきり同意したのでない限り、このような目的でデータを利用することがあってはなりません」 。2010年から運営されているGEDmatchはこうした懸念を考慮し、警察当局が照合できる犯罪の種類を故殺、強盗、加重暴力まで拡大した。改正された利用規約では、捜査官がアクセスできるユーザー情報の範囲も大幅に制限しているようだ。
ゴールデン・ステート・キラー事件で有名になったポール・ホールズ刑事は、DNA情報へのアクセスをめぐる問題は裁判へ持ち込まれるだろうと予測した。「そのうちGEDmatchの使用にも令状が必要になるでしょうね」と刑事。「数年後、連邦最高裁にかけられたとしても驚きませんよ」
GEDmatchの規約改正は、政府による個人の遺伝子情報アクセスに関し、どこで線引きするべきかという白熱する議論を一歩進めた形となった。
逮捕が大々的に報道されるや、この数は一気に5000人に膨れ上がった。以来、10件以上の暴力犯罪で同サイトが容疑者特定に利用されている。その一方で、蓄積された膨大なDNA情報により、遠縁をたどっていけばアメリカ国内のほぼ全員を特定することが可能となった。
ケンブリッジ・アナリティカ社の騒動(Facebook利用者8700万人分のデータを不正に収集したと告発されている)後のアメリカで、こうした問題が軽くあしらわれていいはずがない。プライバシーやデータ利用の問題以外にも、倫理的な問題が残る。つまり、会ったこともない遠縁の人間を密告することの是非、はたまた暴力犯罪以外の場合もDNA照合を認めることの是非が問われている。監視体制が必要なのは当然だが、今のところは、GEDmatchが自ら線引きを行った形だ。
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