『ターミネーター:ニュー・フェイト』の予告編が先週公開され、ファンは1991年の『ターミネーター2』以来、久々にサラ・コナー演じるリンダ・ハミルトンの姿を拝むことができた。

これまでに3本の続編が作られたが、今回はジェームズ・キャメロン監督が再びプロデューサーを務め、『デッド・プール』のティム・ミラーがメガホンをとる。
ハミルトンの復活も考慮に入れれば、ようやく最初の2本に匹敵する作品が出てくる可能性はあると考えていいだろう。

過去3作品が不作だった最たる理由は、『ターミネーター2』が映画史上に残る素晴らしい続編のひとつだからだ。ジェームズ・キャメロンは1984年の第1作で描いた世界観を引き継ぎ、あっと驚くようなやり方でそれを広げた。第1作では悪役だったアーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-800がヒーローに転じたことで期待はさらに膨らんだ。リンダ・ハミルトンは役作りのために身体を鍛え、恐れ知らずのアクションヒーローとなった。製作陣も当時のCGIの限界を破り、液状の金属からロバート・パトリック演じる情け無用の殺人マシン、意のままに外見を変えることのできるT-1000を作り出した。

最初の編集では本編が2時間を超えていたため、ジェームズ・キャメロンはいくつかのシーンのカットを余儀なくされた。そのうちの1つが映画の中盤、T-1000との銃撃戦の後コナー親子とT-800がガソリンスタンドで一夜を明かすシーンだ。T-800はサラ・コナーにペンチで銃弾を取り除いてもらいながら、今回の任務では「神経回路」が「読み込み限定」にセットされているゆえに、2人を救出する際に新たな情報を学習することができないと明かす。そしてメインチップを取り出して、システムを再起動して新しい情報を学習できるようにしてほしいと2人に頼む。

チップを取り出すや、サラはハンマーで破壊しようとするが、すんでのところでジョンに止められる。彼女がマシンを葬りたいと思うのも当然だ。
7年前、同じ型のマシンが送り込まれ、殺されかけたのだから。このマシンが自分に手を貸しているのも、再プログラムされたからにすぎない。ほんの少々プログラムに手を加えて、2人が寝ている間に頭を切り落とすことなど造作もないだろう。しぶしぶながら、サラはT-800を生かしておく。T-1000を倒すために、そして必要とあらばターミネーターが実在し、自分が正常だと世間に証明するために。

最初の編集に含まれていたこのシーンを、シュワルツェネッガーはこのまま残すよう力説した。「ミラー効果とかいろいろ駆使して、実に趣向を凝らして撮影されたシーンなんだ」と彼は2015年に語った。「(ジェームズ・キャメロンが)『あのシーンを削って、尺を短かくしようと思う』と言うので、私はこう言った。『絶対だめだ! あのシーンはすごく気に入っているんだ! カットするなんてだめだ』とね」

結局キャメロン監督は意思を貫いたが、カットされたシーンは未公開映像としてDVDに収録された。本編ではこの後、車のエンジンをショートさせようとするT-800に向かって、バックミラーから鍵を見つけたジョンがジャラジャラさせて「学習が足りないよ」と言う短いシーンが出てくるが、その理由がこれでお分かりだろう。

『ターミネーター:ニュー・フェイト』にエドワード・ファーロングがジョン・コナー役で復活することはないが、噂によると、1991年を設定した場面がいくつかあるらしい。そこではCGIを駆使して、ファーロング演じる10代のジョン・コナーをはじめとする当時の登場人物が疑似復活するもよう。
真意のほどは、実際に11月1日に劇場公開するまでのお楽しみ。少なくとも、これだけはひとつだけ言えるのは、現在62歳のリンダ・ハミルトンがロケット弾でターミネーターをぶっ飛ばす姿が見られるということだ。これだけでも、映画のチケットを買うには十分だ。たとえロッテントマト(映画評論サイト)の評価が限りなくゼロに近かったとしても。
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