アメリカ現地時間18日、ニューヨーク州南地区連邦地方裁判所で行われた保釈聴聞会でリチャード・バーマン判事は、性犯罪の前科があるヘッジファンド経営者の大富豪、ジェフリー・エプスタイン氏の保釈を却下したとNBCニュースが報じた。エプスタイン氏は性的人身売買および共謀罪に問われていた。


裁判が始まるまで、エプスタイン氏は引き続き勾留される。バーマン判事は、エプスタイン氏に逃亡の恐れがあるとする検察側の主張に賛同したもようだ。検察側は、マンハッタンにある数百万ドル相当のエプスタイン宅を家宅捜索したところ、現金7万ドルとルースダイヤモンド48個、さらにエプスタイン氏の顔写真入りのサウジアラビア国籍の偽造パスポートが発見されたと指摘。判事も、「いくら保釈金を積んでも、他人に与える危害には及ばないでしょう」と述べた。

7月6日、66歳のエプスタイン氏はニュージャージー州のテターボロ空港で、パリから帰国したところを逮捕された。検察側の主張によると、エプスタイン氏が2002年から2005年まで、マンハッタンの豪勢なタウンハウスとパームビーチの豪邸で14歳を含む数十名の少女をレイプしたもよう。金銭と引き換えにセミヌード姿でマッサージさせ、その他数々の猥褻行為に及んだうえ、他にも女の子を勧誘して自宅に連れて来るよう、少女たちに金を払っていた疑いがもたれている。

連邦当局がマンハッタンの自宅を家宅捜査したところ、「千枚とまではいかないものの、何百枚という」若い女性や少女の写真を収めたCD-ROMが金庫から押収された。ただし、写真の女性が未成年かどうか、エプスタイン氏が児童ポルノ所持罪で追起訴されるのかどうかは不明。ローリングストーン誌はエプスタイン氏の弁護団に度々コメント取材を申請したが、いまだ返答はない。

エプスタイン氏が刑事起訴に問われるのは今回が初めてではない。2008年、同氏は14歳の少女らに対する売春教唆で有罪を認め、18カ月の禁固刑を言い渡された。
最終的に服役したのはたった13カ月で、しかも期間中はほとんどパームビーチのオフィスで監視のもと仕事をすることが認められていた。当時司法取引を担当した元州検事で、トランプ政権で労働長官を務めていたアレクサンダー・アコスタ氏は、数カ月前から世間の厳しい批判をうけ、先週長官職を辞任した。

エプスタイン氏の弁護団による主張

エプスタイン氏の弁護団は公判前手続で、同氏がコミュニティに脅威とはならないと主張。小児性愛者のヘッジファンド経営者は、フロリダの起訴で有罪を認めて以来「とくに問題も起こさず」「誠実に慎ましい道を歩んできた」ことを理由に挙げた。また弁護団は、司法取引の条件の一部だった性犯罪者リストへの登録という「厄介な義務」を、同氏が順守した点にも触れた。

これに対し連邦検事は、エプスタイン氏が膨大な富を所有し、プライベートジェットを利用することができるうえ、海外とも強いコネクションがあると述べ、裁判前に国外逃亡するだけの十分な資産と資金があると主張した。検察はまた、エプスタイン氏がかつて原告を脅迫したことがあるとも主張。19日の公判前手続では、2018年に同氏の性的虐待疑惑に関する特集記事がマイアミヘラルド紙に掲載された際、同氏が共犯者とみられる2人に35万ドルを支払っていた事実が述べられた。

さらに検察は、当時の警察調書と原告側弁護士との面談に基づき、エプスタイン氏がかつて私立調査員を雇って原告と目撃者を脅していたと述べた。一例として、私立探偵と思われる男性が原告の両親の車に幅寄せして、あわや事故になりかけた件を挙げた。エプスタイン氏の弁護士、レイド・ワインガルテン氏はこれを否定した。

エプスタイン氏は性的目的での人身売買および共謀罪について無実を主張。
現在はロウワーマンハッタンのメトロポリタン矯正センターに勾留されている。有罪判決となった場合、45年の禁固刑が求刑される。
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