ツアーのない今の時期は求職活動に力を入れています。その活動が実ったのかコラムを連載させて頂くことになりました。初めてのコラムということで緊張の面持ちで画面と向かい合っています。いやあ、南菜生がRolling Stone Japanでコラムの連載を持たせてもらう日が来るなんて誰が予想できたでしょうか。ありがとうございます。一人一人菓子折りを持ってお礼を言って回りたいくらいです(回りたいだけなので回りはしませんが)。
暇な時についつい検索して見てしまうような、見た後になんで検索したんだろうと思いながらもまた手が空いた時にここに戻ってきてしまうようなそういう場所になればいいなと思っています。戦隊モノでいうと緑みたいな立ち位置でいいです。どうか(どうぞはなんとなく偉そうな気がする)よろしくお願いします。
突然ですが、あなたにとっての「天才」は誰ですか?
例えば中学の頃塾が同じだったあの子、例えばあのバンドのドラマー。今まで生きてきた中でも何度も天才と呼ばれる人と出会ってきたし、テレビ、雑誌、ネット、どこもかしこも天才だらけ。誰が本物の天才なのよ、と喧嘩を売りたくなる訳です(もちろん売りませんが)。
誰もが皆一度は、もしかして自分は特別なんじゃないか?と思ったことがあるはず。え? ない? そうですか。私は自尊心が強めな女なのであります。じゃないとステージなんか立ってないですよ。は? 昔は何か人と違う特別なキラキラしたものを持ってるんじゃないか、とすら思ってました。自分で書いておいて何だか鼻につきますね。すみません。でも続ければ続ける程分かるんですよ、自分の器のサイズ感が。なんて普通で面白みのない人間なんだ!と自分にがっかりしたりもしました。
人の才能を羨ましく思ったり妬ましく感じたり、恋焦がれたり。その度に自分の普遍さに嫌気がさしながらそう思える自分に安心したりする日々の中で思えたことは平凡さこそが武器なのではないか、ということ。元々持っていると経験し得ない感情を体感して吸収することが出来る。用意された運命や今まで全部、が武器になる。自分ではまだ気づかない、人よりも少し多めに持ち合わせたものを才能と呼ぶのならこの感性こそが私の才能なんだと思う。
塾が一緒だったあの子は勉強をしてるから点数を取れるだけだと天才と呼ばれることを酷く嫌った。あのバンドのドラマーが今でも驚く程練習していることを自分たちの後ろで叩いてもらうようになってから知った。
才能に驕らず努力し続けることが天才になる唯一の方法なのかもしれない
未だにステージに立つと自分はステージに立つために生まれてきたと、本気で思ってしまう瞬間がある。あのどこまでも飛んで行けそうな感覚を味わってしまうともう後戻りできない。
音楽は魔法かなんてわからないけれど小さな希望という歌詞を書いたけれど音楽はお酒。ずっと酔っ払っていたい。
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南菜生
2016年メジャーデビューPassCodeのメンバー。
https://passcode-official.com/