米カリフォルニア州アナハイムで開催されたファンイベント「D23 EXPO」でスパイダーマン役の俳優トム・ホランドと共演者たちがソニーとマーベルの関係解消にともなう離脱について語った。

ソニーとマーベルのパートナーシップ解消を受け、MCUからの離脱が濃厚となった人気キャラクター、スパイダーマンについてエリザベス・オルセン、ポール・ベタニー、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキーもコメントした。


スパイダーマン役の俳優トム・ホランド、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の一部スター俳優たちが米カリフォルニア州アナハイムで開催されたディズニーのファンイベント、D23 EXPOでソニーとマーベルの関係解消にともなうスパイダーマンの離脱について語った。

MCUの過去5作品でスパイダーマンことピーター・パーカーを演じたトム・ホランドは、米カリフォルニア州アナハイムで開催されたディズニーのファンイベント、D23 EXPOでピクサー最新作『2分の1の魔法』(日本公開は2020年3月13日予定)のプロモーション活動中、スパイダーマンの権利を所有するソニーとMCUの状況について明言することは控えたものの、集まったオーディエンスに「クレイジーな1週間だったけど、みんなには心の底から感謝しています。3000回愛してる」と発言した。

米エンターテイメント・ウィークリー誌のインタビューでホランドはこの状況について詳しく述べている。「実際、僕たちは最高の5作品をつくった。すばらしい5年間だった。僕の人生において最高の時期だった、と言っていいくらいだ。先のことなんて誰にもわからない。でも、僕はスパイダーマンを演じ続けながら、人生最良の日々を送り続けるつもりだよ。やり方はどうであれ、絶対楽しいに決まってる。スパイダーマンの未来はいまとは違うものになるかもしれないけれど、同じくらい最高で楽しいものになる。それに、もっとカッコよくする新しい方法も見つけられるはずさ」。


『アメイジング・スパイダーマン』とその続編が残念な結果に終わると、ソニーは利益分配取引の一環として、スパイダーマンをライバルのマーベル・スタジオに貸し出した。ホランド演じるスパイダーマンは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』というMCUの3作品だけでなく、『スパイダーマン:ホームカミング』と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』というディズニーが所有するマーベル・スタジオと、ソニーが所有するコロンビア・ピクチャーズ・エンターテイメントが共同で手がけた作品にも登場している。

難航した契約交渉の結果、8月半ばにソニーとマーベルのパートナーシップ解消が明らかになった。それにより、今後MCUがスパイダーマン映画を製作できる見通しも立っていない。スパイダーマン離脱の原因のひとつとして、ソニーは「フェーズ4」作品や新しい動画配信サービス「Disney+」などのプロジェクトによってファイギ社長に課せられる業務量の増加を挙げた。

ファイギ社長はD23 EXPOのマーベルのパネルディスカッション中に今回の状況について言及しなかったものの、エンターテイメント・ウィークリー誌にはこのようにコメントしている。「スパイダーマンに関して私が感じているのは感謝と喜びの気持ちだ。MCUはスパイダーマンが主役の映画2本と、アベンジャーズの3本で合計5本の映画を製作した。こんなことは夢にも思っていなかった。でも、こうした関係はいつまでも続かない。私たちに与えられた時間が限られていることはわかっていたし、思い描いていたストーリーを語ることもできた。それについて私は感謝の気持ちを忘れないだろう」。


D23 EXPOにて、米ローリングストーン誌のシニア・ライターを務めるジャミル・スミスは、『アベンジャーズ』でホランドと共演した俳優たちにスパイダーマンのMCU離脱について意見を求めた。

「ものすごくがっかりしてる」とスカーレット・ウィッチ役のエリザベス・オルセンは言った。「軽やかさ、エネルギー、ユーモアを備えたスパイダーマンは、とても大切なプラスの要素。アベンジャーズシリーズにあまりに多くのものを与えてくれたから、本当に残念だわ」。

スミスのインタビューに対し、MCUシリーズでヴィジョンを演じたポール・ベタニーは、D23 EXPOやコミコンなどのイベントにホランドがいなくなることの寂しさを語った。「(ホランドは)いつもハッピーで、光のような存在なんだ。セットやこうしたイベントに彼がいないなんて、本当に寂しくなる。彼は才能あふれる俳優だ」。

『The Falcon and the Winter Soldier(原題)』に主演するセバスチャン・スタンとアンソニー・マッキーも仲間のアベンジャーズのスターについて口を揃えた。「まだ希望を捨てたわけじゃない」とソニーとマーベルの復縁の可能性についてスタンは言った。「『最終的にはうまくいきますように』ってみんなが思ってる。だって、スパイダーマンがいないなんて不自然すぎるから。
ケヴィン・ファイギ社長を信じるしかない」。

「それに、茶化す相手がいなくなってしまう。スパイダーマンがいないのは、ヒールのないブーツを履くようなもんさ」とマッキーがつけ加えた。

テレビドラマ『エージェント・カーター』に出演したヘイリー・アトウェルは、MCUファンとスクリーンのスーパーヒーローたちとの感情的な結びつきに言及した。「ただのハッピーエンドで終わるとは限らないの。他人が自分の思い通りにならなかったり、そばにいてくれるとは限らなかったり、必ずほろ苦い現実を示す必要がある。」とアトウェルはスミスに語った。「人生における大切な教訓よ。いつかはすべての人が直面することなんだから」。
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