ーLeonさんのリリックに秘められた怒りってどこに向けられたものなんですか? 自分自身というよりは社会や世の中に対してのものが多い気がしたんですけど。
小学生の頃からみんなと同じがすごく嫌いで、ルールに従って生きる意味って何だろうって、すごく考えてたんですよね。でも普通の小学生はそんなこと考えないじゃないですか。学校の規則に従って生きることが当たり前というか。俺はその頃からヒップホップも聴いていたので、そういうことに違和感を感じたのかもしれません。普通に生きてるだけじゃつまらないみたいな。だから格好も1人だけモヒカンにしてみたりとか。
ー音楽はどういうきっかけで?
もともと親が音楽をやっていて、子供の頃から音楽部屋みたいなのを与えられてたんです。部屋の中にギターやベースやドラムがあって、そこで楽器に触れてました。小学生の時はレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやリンキン・パークが好きで、タブ譜を見てギターを弾いたりしてたんですけど、あんまりピンとこなくて。
ーヒップホップとの出会いは?
最初はカニエ・ウェスト、ジェイ・Zだったんですけど、どんなラップが自分は好きなんだろうって研究した結果、スクールボーイ・Qであり、エイサップ・ファーグのようなガツガツしたスタイルが好きなんだということに気づいて、その後にXXXテンタシオンが出てきて決定的になりましたね。めちゃめちゃ(テンタシオンの曲を)聴きまくって、どういう風にリズム取ってるのかを自分なりに研究したんです。で、韻を踏めば踏むほどリズムが軽快になることに気づいたり。
ー繰り返し聴いてマネして?
はい。あとはいろんな音楽を聴くことが一番刺激になります。周りにいるSANTAWORLDVIEWやYamieZimmerとか、仲間内でも刺激をたくさんもらえるので、お互い高め合ってる感じですね。やっぱり歳が近い人は意識していて、海外のアーティストでも同い年くらいの人が多いですし、そういうのを見て俺も頑張らないとって思ったりします。
「日本語でめちゃくちゃカッコいいラップをしてやる!」って思った
ーSANTAWORLDVIEWやYamieZimmerらと作り上げた1stアルバム『CHIMAIRA』には、Leonさんを見出したANARCHYの他、Bank.Somsaart、VA$¢0、ハイヤー・ブラザーズのPsy PとMelo、XXXテンタシオンが所属したクルーMembers OnlyのBass Santana、Cookin Soulなどが参加してますよね。父親が日本人で、母親が韓国とギリシャのハーフというクォーターのLeonさんならではというか、どこか無国籍な風情が漂うサウンドだなぁとも思いました。
クラブで外国人から話しかけられることが多いんですよ。
ーアルバム発売後、日本全国のクラブのステージに立つ機会も増えましたね。
地方に行ってもみんなバウンスしてくれるし、アルバムを出してからいろいろ変わりました。感情を表現するだけじゃなく、ヒップホップは価値観や考え方を更新していく音楽。そこがすごく面白いし、何年経っても飽きないと思います。だからいくつになっても新しいアプローチを知りたいし、音楽を聴き続けて研究していきたいです。大人になって歳を重ねると昔にとらわれてしまう人って多いじゃないですか。でもそうじゃない人はすごくフレッシュだなと思っていて、自分はそういう大人になりたいですね。
レオン・ファノラキス
2015年の「第8回高校生ラップ選手権」、2018年の「ラップスタア誕生!」シーズン2でLeon a.k.a 獅子名義で優勝。その後、ANARCHY主宰の1%と契約を果たし、Leon Fanourakisとして2019年に1stアルバム『CHIMAIRA』をリリースした。

『CHIMAIRA』
Leon Fanourakis
1%
発売中