2019年、ハリウッドのくだらない作品が大量にシネコンにあふれたために、ワースト数を10に限定することは難しい。
1. 『ライオン・キング』

©2019 Disney
1994年のディスニーアニメの名作をジョン・ファヴロー監督が安易に模倣して実写のようにリアルに作ったこの映画は、我慢ならない昨今のトレンドの代表例である。ハートや魂もなければ、オリジナリティのかけらもない企業の商品だ。
2. 『The Kitchen(原題)』

Alissa Cohen Rosa/Warner Bros
メリッサ・マッカーシーとエリザベス・モス、ティファニー・ハディッシュの3人は、違法行為で金儲けをしていた夫たちが刑務所に入所したことで、その夫の仕事を引き継ぐのだが、真実の犯罪を描いた70年代のギャング映画をお粗末にした本作の中で、彼女たちの才能は葬り去られている。(日本未公開)
3. 『ジェミニマン』

Warner Bros.
オスカー受賞監督のアン・リーは、この出来損ないのSFクローン・スリラー映画で、デジタル技術を使いウィル・スミスを若返らせることに捉われてしまい、見ごたえのある映画を作るのを忘れてしまっている。
4. 『The Goldfinch(原題)』

Macall Polay/Warner Bros.
ドナ・タートの小説やスターの総出演(ニコール・キッドマン、ジェフリー・ライト、フィン・ウルフハード、アンセル・エルゴート)が、原作ものを映画化した作品ではこの数十年でほぼ間違いなく最悪となるこの映画の中で、見事に無駄になっている。(日本未公開)
5. 『Whered You Go, Bernadette? (原題)』

Wilson Webb/ANNAPURNA PICTURES
ある女性が突然消えてしまい、その家族があてのない探求へと向かうマリア・センプルの面白い原作を退屈に解釈したこの映画は、ケイト・ブランシェットとリチャード・リンクレーター監督の手にかかっても、活気を吹き込むことはできていない。
6. 『The Dead Dont Die(原題)』

Focus Features
インディー映画の巨匠ジム・ジャームッシュは今までに一度もしくじったことはない。だが、ビル・マーレイ、アダム・ドライバー、ティルダ・スウィントン、トム・ウェイツを始め、いつも協力してもらえる俳優陣が出演しているのにもかかわらず、このゾンビもののコメディは例外で、不首尾に終わっている。一体この作品で何が起きたのだろうか?(2020年春、日本公開予定:https://longride.jp/the-dead-dont-die/)
7. 『21 Bridges(原題)』

STXfilms
『ブラックパンサー』の主演チャドウィック・ボーズマンは、麻薬の密売人と汚職警官を捕まえるために、ニューヨークを封鎖してしまう。
8. 『Midway(原題)』

ローランド・エメリッヒは第二次世界大戦において極めて重要な海戦を描く中、深みのない登場人物(ウディ・ハレルソン、パトリック・ウィルソン、マンディ・ムーア、デニス・クエイドをはじめとする出演者全員に対して個人的に謝るべきだ)と安っぽい特殊効果で観客に迫る。これは大失敗作だ。(2020年秋、日本公開予定)
9. 『ミスター・ガラス』

Touchstone Pictures
M.ナイト・シャマランが『スプリット』と『アンブレイカブル』の登場人物をひとつの続編に押し込めるとどうなるのか? つじつまが合わなくなり、かなり乱雑になってしまっている。
10. 『ラスト・クリスマス』

Jonathan Prime/Universal Pictures
正義は忘却を求める。というのも、相性の良くない恋人たち(『ゲーム・オブ・スローンズ』のエミリア・クラークと『クレイジー・リッチ!』のヘンリー・ゴールディング)を主人公にしたこの映画では、ホリデーシーズンのロマンティック・コメディとゴースト・ストーリーが消化しきれずに混ざり合っているからだ。存在する理由は全くない。