レッド・ホット・チリ・ペッパーズのドラマー、チャド・スミスの最新作を集めた展覧会『The Art of Chad Smith』(1月4~12日)が米テキサス州オースティンのラッセル・コレクション・ファインアート・ギャラリーで現在開催中だ。でも、スミスはアート界の権威をあっと言わせることには無関心だ。「自分自身を表現する、楽しくて新しい方法なんだ」と彼は語る。「気に入ってもらえようと、嫌われようと、俺はどっちでも構わない。バスキアのファンが俺の作品を気に入らなくても、別に傷ついたりしないよ」
スミスのアートにおける挑戦は、カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点に活動するビジュアルアートチーム、SceneFourに2015年にアプローチされたことがきっかけとなって始まった。SceneFourはこれまでブラック・サバスのビル・ワード、グレイトフル・デッドのミッキー・ハート、スレイヤーのデイヴ・ロンバードをはじめとするミュージシャンの本質を視覚的に捉えようと折衷的な抽象芸術作品を手がけてきた。「SceneFourのアイデアはすごく面白いと思った」といままで自分がビジュアルアート制作に関わるなんて思ってもいなかったスミスは言う。「変化して、成長して、いままでとは違う別の何かにチャレンジするのは決まって楽しいもんだ」

チャド・スミス作「Violent Violet」
制作プロセスは、ロサンゼルスのSIR Studioで始まった。ライト付きのドラムスティックでスミスが演奏する姿をSceneFourのチームがカメラに収める。「そのあと、SceneFourのチームが画像をさまざまな方法で加工した」とスミスは語る。「いろんな色や質感や奥行きを表現した。
アート作品の制作プロセスは、レッチリ時代の仕事に対する取り組みに通じるものがあるとスミスは改めて思った。「どっちも同じことさ。自分と同じ目標を持った、しかるべき仲間を見つける、という点においてね」とスミスは言う。「あとは、新しいことに対してオープンであり続け、いいアイデアを出していく」
スミスのデビューコレクション『Parallax』が披露されたのは2016年。それに続く『The Art of Chad Smith』の展覧会は始まったばかりだ。『Parallax』ではあまり作品に干渉しなかったスミスだが、今回は絵具やチョーク、さらにはドライバーを使って自らの作品にいくらか手を加えている。「もっとスペシャルな作品になるよう、いくつかの要素をプラスしたかった」とスミスは言う。「手もとに工具一式があって、タイミング良くインスピレーションが沸いた」
スミスは米現地時間1月11日と12日にラッセル・コレクション・ファインアート・ギャラリーに在廊する予定だが、そこで何が起きるかは未定だ。「ドラムを叩いてほしいと言われたけど、パフォーマンスありきの展覧会にはしたくないんだ」とスミスは語る。
2月には、北米2カ所のアートギャラリーでも展覧会を開催する予定だ。「平日は本業があるから、週末に計画してるんだ」とスミスは言う。「どんな感じだろうな。もし俺が乗り気じゃなかったり、しっくりこないと思ったりしたら、ギャラリーには行かないかもしれない。でも、経験者のミッキー・ハートは最高に楽しかった、と言ってた」

チャド・スミス作「Jellyfish Series」
スミスが言う「本業」は、10年のブランクを経てギタリストのジョン・フルシアンテがバンドに戻ってきたことによってますます面白くなっている。2020年に予定しているフェス以降のスケジュールをレッチリファンが知りたがっていることはスミスも承知だ。だが、それに関して彼の口は堅い。
「このインタビューを受ける前に『バンドについて絶対話すな!』って厳しく言われたんだ」とスミスは言う。「でもご存知の通り、ジョン(・フルシアンテ)が帰ってきた。

チャド・スミス作「Explode」
要するにそれは、現在レッチリがニューアルバムの制作中であることの証拠以外の何ものでもないのでは? それに対してスミスは「イエス」とうなずいた。「それ以外は言えない」