評決文が読まれた後、裁判長を務めたジェームズ・M・バーク判事は量刑が言い渡される3月11日まで、ワインスタイン被告は拘置所に入れられると発表し、現在ニューヨーク市のライカーズ島に収容されている。一方、ワインスタイン被告の弁護団を率いるドナ・ロトゥンノ氏は記者会見で「必ず上訴する」と述べ、「戦いはまだ終わっていない」と付け加えた。今日の評決と、これから行われるロサンゼルスでのワインスタイン被告の裁判について知っておきたいことは以下の通りだ。
ワインスタイン被告の告訴内容
67歳のワインスタイン被告はニューヨーク市で5件の性犯罪について起訴されていた。2006年に『プロジェクト・ランウェイ』の元制作進行のミリアム・ヘイリーさん(以前は「ミミ・ヘイリー」という名で通っていた)に対し口淫を強制したとして第1級性犯罪、そして2013年に女優のジェシカ・マンさんをホテルに連れ込み、レイプしたとして第3級強姦罪で有罪判決を受けた。ニューヨーク州では、第3級強姦罪には17歳以上の相手から同意を得ずに、または意思表示をできない状態で強制的に性交に及ぶことが含まれる。第1級性犯罪で有罪になると5年から25年の禁固刑、第3級強姦罪では執行猶予、または最長4年の禁固刑が言い渡される。
しかしワインスタイン被告は起訴された5件のうち、3件について無罪放免となった。まず、ヘイリーさん、マンさん、そして『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』のアナベラ・シオラさんが告発した2件の性的暴行について無罪となった。ニューヨーク州では、性的暴行罪は第一級強姦罪や第1級性的暴行のような性犯罪に加え、犯行の最中もしくは犯行後に深刻な怪我を負わせる他、凶器の使用または使うと脅すことを指す。
ワインスタイン被告はマンさんに性的暴行を加え、レイプしようとした第1級強姦罪についても無罪を言い渡された。ニューヨーク州では、意思表示をできない状態、11歳以下、または被告が18歳以上の場合13歳以下の相手と強制的に性交に及んだ場合、第1級強姦罪で有罪になる。
ヘイリーさん、マンさん、シオラさんに加え、ドーン・ダニングさん、タレル・ウルフさん、ローレン・ヤングさんの3名も証言台に立った。検察の話によると、彼女たちの証言はワインスタイン被告のこれまでの犯行歴を示すために許可された。
2017年以降、少なくとも100人の女性たちがワインスタイン被告を、レイプを含む性犯罪で告発してきたが、ほとんどがニューヨーク州とカリフォルニア州の両方で時効が成立してしまい、裁判には至らなかった。ワインスタイン被告は繰り返し告発内容を否認してきており、裁判中もロトゥンノ氏は、告発した女性たちはエンタメ業界での自分たちの地位を上げるために同意の上で被告と性交に及んだと反論した。
評決に対する人々の反応
#MeToo運動の一環として、セクハラで告発された人物でも特に有名なワインスタイン被告の評決に、人々はすぐに反応した。#MeToo運動の先駆者タラナ・バーク氏はTwitterで「証言した被害者」と「反省の色が全く見えないハーヴェイ・ワインスタイン被告に有罪判決を下した」陪審に感謝の意を示す声明文を発表した。
「性暴力は監視されていない権力の周りで蔓延るということを、今回の件は私たちに思い出させました」とバーク氏は声明文の中で語った。「これはハリウッドだけに限った話ではなく、私たち全員の日常、そして全世界でも同じです」
マンハッタン地方検事のサイラス・R・ヴァンス・ジュニア氏は記者会見で、ワインスタイン被告は今回の評決でついに自らの罪の責任を負うことになったと語った。「様々なリスクを背負いながらも、勇気を出して表に立ってくださった女性たちのおかげで今回の結果に至りました」とヴァンス氏。「ワインスタイン被告は自身の権力を振りかざし、被害者を脅し、レイプし、暴力を振るい、騙し、辱め、黙らせた残忍な性加害者です」
しかし、全員が評決に満足したわけではない。ビル・コスビー被告の代理人アンドリュー・ワイアット氏は、隔離されていない陪審による裁判で「公平な判決を」受けられる「わけがない」と述べた。82歳のコスビー被告は2018年4月に加重暴行3件で有罪判決を受け、現在までペンシルベニア州の刑務所で服役している。
今後の予定:ワインスタイン被告のロサンゼルスでの公判
ワインスタイン被告はロサンゼルスでも強姦、強制わいせつ、性的暴行の容疑で起訴されている。これらで有罪判決を下された場合、最長28年の禁固刑を受けることになる。全ての起訴は2013年2月に被害を受けたという匿名の女性2人からの告発によるもので、どちらも24時間以内に起きた事件だ。2013年2月18日、ワインスタイン被告はイタリア人のモデル兼女優のホテルの部屋に押し入り、レイプした後、その晩にビバリーヒルズのホテルで別の女性を風呂場に追い詰め、胸を掴んで自慰をしたと告発されている(被告は全て否認)。
「被告が権力を振りかざし、被害者たちに近づき、このような暴力的な犯行に及んだと、証拠が証明してくれると信じています」とロサンゼルス地方検事のジャッキー・レイシーは2020年1月6日の声明文で述べた。ロサンゼルス地方検事局がローリングストーン誌に提供した情報によると、ワインスタイン被告のロサンゼルスでの初公判の日程は決まっていない。