世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るう中、いま音楽家はどのように生活をし、何を考え、行動を起こしているのか。それを伝えるために、SKY-HIにオンラインでインタビューを行った。


これまでも社会の変化に対してスピーディーに、真摯に行動を起こしてきたSKY-HIは、すでに様々な施策を打ち出している。4月7日には新曲「#Homesession」をSNS上で公開し、自身のバンドであるTHE SUPER FLYERSとのリモートでのセッションを敢行。4月16日に自宅から出演した『スッキリ』でこの曲を披露し、5月2日には遂に楽曲が完成して、「#Homesession with THE SUPER FLYERS」がYouTubeで公開された。

・SKY-HIの公式アカウントで公開されたセッション動画

「#Homesession」は楽曲のステムデータを無料で配布し、誰でもセッションに参加できるようになっていて、UNISON SQUARE GARDEN斎藤宏介らの参加も話題に。また、1月にデモ音源を公開していた「そこにいた」のオフボーカル音源を配布して、カラオケができるようにしたり、タイのポップスターSTAMPをフィーチャーした「Dont Worry Baby Be Happy」をTikTokで配信し、一緒に踊れるようにしたりと、家で楽しめるコンテンツをまとめ、「#オンライン繁華街」として展開してもいる。

@sky.hidakaDont worry baby be happy!♬ Dont Worry Baby Be Happy feat. STAMP TikTok ver. - SKY-HI

また、4月13日にはSEKAI NO OWARIのFukaseがSKY-HIに提案する形でInstagramでのマイクリレーがスタート。Nakajinがトラックを制作した「the days」という楽曲で、5月2日現在までに8人のリレーが行われ、その面子もちゃんみなAK-69から、THE ORAL CIGARETTESの山中拓也、04 Limited SazabysのGENと、広がりを見せている。

5月6日には自宅からのワンマンも開催し、現在もSKY-HIは精力的に活動を続けているが、もちろん、その裏側には作り手ゆえの苦悩がある。ラップも歌もダンスも堪能な彼のことはつい「疲れ知らずのスーパーマン」のように見てしまうが、この困難な状況下で、誰もが自分なりの方法で心身を保っているように、SKY-HIはSKY-HIのやり方で、自らの心身を保ってきた。その積み重ねの先にこそ、「新型コロナ以降」の世界が待っている。

―まずは家でどんな風に過ごしているかをお伺いしたいのですが……以前と変わることなく動き続けている印象というか、様々な形で発信をされてますよね。

SKY-HI:実働自体は前より増えてる気がします(笑)。
でも順を追って言うと、3月上旬とかは俗に言う「新型コロナ鬱」みたいなテンションではありました。ローな感じに入っちゃうとどうしようもないっていうかね。ただ、ベストアルバムをリリースすることが決まっていたので、その歌い直しに没頭して……何かに没頭する瞬間しか気持ちが救われないので、とにかく音楽を作りまくってました。

―まずは自分の気持ちをコントロールする必要があったと。

SKY-HI:普段から「忙しくしてる方が健康」みたいなマインドセットではあると思うんですけど、「社会の根幹が変わる」っていうのは何となく感じていて、危機感とか焦燥感も出てくるから、あんまり健康的じゃなくて。かといって、「考えても仕方ないから、楽に生きようよ」っていうのはもともとできる人間でもないし、そうすることが正しいとも思ったことがないので、いろいろ考えながらも鬱々としていて。そこから抜け出すには、クリエイションを続けることしかなかった、っていう流れかな。

―なるほど。

SKY-HI:だから、ファンの方とかから「みんなのためにありがとうございます」みたいに言っていただけるのはすごくありがたいけど、大前提として、「まずは自分のため」っていう。いろんな反響をいただくと、新型コロナ禍を利用してるような気持ちにもなってくるんですよね。なので、活動に対して賞賛してもらったり、今日みたいに取材を申し込んでいただいたりするのも、めちゃめちゃありがたいんですけど、複雑な心の持ちようではあるというか、「自分はこの未曾有の事態を利用してるんじゃないか?」って気持ちになって、またちょっと鬱々としたり……そう考えると、そんなに健康的じゃないかもしれない(笑)。

「まずクリエイションに集中して、没頭することで、余計なことを一回考えなくなる」

―3月上旬だと、まだ「いつ終わるんだろう?」「いつ元に戻るんだろう?」みたいな考え方だったけど、「#Homesession」で〈あの頃には戻らない けど生きてるなら終わらない〉と歌われているように、「変わっていくことを受け入れて、その上で何をやっていくか」に発想を切り替えることで、クリエイティブな方向に舵を切ることができたのかなって。


SKY-HI:あ、そこは順番が逆かもしれないです。まずクリエイションに集中して、没頭することで、余計なことを一回考えなくなるんですよね。思考がクリーンになるというか、マインドが健康になるというか、そこからやっといろんなことが考えられるようになる、っていう順番だったと思います。例えば、「新型コロナに負けるな」とか「この危機を乗り越えよう」とか「早く日常に戻れるように」とか、一見前向きな言葉が全然刺さらなかったんですよ。かといって、後ろ向きな言葉に飲まれたままだと、何もできなくなっちゃう。

―たしかに。

SKY-HI:実際3月のアタマくらいに2日間何もしない日があったりしたけど、でもやっぱり何もしないとどんどんダメになるから、これはあかんと。でも、幸いなことにやらなきゃいけないことが、ベストアルバムの録り直しが……自分が「やりたい」って言ったことなんですけど(笑)、それで迷惑かけるわけにもいかないから、とにかく没頭して。そうしたら、少し霧が晴れてきたんですよね。「もう戻らないんだな」って思うようになったし、「早く前みたいに幸せな日常を」みたいな言葉に対しても、「いやいや、新型コロナ以前もそんなに幸せだったっけ?」みたいな(笑)。

―ははは(笑)。

SKY-HI:そういう諸々がフラットに見えるようになってきた中で、「THE SUPER FLYERS元気かな?」と思って、LINEしたら、みんな大変そうで、「とりあえず曲作って、セッションする?」みたいな、シンプルな喜びに戻れたっていうか。
で、それを作って行くと、今度はFukaseくんから連絡が来たり、『スッキリ』から話が来たり、いろいろくっついてくっついてって感じですね。変に前向きになることでも、問題点に目を向けることでもなく、まずは何が自分にとってのフラットな状態を見つけることが大事だった気がするかな。

―「#Homesession」のステムデータを配布して、誰でもセッションに参加できるようにしたのは、星野源さんの「うちで踊ろう」や、origami PRODUCTIONSの「origami Home Sessions」からの影響もあったわけですよね。「#Homesession」には〈オリガミ付きのスキルはサビつかない〉というパンチラインもありますし。

SKY-HI:源さんはこの状況におけるポップスターのあるべき形だったと思うし、origami PRODUCTIONSの対馬(芳昭)さんは音楽関係者にできる最大のアプローチをしたと思っていて、なおかつ、作品がどっちも良かった。当たり前に思うかもしれないけど、あらためてそれは本当に大切なことだと思います。で、「うちで踊ろう」には結果乗っからせてもらったんですけど、その前に自分で一曲書いとかないとなって気がしたんですよね。それをやらないと前に進めないというか、「マジで今の曲」っていうのを書いておかないと、何もできない気がして。なので、まずはその曲を書いて、さっきも言ったように、バンドのメンバーに「よう、元気?」っていう(笑)。

―誰でもセッションに参加できるようにしたことは、何か意図がありましたか?

SKY-HI:大事にしたのは、「俺は俺で好きにやるから、みんなはみんなで好きにやって」っていうこと。ひとつのムーブメントが流行ったときの集団意識みたいなものって、強力じゃないですか?

―良くも悪くも、ですよね。

SKY-HI:そう、いい方向にも悪い方向にも強力だから、バッファがいろいろあるっていうのが一番健康的な気がしたんだよなあ。
でも、「#Homesession」はあんなにみんなやってくれるとは思ってなかったんですよ。バンドでやるために、ステム書き出して送んなきゃだし、せっかくだから、「家にいる時間長いし、楽器やろうかな」みたいな人とか、暇になっちゃったビートメーカーとか、そういう人が何人かやってくれたらな、くらいに思ってて。でも、「あの人が」みたいな人も乗っかってくれて、嬉しかったし、楽しかった。

前向きな曲とか活動が称賛される一方で、そういうものがまったく刺さらない有象無象の魂たちは、どんな状態なんだろうなっていうのは気になります

―UNISON SQUARE GARDENの斎藤さんも動画を上げてましたね。

SKY-HI:自分がそうであったように、「これをやろう」って決めたときの数時間なり一日なりは、健康になるんですよね。しかも、これってビジネスではないじゃないですか? 「今これをやろう」と思って、没頭する時間の尊さみたいなことは、再認識できた気がする。

―さらには、セッションだけじゃなくて、「そこにいた」のトラックで歌えたり、「Dont Worry Baby Be Happy」で踊れたり、コンテンツを増やして、それを「#オンライン繁華街」として展開したのもユニークでした。

SKY-HI:周りの意見を全部否定しなかったり、自分のやりたいことを否定しないでもらえたからそうなったっていうか。もともとベストアルバムのリリースが近づいてたのに、「#Homesession」みたいな関係ない新曲を作るのって、ビジネス的にはいいことじゃない。でも、それをやらないと他のことができない……尿管結石取らないと、おしっこ出ないみたいな(笑)。それを止めないでくれたから、セッションの企画ができたわけで。「Dont Worry Baby Be Happy」にしても、タイのTikTokでブームになりつつあったから、日本でも何かしたいってスタッフが提案してくれて、「じゃあ、家で踊るよ」ってなったし、「そこにいた」はEXITのかねちー(兼近大樹)が「歌いたい」って言ってくれたときに、「リリース前にカバーなんてダメだよ」とはならず、カラオケトラックを配布させてもらえたっていうのがあって。
でも、散漫になっちゃうから、「#オンライン繁華街」としてまとめちゃおうってことだったんです(笑)。

―「#オンライン繁華街」っていうネーミングもいいですよね。

SKY-HI:でも、スタッフに言われたんだよな。「繁華街って言うわりに、3店舗ですね」って(笑)。

―そこはいろんな人が参加して、繁華街になっていくってことで(笑)。

SKY-HI:ちゃんとお金をペイできる仕組みができたら、ホントのオンライン繁華街をみんなで作りたいですけどね。まあ、いまって音楽を作る人はひとまず音楽を作ることに立ち返れるけど、特にやりたいことがない人って、「どうしよう?」ってなりますよね。前向きな曲とか活動が称賛される一方で、そういうものがまったく刺さらない有象無象の魂たちは、どんな状態なんだろうなっていうのは気になります。ほら、いまちょっと殺伐としてきてるでしょ? コメントやSNSとか見ても、「それそんな気にする?」みたいなことが多いし。

―そういう社会状況みたいなものを曲にしようとは思わなかったですか?

SKY-HI:ニュースを見てると、「嘘でしょ?」って話が2~3日に一個出てくるような状態で、それを書きつけたとしても、2パターンの未来しか想像できなくて。ひとつは「もう知ってるよ」ってパターン。もうひとつは、分断を促すだけかなって。
いまって刻一刻と状況が変わってるから、もうお肉券とかお魚券の話をしても古いし、「布マスク2枚」とかも、そういうトピックに食いつくこと自体、コマーシャルに見えちゃうし。しかも、もう大多数の認識として、「日本やべえな」っていうのがあるじゃないですか? その共通認識がないときに何かをするのはコンシャスだと思うけど、いまの状況で、明らかにやべえものをやべえって言うだけの音楽がホントに必要なのか? って気はして。トランプくらい(その人の立場によっての)賛否あるなら別だけど、いまの日本でクリティカルな曲を作る気にはあんまりならなくて。ちゃんと目線とかメッセージを固めて、今の情勢を描写するような曲は絶対必要だと思うし、それが結果ポリティカルやクリティックに向いたとしてもいいことだし必要なことだとも思うんだけどね。

―だからこそ「キョウボウザイ」のような曲ではなく、比較的ストレートに「STAY HOME」を呼びかける「#Homesession」が先に来たと。

SKY-HI:「#Homesession」ができたのはよかったです。言ったら、脊髄反射的に作ったものだけど、そのわりにはトラックも歌詞もわりと気に入ってて。元ぼくりりとよく連絡取るんだけど、「〈否定はなんも生まない 批判は社会を育てる 違いがわかるかい?〉あたりのだかひー氏の表情含めて、赤ちゃんに語りかけてるみたいな感じが非常によかったです」って言われました(笑)。『スッキリ』に出て、今まで聴いてなかった人も、あの歌詞に引っかかってくれたみたいで、それもよかったし。

―『スッキリ』はよかったですね。「Dont Worry Baby Be Happy」のMVで着ていたパジャマ姿で出ることで、ユーモアもちゃんと伝わったと思うし。

SKY-HI:とにかく力は抜きたいと思ってます。「力を抜いた結果出たものを止めない」ってことな気がする。ほら、いまって激流だから、それに逆らおうとしたり、踏ん張って耐えようとするのって、逆にヤバいじゃないですか? 溺れそうなときって、むしろ力抜いた方が生きのびれたりするでしょ? まずは一回冷静になって、力を抜いて、その上であっち側の岸を目指すとか、岸に着けそうになかったら、流されながら、どうやって飢えをしのぐかを考えるとか、とにかく力は抜いた方がいい。それは間違いないですね。

セカオワFukaseから提案された「the days」のマイクリレー

―「the days」に関してもお伺いしたいのですが、あのマイクリレーはもともとFukaseくんからの提案だったそうですね。

SKY-HI:そうです。さっきも言ったけど、集団意識みたいなものにはちょっと抵抗があるから、自分発信だったらマイクリレーは提案してないかな。でも、それをやりたいっていう人に協力することには前向きって感じ。Fukaseくんとは「いつか一緒に何かやりたいね」って言いつつ、結局やんないまま終わるパターンだったから(笑)、こういうタイミングで一緒にやれたのはすげえよかったし。トラックの段階で、「こういう流れになったら面白いね」みたいなことを話すのも楽しくて……キュレーターみたいな役目っていうか。

―トラックやリリックに関しても結構やりとりしたんですか?

SKY-HI:やっぱり「大丈夫」とか「ひとつになろう」みたいな方向じゃない方がいいなって。セカオワっぽくないとやる意味がないとも思ったけど、そもそもセカオワって安易に明るくはないじゃないですか? Fukaseくんとか源さんが好きなのって、前向きな言葉が安易じゃないところなんですよね。思慮深く前向きでいたいし、気楽にネガティブでいたいんですよ。そういう人の方が信頼できるかなあ。

―その両側面が必ずあるっていうのは、SKY-HIの表現もそうだと思いますしね。

SKY-HI:だから、安易に前向きなメッセージは込めたくなかったけど、新型コロナの騒動に全く触れないのもおかしいから、そこで「ordinary days」っていうテーマが決まって。それも「戻りたい」とかではなく、ただ「以前の生活について歌う」っていうだけの縛り。以前の生活を美しいものとして書いてもいいし、そうじゃなくてもいい。それくらいのバッファはもらって作ったかな。

―そうすれば集団意識みたいなものも薄くなりますしね。

SKY-HI:実際Fukaseくんは以前の生活がよかったとも悪かったとも言ってないですしね。でも、あんなナチュラルに「オーロラ」ってワードが出てくるのすごくないですか? 〈ロマンチックのカケラもないようなビジネスロマンチスト〉とかも、「セカオワのボーカルが言うのすげぇな」って思いながら(笑)。で、じゃあ自分はよりリアルに捉えて書こうと思って、次のちゃんみなまで行った時点で、3人中2人が元の日常を特に明るいものとして書いてなかったから、「これ大丈夫かな?」って思ったけど、AK-69くんならって思ったら……バッチリでしたね。

―現在は7人目のTHE ORAL CIGARETTESの山中(拓也)さんまで繋がりましたが(取材は4月28日)、やはりインパクトがデカいのは般若さんかなと(笑)。

SKY-HI:もともとみんなに動画を撮ってもらう予定じゃなかったんですよ。カロリー高くなっちゃうから。でも、ちゃんみなもAK-69くんも動画撮ってくれて、般若さんに「動画ってマスト?」って聞かれたから、「マストじゃないですけど、流れ的に動画じゃないとって感じになっちゃってますかね」みたいに返したら、「あえて静止画で行くわ」って(笑)。

この投稿をInstagramで見る般若(@hannyaofficial)がシェアした投稿 - 2020年 4月月23日午後3時30分PDT

―リリックも含めて最高です(笑)。山中さんは04 Limited SazabysのGENさんに渡していて、ラッパーからバンドマンの流れになっているのも面白いですよね。

SKY-HI:気楽になるといいなあ。比較的いろんな人たちと音楽をやらせてもらってきて、それこそ去年はオーラルのステージに立たせてもらったし、あっくん(金子ノブアキ)、MIYAVIさん、いろんな人と音楽やらせてもらってますけど、やってもやっても、リスナーの人からすると「コラボもの」みたいな見え方になっちゃうっていうか。世界どこでも、音楽やってるならフィーチャリングなんてスタンダードになってから20年くらい経ってるのに。

―日本だとまだ「ロックとヒップホップのコラボ」みたいな、ちょっと肩ひじ張った感じになりがちかもですね。そういう意味でも、このマイクリレーはいいなって。

SKY-HI:歌つなぎほどラフではなく、ちゃんと腕に覚えのある人が、その都度できる自分のベストを同じビートの上で表明していくっていうか。だから、ユナイトに見えるけど、バトルにも近いじゃないですか? そういうのも非常によかったですね。

「音楽に何ができるのか?」よりも、「音楽家に何ができるのか?」

―日高くんにしろ、Fukaseくんにしろ、星野源さんにしろ、まずは自分なりのやり方で現在の状況を曲にすることによって、視界をクリアにして、次へと向かっている。そういうことを今多くのミュージシャンがやっているのかもしれないですね。

SKY-HI:ずっと言ってることだし、これからも言っていくと思うけど、現実をしっかり受け止めつつ、同じくらい気楽じゃないといけないと思うし、思慮深くないといけないけど、同じくらい本能的じゃないといけなくて、そのバランスは絶対5:5がいいと思う。「マジやべえ」って思わなくちゃいけないけど、「これやれば何とかなる」って思う必要もあって、それは絶対5:5がいい。逆に言うと、それくらいしか言えないんですけど。

―「音楽には何ができるのか?」みたいな話になりがちだと思うけど、まずはそのバランスが重要だと。

SKY-HI:「音楽に何ができるのか?」よりも、「音楽家に何ができるのか?」のほうが大事っていうかね。で、その中の何十万分の一の意見ではあるけど、作り続けることが大事なのは100%そうだと思う。新型コロナうんぬん関係なく、心の栄養みたいなものがいかに大事かっていうのは、すでに証明されてると思うし。ただ、そこも5:5っていうか、「ファンやリスナー、不特定多数の人のために」っていうのの一方で、「自分のために」が50%は絶対ないとよくないと思う。そこは包み隠さず表に出していきたい。

―5月6日には自宅からワンマンを開催しますが、それも5:5の気持ち?

SKY-HI:ホントだったら、スタジオが開くのを待って、照明やカメラ割りまで考えて、「これならできる」ってなってからやるのが正解だとは思います。でも、もうちょっと何も考えずにやりたいというか、「家でやったら面白くない?」みたいなことを軽率に形にしたくて。大義としては、ツアーもフェスも全部飛んじゃった中、GW中にせめて自分のファンの人だけでも楽しんでもらいたいって気持ちももちろんあります。でも、半分は自分のためっていうか、音楽家は家から出ずに仕事できる環境を整えるに越したことはないし、どうせやるなら早い方がいいし。それはちゃんと言っていきたいですね。「みんなのために」ってことだけを言いながら活動していくのは、ものすごく違和感があるから。

―精神衛生的にも、5:5がいいですよね。

SKY-HI:そうじゃないと、人のことも助けられない。origami PRODUCTIONSの対馬さんが相変わらず信頼できるなって思うのは、「今自分がお金を寄付することが、回り回って自分のためになるから」ってちゃんと言ってるからで、そういう人は非常に尊敬する。それは通年のテーマな気がするなあ。エゴと善意は5:5であるべきで、それがナチュラルにできてる人は尊敬します。まあ、エゴ100%みたいな人もホント好きですけどね。誰とは言わないけど、行き切ってる時のカニエ・ウェストみたいな。

―ははは(笑)。途中で話に出た「思慮深く前向きでいたいし、気楽にネガティブでいたい」って言葉も印象的でしたけど、それもやっぱり5:5ですもんね。

SKY-HI:この先ネガティブになろうと思えばいくらでもネガティブになれると思うんです。でも、ネガティブをしっかり認識したうえで、それと同等のポジティブを捻出していく作業みたいなことが、今人間として一番健康的じゃないかな。で、すべてのクリエイターにとっては、クリエイトを止めないことで、それを達成できる確率がグンと上がる気がする。

SKY-HI マーチャンダイジング販売サイト
https://bit.ly/skyhi_rag_mumo

<INFORMATION>

ベストアルバム『SKY-HIs THE BEST』が2020年9月23日に発売
https://avex.jp/skyhi/
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