1985年、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースが映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のために提供した「パワー・オブ・ラヴ」は、全米チャート1位を記録しバンドの代表曲となった。この曲の制作背景をヒューイ・ルイスが振り返る。


「『パワー・オブ・ラヴ』はとてもパワフルな曲なんだ」ルイスはそう語る。「僕らが思っている以上に強力な曲だね。 ”愛”というのは年を重ねるごとに、自分たちのなかで一番大切な感情になっていく。 ”愛”は本当に世界を動かすものなんだ。この狂った世界にいて、そこにいる人々に囲まれながら、『どうやったら上手くやっていけるものだろうか』と考えたりするよね。それには愛だ、愛が必要なんだよ」

●【動画】「パワー・オブ・ラヴ」のミュージックビデオ

ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースは、1985年の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のために「パワー・オブ・ラヴ」を作り上げた。クリエイティブチーム(プロデューサーのスティーヴン・スピルバーグ、監督のロバート・ゼメキス、脚本家のボブ・ゲイル)はルイスに対し、マイケル・J・フォックス演じる主人公のマーティ・マクフライがヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのファンだと説明し(彼の部屋にはヒューイ・ルイス&ザ・ニュースが1983年に発表したアルバム『Sports』のポスターが貼られていた)、この映画のために曲を書いてほしいと依頼した。

ルイスは最初、不安だったという。映画のために曲を書いたことがなかったのと、どんな曲が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に相応しいのか見当がつかなかったからだ。しかしクリエイティブチームの3人は、シンプルに彼自身の曲が欲しいのだと説得し、ルイスは次に書いた曲を送ることに同意した。

「パワー・オブ・ラヴ」はバンドの元ギタリスト、クリス・ヘイズがリード・プログレッションを手掛け、その後をルイスが引き継いだそうだ。「ソニーのウォークマンをつけて、ちょっとしたジョギングをしている最中に曲を書いたんだ。
そして制作の最後に、コントロールルームでボーカルを聴いていたら、キーボード奏者のショーン・ホッパーが僕のほうを見て『俺たちが今までやってきたなかで最高の作品だな』と言ってくれたんだよ」

さらにルイスは、「パワー・オブ・ラヴ」のMVにおける独特のブラウンがかった色合いについてや、映画の序盤でバンド・オーディションのシーンにカメオ出演する際、レーベル重役の口調にインスパイアされたと振り返っている。

最後にルイスは、バンドの曲の多くが時代を経て少しずつ変化してきたが、「パワー・オブ・ラヴ」は当時からずっと変わっていないと指摘している。「僕らは最初から素晴らしい曲を作ったんだよ」。
編集部おすすめ