未成年の少女らを性的虐待したとして起訴され、勾留中に自殺した米富豪のジェフリー・エプスタイン元被告。7月2日には、元被告に若い女性を調達していたとみられる英国人のギレーヌ・マックスウェルが逮捕された。
そして7月30日、マックスウェル被告に関する600ページ強の貴重な資料が公開された。

2000ページにわたる起訴内容の大半はすでに広く報じられたが、今回公開された証言録取、メールのやり取り、警察の報告書などにより、マックスウェル被告とエプスタイン元被告が仕切っていたと言われる売春組織のより詳しい、恐るべき全容が浮かび上がった。

裁判資料は数年にわたる訴訟にまつわるもので、マックスウェル被告の弁護団は公正な裁判の妨げになるとして公開を阻止しようとしていたが、30日、ロレッタ・プレスカ判事は弁護側の請求を却下した。

資料は2015年、エプスタイン元被告の被害者の1人ヴァージニア・ジュフリーさんとマックスウェル被告の間で行われた民事訴訟にさかのぼる(この裁判はすでに和解が成立している)。ジュフリーさんの主張によれば、マックスウェル被告とエプスタイン元被告は当時15歳だったジュフリーさんに売春させ、イギリス王室のアンドルー王子、アラン・ダーショウィッツ弁護士、元ニューメキシコ州知事のビル・リチャードソン氏など、世界各地の著名な男性たちの相手をさせたという。

アンドルー王子とダーショウィッツ弁護士はすべての容疑を否認している。リチャードソン元州知事の広報担当者は、ローリングストーン誌に宛てた声明でこう述べた。「これらの容疑や推論は全くのでたらめです……リチャードソン元州知事は、ヴァージン諸島にあるエプスタイン氏の邸宅には一度も行ったことがありません。ジュフリーさんに会ったこともありません」

「私の生活は全て、こうした男たちを喜ばせ、ギレーヌとジェフリーの機嫌を取り続けることを中心に回っていました」とは、公開された裁判資料のジュフリーさんの発言だ。「2人の人生はセックスが中心でした」

マックスウェル被告は7月、性行為への関与目的で未成年者を移送した罪など6件の刑事犯罪容疑で逮捕・起訴された。起訴状によると、彼女は14歳もの若さの少女を手懐けて、エプスタイン元被告と3人で性行為を行わせたとみられる。罪状認否で彼女は無罪を主張し、すべての起訴内容を否認した。
マックスウェル被告の代理人にコメントを求めたものの、記返答は得られなかった(彼女は以前にも全ての容疑を否認した)。

裁判資料から判明した内容は次の通り。

エプスタイン元被告が所有する島には元大統領もいたという

・資料全般にわたって、ジェフリー・エプスタイン元被告との関係性に関する記述で「ドナルド・トランプ」「親しい友人」といった単語は5回登場した。

公開された資料のうち、無修正の箇所全般を通して、不動産王から大統領に転身した人物は合計14回登場しているが、ジュフリーさんも認めている通り――マー・ア・ラゴで働いているときに、エプスタイン元被告とマックスウェル被告から目をつけられた――エプスタイン元被告が絡んだ悪事にトランプ氏が関与したのを見聞きしたことは一度もなかったという。「(トランプ氏は)私たちの誰ともセックスには及びませんでした。でも、言い寄られたことはあります。彼は笑って、ジェフリーに『人生を謳歌しているじゃないか』とよく言っていました」と、証言録取でジュフリーさんは供述した(トランプ氏から言い寄られたことに関しては、のちに否定した)。

・ジュフリーさんいわく、エプスタイン元被告が所有する島に女の子たちがやってきたとき、ビル・クリントン元大統領もいたらしい。

ビル・クリントン元大統領は、エプスタイン元被告が個人で所有するリトル・セント・ジェームズ島には行ったことがないと主張しているが、ジュフリーさんはこれに反論。公開された裁判資料によると、クリントン元大統領とエプスタイン氏が2人の女の子を引き連れて、同じタイミングで島にいるのを見たという。「知っている女の子2人もいました」と彼女。「とくに仲が良かったわけではありませんが……2人もニューヨーク出身の子です」(クリントン元大統領が何らかの悪事に手を染めるのを見た、とは言っていない)。


・エプスタイン元被告とマックスウェル被告は、カリブ海のリトル・セント・ジェームズ島で「頻繁に」乱交パーティを開いていたらしい。

ジュフリーさんの主張によれば、こうした乱交バーティにかかわった女の子の中にはまだ15歳の子もいたという。「たくさんの女の子が関わっていました。互いにファーストネームで呼び合うほど親しくはありませんでした。女の子たちの名前のリストを提供することは無理だと思います。ひっきりなしに行われていました」

・マックスウェル被告は、本人が主張していたよりもごく最近までエプスタイン元被告と連絡を取り合っていた。

以前マックスウェル被告は、かれこれ10年以上エプスタイン元被告とは話をしていないと断言していたが、公開された裁判記録はこれに反論している。2015年、エプスタイン元被告はメールでマックスウェル被告に「脱獄囚じゃないんだから、胸を張って表に出て」「パーティにでも行こう」と誘っている。「君は何も悪いことなどしていないんだから、そういう風にふるまえばいいんだよ」と、メールの中で彼は言っている。

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・ジュフリーさんは性的関係を持った人物の名前をすべてメモしていたが、本人いわく焼いてしまった。

ジュフリーさんは2011年か2012年、エプスタイン元被告のもとにいた時期に関係を持った男性のリストを作り始めたが、焚火にくべて焼いてしまった、と証言録取で供述した。「私も夫も非常にスピリチュアルな人間なので、こういう思い出は燃やしたほうがいいと思ったんです」

・エプスタイン元被告は被害者たちに、自分好みの格好をするよう頼んだ。


弁護団との三者通話の中で、ジュフリーさんはエプスタイン元被告がよく「GucciやDolce & Gabbana、Chanelといった系」の服を着るようリクエストした、と語った。時にはロールプレイや女子高生の制服を着るよう頼まれたこともあった。「そういう時、私は幼い女の子の役で、ロールプレイをしながらセックスしました」

・エプスタイン元被告は被害者の年齢を自慢の種にしていた。

ジュフリーさんが弁護団に打ち明けた胃のむかつくようなエピソードのひとつに、エプスタイン元被告の誕生日にはるばるやってきた12歳のフランス人の女の子とセックスした話を、被告から聞かされたというものがある。「彼はしょっちゅう女の子の年齢を自慢していました。彼女たちをどこで見つけてきたか、彼女たちの過去がどれほどひどいもので、自分がどれだけいい思いをさせてやったか、と得意げに話していました」

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