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今年の初めごろ、ポルノ女優のアナ・フォックスはポルノ女優兼監督ケイデン・クロスの撮影現場に意気揚々と姿を現した。この日はクロス監督の夫のマヌエル・フェラーを交え、3人の黒人女性らとの乱交シーンを撮影する予定だった。ポルノ業界にしては珍しいことだ「そんなに出番が多くないんです。制作会社は私たちを(数カ月に1度しか)起用しないみたいですね」と、フォックスはローリングストーン誌に語った。「今まで一緒に同じ作品に出たことはありませんでした」 。女優たちはついに共演できると喜んだ。
その後スチール撮影に入ると、フォックスは女性たちがバナナを手に2階へ上がっていくのに気が付いた。最初は軽食を取りに行くのだと思った。すると、女優たちはみなバナナを手にしてカメラの前に立つよう指示された。「これは嫌な感じだわ、と思いました」
女優たちが抗議すると、クロス監督は謝罪し、スチール写真は削除すると約束した。
事の次第をクロス監督に問いただすと、彼女はこう答えた。「念のために申し上げますと、私は人種差別抗議のムーブメントを支持していますし、社会の発展と繁栄のためには組織全体の実質的な変化が必要だと信じています」
バナナの一件に関しては、バレンタインデー用の撮影として、バナナをチョコに浸してトッピングで飾るつもりだった、と言った。「あの時は、バナナがそんなに問題視されているなんて知りませんでした。でも今は非常にデリケートな問題だと理解していますし、あの時の判断を後悔しています」と、ローリングストーン誌に語った。
こうした話は、ポルノ業界の黒人俳優の間では日常茶飯事だ。彼らは自分たちの境遇に声をあげるべきか、あるいは仕事での報復を恐れて口をつぐむべきかでしばしば板挟みの状態に置かれている。黒人女優の場合はとくにそうで、白人女優と比べると撮影現場に呼ばれるチャンスははるかに少ない。
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「『君は黒人だから、この映画には出られない』なんて平気で言える業界は他にない」
ポルノで人種が紋切型に描写されていることや、黒人俳優が軽んじられていることは、業界内でも長年議論の的だった。「アメリカの産業の中でも、ポルノはもっとも後進的です」とスートラも言う。「『君は黒人だから、この映画には出られない』なんて平気で言える業界は他にないでしょう」。それでも業界の多くの人々は、ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)を皮切りに対話が生まれたことで、大手制作会社が問題の慣習を変えるまたとないチャンスが生まれたと考えている。警官の暴行の被害者となった故ジョージ・フロイドさんがポルノ業界とつながっていた、という記事をアダルト系出版社AVNが掲載した際にもこうした議論が白熱し、大規模な反発が起きた。そのためAVNはあわてて記事を削除し、謝罪文を掲載した。
ソーシャルメディアで出演者たちが訴える問題の中には、俗にいうIRもので白人女優の報酬が上がるという時代錯誤の慣例もある。IRとはInterracial、つまり異人種間のカラミのことだが、往々にして黒人男優と白人女優とのカラミを指す。トップクラスの白人女優が初めてIRものに出演する際、制作会社は通常よりもはるかに高いギャラを提示する。
しかし、こうした慣習は黒人男優や黒人女優には適用されない。そのため人種間に深い経済格差が生まれ、こうした高額のギャラをピンはねしている俳優事務所がそれを定着化した。マックスウェルがよその制作会社から聞いた話では、大手事務所の中にはトップ女優に黒人と絡む仕事をどのぐらいの頻度で割り当てるか、という基準を定めているところもあるそうだ。「エージェンシーは常に面倒な存在です」とマックスウェル。「彼らのせいで、業界に入ってきた特定の女の子は、自分たちは特定の肌の色の人々よりも格上だ、と思い込むようになるんです」
黒人俳優、とりわけ黒人女優には出演機会が少ないがゆえ、侮蔑的な人種表現をウリにするようなコンテンツを定期的に撮影する、ひと握りの制作会社としか仕事ができない者も大勢出てくる。例えば男優のリッキー・ジョンソンの場合、Dogfartという制作会社の下で数々の作品に出演してきた。この会社はIRものを専門とし、「黒人の描き方が野蛮なんですよ」とジョンソンは言う。「でも困ったことに、あの会社は黒人俳優を(定期的に)撮影で起用する、数少ない場所のひとつなんです」。フォックスも駆け出しのころ、南部軍の旗が描かれたTシャツを着て白人男性にオーラルセックスするよう指示されたという。
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作品のタイトルに飛び交う侮蔑的な用語
人種の固定概念による宣伝ほどあからさまではないにしても、Blackedのような動画サイトは黒人男性の時代錯誤な固定概念を別の形で悪用し、業界に不平等をはびこらせている。
往々にして作品のタイトルを決めるのは制作会社のマーケティングチームで、出演者や監督ではない。そのため多くの出演者が、作品の売り込み方について意見することはできない。フォックスは以前ジュールス・ジョーダン監督の作品に出演したが、後日インターネットでは『Black Facials Matter(黒人も顔出しが大事)』というタイトルのコンピレーションの一部に組み込まれていた。「最初は訳が分かりませんでした」と彼女は言った。「その後、すごく頭に来ました」。彼女はジョーダン監督に連絡してタイトルを変更するよう頼んだが、返事はなかったという。
数年後、彼女は業界のイベントで制作会社の社員とばったり出くわし、事情を説明してやっとタイトルを変更してもらった(もっとも、数々の動画サイトではいまだに元のタイトルのままだ)。
すべての黒人出演者が、作品のタイトルやキーワードに使われる用語を問題視しているわけではない。結局は制作会社がポルノ宣伝のために採用した、荒削りで短絡的なマーケティング戦略の例にすぎない、と考えている。「いつの世も、ポルノはアメリカ社会の価値観を反映しています。そういう作品が存在するなら、そういう作品を買う人がいると言うことです」とマックスウェル。「例えば、『黒いペニスの恐怖 パート6』(実際にマックスウェルが出演した作品)という作品があるなら、過去5作品は確実に売れたということなんですよ」
彼は、社会変革を起こすのにポルノは適切な場所ではないと考えている。「ポルノはあまりにも淀んだ世界なので、社会活動には向きません。真剣に取り合ってもらうのは難しいです」と彼は言う。「僕は両者を区別するようにしています」.だが、どんなにひいき目に見ても、業界の慣習は問題だらけだいうことは認めている。「ポルノは人種差別を正当化できる唯一の業界です。自分の信念を正当化するために、望まない相手とセックスしろと強要し、『この業界では黒人とファックしなきゃいけないんだ』と言うなんて、あり得ないでしょう」
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状況は変わりつつあるものの、解決しなければならない問題は多い
事情はある程度変わりつつある。
AVN、Xbiz、Blackedといった制作会社は、どうすれば最善のサポートができるか、黒人出演者に意見を求めている。黒人出演者と撮影クルーの間で行なわれたZoom会議の後、Blackedのプロデューサーの1人マイク・モズ氏は、同社が今後「BBC」や「IR」といった用語を宣伝文句に使わないことにした、とローリングストーン誌に語った。また、もっと黒人女優を起用し、よりインクルーシブな脚本を採用するとも語った。ただし、黒人男優とのカラミに初出演する白人女優に高額のギャラを提示する慣習に関しては、支持する姿勢を示した。「この業界では、どんなものであれ初モノは価値があるんです。誰もがそうした初モノを狙っています」
フォックスは、こうした議論の大半は遅すぎで、しかも不十分だと言う。賃金格差や黒人女優が蔑ろにされることは何年も前からずっと話題に上っていたが、なんの効果もなかった。ジョージ・フロイドさんの事件でようやく自分たちの声が聞き届けられたことに、フォックスや他の出演者らはいら立ちを隠せない。「今では誰もがブラック・ライヴズ・マターやらなにやら言っていますが、当事者じゃない連中が何を言ってるんだという感じです。私はちょっと前にも声を上げて支援を呼びかけていたのに、彼らは都合のいい時だけ便乗している気がします」と彼女は言う。「いいねやフォロワーを増やす絶好のチャンスの時だけじゃなく、これからもずっと出演者を支援していかないと」
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